物語の中に新たな登場人物が。
それはかなりの有名人。
ジョン万次郎、その人。
はっきり言って、この物語のモデル牧野富太郎先生よりもジョン万次郎の方が私的には知名度があった。
ジョン万次郎を演じている役者も、超有名人。
宇崎竜童
私の世代で、この名前を知らない人はいない。
さて、物語は結社に赴いた万太郎が自由について様々な経験を積む場面と、綾と竹雄のツーショットの様子と2元中継の形で描かれている。
15分のドラマの中で場面が2つ行ったり来たりはかなり盛りだくさんな印象。
万太郎は、結社に赴いて自分が恵まれた境遇にあったこと、そして多分自分自身が傲慢な人間な事を思い知らされる。
さらには英語の読み書きができることをみんなの前で披露することに。
世の中は自由民権運動が育ちつつある頃で、皆そのうたい文句につられてさしたる理解もできずに、大勢集まった経緯があっただろう。
万太郎の出自に興味を抱いた早川は、ジョン万次郎のもとに彼を案内する。
そして、綾と竹雄のツーショットも2人のせつない胸の内が控えめだが、正直に告白されていて、見所十分な内容。
綾は幸吉への憧れを素直に吐露。
そしてそれは自分自身の傲慢さゆえの独りよがりだったことを後悔していたね。
竹雄は奉公人としての立場をわきまえながら、綾への正直な気持ちを打ち明けていた。
この2人が、将来的に一緒になるだろうことが、なんとなく想像できるけど。
それぞれの物語を描きつつ、この時代の人たちが本当に求めていた自由の本質が深く掘り下げられる内容に作られていた。
目次
自由の意味
人それぞれが自分のやりたいことにしっかりと取り組める。
大勢の人と交流することができる。
万太郎は自由をそんなふうに捉えたようだが、実際に胸に手を当ててみると万太郎はおよそ自由とは程遠いしがらみの中でがんじがらめになっていた。
植物学が緊急の課題で最も求められていると知りつつ、実際は峰屋の当主としての勤めを果たさなければならない。
そのジレンマにさいなまれ、苦しくて仕方がない。
声明社に求めたものはそれ。
自分の思うことを存分にやり遂げたい。
そのためにはどうすればいいのか?
早川たちの唱える自由を今一度しっかり勉強して自分のものにしたい。
結社 声明社
結社に行ってみたところ、大勢の若者たちが飲んで食べて大騒ぎしている。
自分のやりたいことを存分にやっているように見えるのはうわべだけ。
自由民権運動の本質は好き勝手なことを気ままにやることではない。
この中では、早川だけが他とは違って本質を深く掘り下げているような。
万太郎はこの場で英文の本を渡されたが、持ち前の教養で難なく読み進むことができた。
他の者たちは、残念ながら万太郎の教養には遠く及ばない。
結社に集まった者たちは、選挙などの様々な要請文を作ることで、かなり忙しいような雰囲気。
夜通しとどまって、酒を飲み眠るときは雑魚寝だと語っていた。
万太郎はおぼっちゃまなので、きちんと布団で睡眠をとることができていたので、下々の暮らしは意外だったに違いない。
ちなみに明治になってからでも、一般庶民は布団等は高級品であまり使えなかったと聞いた。
眠る時は、ござのようなものを敷いて、着ているものを脱いで体にかけて寝ていたらしい。
布団がきちんと登場するようになるのは、大正時代に入ってからだと聞いたことがある。
日本の文化の歴史では、布団でさえ贅沢な高級品だったことがなんとなく理解できる。
綾と竹雄
この2人のやりとりがとても興味深く描かれている。
失恋の痛手から必死で立ち直ろうとする綾。
綾への恋心をなんとか隠しながら、気持ちを表そうとする竹雄。
しっかり目を見て話したいところだけど、彼の奉公人の立場ではそれも無礼なこととしてどうしても表に出すことが叶わない。
2人で踊りを踊っている様子も描かれていたが、楽しそうな綾に対して困惑気味の竹雄。
物語の公式発表では、万太郎は東京に出て植物学者になるので峰屋は綾が婿をとって継ぐことになる。
誰が婿になるのかだけど、物語的には竹雄しかいないと思うけどね。
ジョン万次郎との出会い
物語の中では、ジョン万次郎は幕府直参のもと武士と紹介されていた。
調べたところ生まれは貧しい漁師の出で、漁に出て遭難したことでアメリカ船に拾われ持ち前の頭の良さから英語をマスター。
その時から英語の堪能な日本人として、通訳その他教育係なども務めることになった。
彼が物語の中で語っていた。
自由という言葉の意味が、驚くほど恨めしいのだと。
考えてみれば、自由とは義務と責任の果てに生じるものと理解する。
無責任に好き勝手にやることが自由ではない。
あくまでも、様々なバランスの中で活動することが厳しい条件として課せられる。
ジョン万次郎はそのことをアメリカで学んできたようだ。
明日のエピソードで今週の物語が完結することになるが、万太郎の将来にどんな影響を及ぼすのか興味津々。