今日描かれたストーリーは、脚本家の凄みを感じる内容。
桑原亮子さんの脚本家としての感性の何たるかが遺憾なく発揮されていたと思う。
このドラマ、つい最近の何年か前の時代が設定されているが、私たちの世代にしてみればそれはまさに昨日のこと。
さらには今のことが現在進行形で続いている証でもある。
これからの世の中は、子育ての需要が大幅に減って、その逆に高齢者の介護が大きく求められる。
物語で描かれた五島のばんばは、今後は一人暮らしをする事はほぼ無理だと思われた。
誰かが側にいて見てあげなければいけない。
しかし、一緒に五島に行ける人はいないと思われた。
もし介護を家族でと考えるなら、東大阪に来てもらうのが1番望ましい。
しかし、介護をする事は“そのほうがいい”レベルの発想では、立ち行かないことが厳しい設定で語られていた。
梅津の父勝さんは言う。
子供を育てるのとは訳が違う。
大人を受け入れるのだから、相応の覚悟と決意がなければ、「みんなが不幸になる」と厳しい意見を。
私自身も生活支援サポーターのボランティア活動で、病院の付き添いなどを請け負うが、軽いノリではできないことだと自分に言い聞かせている部分がある。
誰かのためにと思う事は、相応の覚悟と決意があって初めて形になるものだと物語は教えてくれる。
目次
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五島と東大阪
ばんばは生まれた時から住んでいる五島からは離れられないと語る。
人生って若いうちならどこへ行っても住めば都で何とかなるが、年取ってからは今住んでいる所を離れたくないもの。
旅行好きの人ならば、あちこち出かけるのが趣味って人もいるだろう。
しかし、自分の住処が定まらないとか、全く別な場所で余生を過ごすとなれば、話は大きく違ってくる。
それは、日本人なら心の中に故郷と言うべきものがしっかり備わっている証拠なのかもしれない。
私も、20代の前半までは内地、つまり東京方面で神奈川県下に在住で、仕事はそこら辺の道路メンテナンス関係で飛び回っていた過去がある。
アパート暮らしが当たり前だったので、住むのに好条件ならどこでもいいと思っていた。
しかし、この土地に住み始めてから今は自宅で、この家に住み始めてからおよそ30年が経過。
自分の年齢を考えると、今のこの家が1番長く住んでいて私は多分ここで一生を終えることになる。
実は、ばんばの気持ちはよくわかるのだ。
そしてめぐみ社長や舞の気持ちも納得できる。
東大阪に、自分の母(祖母)を連れてくる。
そこで、一緒に暮らすことに。
結果としてこの流れで行くんだろうけど、受け入れるためにはそれなりの覚悟と決意が必要だと物語では語られていた。
ばんばの気持ち
ばんばは以前にもIWAKURAで暮らしたことがあったと思う。
それはほかならぬ娘婿浩太が亡くなったとき。
今回、娘たちが東大阪に自分を連れて行こうとしていることもよく理解できている。
もともとばんばは、とても頭の良い人の設定になるので、その辺の事情がわからない人なんて事はありえない。
しかし、そういった配慮を素直に受け入れられない五島人としての情念がある。
島で生まれて島で結婚して子供を設けて、夫をなくした。
夫の船を引き継いで、夫の仕事を受け継ぐ。
それが彼女の人生そのもの。
たまたま運がなくて、体が不自由に。
人生の終わりの方で体に負ったリスクは、これからの暮らし方を一変させるような厳しい状況に。
登場人物たちの心のひだが克明に描かれている。
この物語の底力はわずか15分の物語ながら、凄みを持って迫ってくる。
めぐみ社長
岩倉家での食事会。
めぐみは母親をこちらに引き取りたいと皆に相談を。
ほとんどの人は、それが選ぶべき道だと賛成してくれる。
しかし、そこで1人だけ異を唱えた人が。
それは梅津勝さん。
貴司の父は、子供を迎えるわけでは無いから、迎えるためにはそれなりの覚悟とか決意がなければ相手は納得できないし、この先トラブルのもとになるよと厳しい意見。
岩倉家はめぐみも舞も社長なので、少なくとも自由になる体ではない。
さらに子供が生まれてその世話だってある。
そして梅津では店もあるので、簡単にできることを手伝うレベルの話ではなくなってしまう。
みんなそれぞれ仕事や生活で、この先何か新しいことをするにはどうしても人手が足りないと説いていた。
それは、みんなの意見に水を差すような形だが、この場合避けては通れない正しい意見なのも確か。
ご時世
めぐみ社長は思うところがあるらしい。
もし母親を引き取るとなれば、このまま自分が社長を続けるわけにはいかない。
体の不自由な年寄りが、突然新しい生活を始めるわけで絶対に誰かの助けが必要。
そこで、社長としての自分の跡継ぎを決めようと。
自分よりもっとふさわしい人がいてるのでは?
この気持ちもわからないではない。
彼の先輩の笠巻さんとか舞とか悠人。
それらしい人は間違いなく存在するが、めぐみ社長はご時世を考えたなら自分の家族に後をつがせるのにこだわる必要がないのだと。
確かに最近は大企業などは世襲で経営者を選んでいない傾向があるかも。
会社の存続を考えて、一番ふさわしい人が親族ってことでもないわけで。
今日のエピソードでは、様々な世の中の流れを紹介しつつ舞たちの家族が今後どうするのがベストなのかが詳しく描かれていた。