今日描かれたエピソードは、万太郎と姉綾が実は姉弟ではなかったという驚きの事実。
予告編などである程度情報公開がなされていたので、うすうすわかっていた人も多かったのでは。
ただし、この物語のこの辺の設定は全くの脚色。
気になって調べてみたところ、モデルの植物学者牧野富太郎先生は兄弟姉妹はいなく、一人っ子。
この物語に登場してくる「綾は初めから架空の人物」なのだ。
物語用に設定されたキャラクターだと言える。
さて、もちろんいろいろ調べてみたら全くモデルのいない話でもなさそう。
それは次の機会に語るとして、今日描かれたエピソードでは、それぞれの登場人物の胸の内が詳しく語られていた。
万太郎が植物学をあきらめると言った言葉の裏にどんな秘密が隠されているのか。
竹雄はまず祖母のタキに事情を説明。
タキはその事実を踏まえて、万太郎と綾に思いがけない提案をする。
2人の生まれを詳しく説明して、夫婦になれと言う。
そのことから、物語は発展していく形に。
明かされた事実を受け入れることのできない姉弟。
この頃の日本の様々なしきたりなども交えて物語は展開。
目次
竹雄の述懐
東京から帰ってきた万太郎は、植物学の現状を正しく理解したようだ。
日本では、まだ新種の植物の命名をした人はいないらしい。
その仕事をするためには、東京にいて標本作りに励むしかない。
竹雄は万太郎のとっている行動から、本当は彼が研究をしたくて必死に耐えていることをよく理解していた。
そして、そのことを引き合いに出して研究を取るか峰屋を取るか厳しく問い詰めたことを白状する。
昔からのしきたりに従えば、万太郎は峰屋の当主としてしっかり勤めを果たさなければならない。
ただし、そのための条件“東京にいて研究を続けること”が実際は不可能。
竹雄に指摘されるまでもなく、万太郎は峰屋をつぐ決心をしている。
万太郎の苦悩を我が事のように受け止める竹雄。
そのことを詳しくタキに報告。
タキは竹雄の行動をねぎらって、いずれは誰かが言わなければならなかったことだと優しい言葉をかけた。
葛藤と使命感
万太郎は、植物学の研究がやりたくてうずうずしている。
必要な書物や顕微鏡などもしっかりと準備した。
しかし、それをやるための東京在住の条件がどうしても果たせない。
誰がなんと言おうと峰屋の当主である事は否定のしようがない。
そして、蔵元の当主ならおのずとしなければならない事は決まっている。
しかし、研究をあきらめ切れない万太郎は、夜もあまり眠ることができず封印すればするほど研究への憧れが否定できない。
タキの提案
タキから告げられたびっくりする事実。
万太郎と綾は実はいとこ同士だったってこと。
2人は確か1つ違いの姉と弟。
幼い頃、万太郎の母親が引き取って、我が子として育てたようだ。
この頃相次いで流行病で人が亡くなった。
この時代は、今ほど衛生観念が発達していたわけではない。
これらはコロリと呼ばれた。
正確には「3日コロリ」
発症すると、下痢と嘔吐でほぼ3日でなくなってしまうという。
記憶にも残るが、青天を衝けで描かれていた渋沢栄一の最初の奥さんもコレラで亡くなったはず。
渋沢栄一は再婚で、子供も認知していないものも含めれば50人近くはいたとの話がある。
この頃のコレラは、まだ病気の本質が解明されていなくて、恐ろしい病気だったことには違いない。
タキは万太郎と綾のいびつな関係に言及。
仕事に身が入らない万太郎と女であり蔵にも入れないにもかかわらず、蔵元の仕事を全力で手伝っている綾。
この2人こそ、力を合わせて一緒に峰屋をもり立てていくべきだと。
提案したのは「いとこ同士なんだから結婚して夫婦になれ」と。
この時代に限らず、いとこ同士の夫婦は結構あちこちに存在するはず。
法律上も問題なく結婚できるので、お互いが合意さえすればいくらでも可能なことだと思う。
綾 竹雄 万太郎
タキの提案を受けてはみたものの、『はい分りました』と言えるはずもなく。
万太郎は姉とは結婚できないと突っぱねる。
綾も今まで育ててくれた恩は別として、弟との結婚は受け入れられないと。
確かに、今まで姉弟でずっと暮らしてきたわけで、突然男と女になれと言われてもなぁ。
タキの提案は、見事に的を得ていると思いつつ姉弟の気持ちを考えれば厳しいことも事実。
物語の設定としてうまくできているなと思ったのは、この3人のやりとりを障子の向こうで竹雄がしっかりと聞いていること。
ここがとても大切な種明かし。
万太郎は竹雄が綾を大好きなことを見抜いていた。
その上で姉を幸せにできるのは竹雄しかいないと。
身分が違うとうろたえる竹雄。
そんな中、綾が失踪してしまう。
この部分は全て脚色で作られたストーリー展開なので、面白いことこの上ない。
しかし、今週はストーリーがまだ始まったばかりなので、あと三日間でどんな結論が用意されているのやら。