いよいよ東大の植物学研究室に出入り可能かどうかの瀬戸際に立たされる万太郎。
およそ植物のことに関して、万太郎は日本のみならず世界でもトップクラスの実力があるものと想像に難くない。
しかし、この時代に限らず、世界中どこに行っても縦割り社会。
万太郎の今の肩書で果たして出入りを許してもらえるのかどうか。
物語の丁寧さはひしひしと伝わってくる。
考えてみれば、小学校すら満足に出ていない1人の若者が、日本の最先端を行く研究所に出入り自由になるなどありえないこと。
万太郎が今日植物学研究所の様々な人たちに出会って、どんなふうに関わるのかが詳しく語られる。
コーネル大学でしっかり学んできた田邊教授は万太郎の値打ちにいち早く気づく。
やはり学問を志す者にとっては、万太郎が今携えている研究結果が決して無視できない大変な値打ちものであることを瞬時に判断。
物語の流れとして、おしゃれだなと思うのは田邊教授と万太郎の会話の中に所々英語が混ざる事。
この時代、英語を自在に駆使できる人など、日本の中ではたとえ大学といえどもごくわずかな限られた人たちだけだろう。
今日は、植物学の値打ちを本当に評価できる2人が無事意気投合できたところまでが描かれた。
目次
植物学への決意表明
このときの東大理学部では15人いる教授のうち日本人は田邊氏を入れて3人との事だった。
つまり、学術的な事は、外国任せでしかなかったわけだ。
日本の植物学は、日本人で進めていくのが最もふさわしいと考えたのは万太郎だけではない。
学問を志す熱意ある者たちは皆、自分の国の事は自分たちで賄わなければならないと考えるのが普通。
日本の植物など、もちろん動物もそうだが日本人の手で明らかにしていくのが最もふさわしいんだろうと考えたようだね。
万太郎はとりあえず四国に存在する植物目録を完成させてからここまでやってきた。
それは、アマチュアの研究者のレベルをはるかに凌駕するもの。
考えてみれば、峰屋の財力を生かして、植物に関する世界中の書物を読みあさったばかりか、主なものは全て書き写してきたと言う。
大変な業績だろう。
それらのことを理解できたのは、物語の中では田邊教授と出入りしている学生たち。
とりあえずは、万太郎の業績をきちんと評価できる人たちがいる事は大いに心強い。
田邊教授の側近たち
田邊教授のすぐ下には助教授や講師たちがいる。
彼らは、どちらかと言えば、権威を守る側で学術的な研究者としては、イマイチの部分があるような。
特に助教授の徳永。
彼は、自分自身の立場を最大限利用して、学術的な研究などにはあまり目遅れていないような様子。
演じている彼は、たしか女優仲間由紀恵のご主人だと思ったな。
今回のドラマでは、俳優田中哲司が演じる徳永助教授がどうやら憎まれ役らしい。
俳優にとって憎まれ役を演じるのは絶対においしいだろうと考える。
どれだけ上手に憎まれるかで彼の値打ちが決まるんじゃなかろうか。
研究機関としての大学
大学は、学問を教える立場なのはもちろんのこと、それ自体が研究機関である事は今も昔も同じ。
この時代は、すべての学問がまず外国からの様々な手法を取り入れて、日本の中で確立することが急務だったようだ。
植物学も、まず植物フローラを完成させる必要が。
つまり、日本にどれだけの植物が繁茂しているか、そのことをきちんと把握する必要がある。
そのためには標本採集と細かな研究考察は不可欠。
事情をきちんと理解できていたのは田邊教授と万太郎のみだったような。
この2人が日本のこれからの植物学を背負って立つくらいの描かれ方になるんだろうと思う。
どうやら万太郎は、こちらの研究所への出入りを許されるような雰囲気。
ただし、徳永助教授たちのメンツが潰れたことで、彼らがこれから万太郎の作業を邪魔するような気がするが。
それでも、万太郎が加わることで、研究機関としての仕事は大いに進むに違いない。
意気投合
昨日のナレーションであったと思うが、万太郎と田邊教授は彼らにとっても日本にとってもとても大きな出会いを迎えたことになるとあった。
万太郎は地方の出身だが、最新の学問を学んできたと言える。
名教館時代、蘭光先生に植物学はおろか英語など必要な外国語も全て教えてもらってきた。
特に、英語などの外国語は万太郎の右に出るものはいなかったとさえ言われてきたのだ。
そのことを考えると、研究者としての万太郎は東大にはなくてはならない存在に。
今週の物語は、明日と明後日のエピソードで完結することになるが、果たして万太郎の存在がどこまで世界に通用するだろうか。