明治維新のこの時は、日本の社会の仕組みそのものが大幅に変換した時でもあった。
特に社会基盤の整備もさることながら、教育制度の改革も大きな転換だっただろう。
万太郎は名教館で3年ほど学んだ設定になっていたが、今日の物語からは小学校に転入する形になっていた。
さて、ここまでは何の問題もないように思える。
フタを開けて見た内容はまるで違っていた。
今まで、寺子屋とか学問所等はある程度裕福な子供にしか通えなかったと言って良い。
対する小学校は、男女とも誰でも受け入れて学んでもらうのが前提となる。
らんまんでは男女共学の様子も描かれていた。
ここで重大な問題が起こる。
名教館で学んでいた万太郎にとって、小学校で教える事はあまりにも初歩過ぎた。
教える内容が、全くの読み書きにしかなっていないことに知的要求を頭ごなしに否定されてしまった万太郎。
何か自分で満足できるものはないかと周りを見回して、1人単独行動をとることに。
当然のことながら、先生からは厳しくさとされる。
そして、驚くなかれそのまま小学校を退学してしまうのだ。
今日の物語の最後の2分間でいよいよ神木隆之介が演じる万太郎が登場する。
目次
蘭光先生と学友 祐一郎君
物語の冒頭部分で描かれた3人のやりとりは主に万太郎と祐一郎君の会話に終始していたと思う。
祐一郎君は名教館に万太郎が入学したときに、いじめで木刀を振りかざしたあの少年だよね。
明治維新とは言え、この時代すぐに今までの制度が変わったわけではない。
家の中では、長男が家督を継いで当主として振る舞うことになる。
祐一郎君は10歳の時に父親が亡くなったので、母親と弟を連れて、彼自身が当主になっていた。
今までのような俸禄もなくなってしまったので、これからは何とかして食べていく術を見つけなければならない。
万太郎は、そういった友達の事情を知る由もなかったのだ。
自分自身がどれだけ恵まれて好き勝手にできたか初めて知ることになる。
祐一郎君も万太郎の出来の良さを心から認めていて、今では親友とも呼べる存在。
昨日のエピソードで、万太郎が世界の人材になるとの話があったが、たとえ名教館がなくなったとしても学ぶ事は一生続くと蘭光先生の教え。
物語の中で、万太郎が英語で先生に受け答えするシーンが描かれているけど、英語の話せない先生にとっては、ほとんど拷問以外の何物でもなかっただろう。
それらのすべてが名教館の3年間で培われた実績と言える。
名教館から佐川小学校へ
小学校と言えば、ひらがなの読み書きと簡単な足し算引き算から入るものだと思うけど、明治のこの頃は、生徒の年齢なども特に制限は無いようで、ある程度自由に学ぶことができたようだ。
レベルの低さは、万太郎にとっては受け入れがたい事実だったに違いない。
英語が話せる生徒に、日本語のあいうえおでは、あまりに気の毒。
この頃の教育制度はこんな状態で出発したんだと改めて納得させられる。
男女共学だが…
男女共学だったのも、なかなか粋な計らいだっただろう。
綾も今まで学校には通えていなかったので、13歳で小学校1年生になったようだ。
今まで男子ばかりだったところに、女の子が加われば、そりゃ華やかになっただろう。
それぞれ意識し合うものがいたとしても不思議は無い。
男女共学で学校生活を送ったものなら、ほとんど気にすることのないことばかりだが、今まで男所帯でやってきた者にとっては、女の子が加わる事はカルチャーショックだったかも。
万太郎の進む道
万太郎にとって、小学校の勉強は学ぶべき事は何もないと思われた。
このときのカリキュラムがどんなものだったかは詳しくは知らないが、教育制度は633制がとられたと思う。
小学校が6年間、中学校が3年間。そして高校となるわけだ。
ただし、小学校は当時尋常小学校と呼んだはず。
万太郎は、さらなる向学心を満足させるために、自分の力で書籍を取り寄せて勉強に励むことになる。
峰屋の当主として、どこまで稼業に身が入るのかは皆目不明。
しかし、今日のエピソードの最後に登場した彼こそが、これからのらんまんの主人公。
今まで子役時代を演じていた何人かの少年はお疲れ様だった。
来週から本格的に植物学者槙野万太郎の人生が描かれる。