ひと昔前と違って、映画館で現代劇の作品を見ることなどほとんどありえないと思っていたが。
実は、ついこの間「ドクターコトー」の劇場バージョンを見たばかりで、今回もその流れで見たようなもの。
実は、東京MERは日曜日の夜9時にやっていたテレビドラマの延長バージョン。
全くテレビのドラマバージョンを見たことない人が映画館で見たとしても、ストーリーがうまくつながらない可能性はあったかもしれない。
あくまでもテレビドラマをしっかり見てきたことが予習となっていて、ストーリーに大きく信憑性を与えていた。
それにしても、登場人物たちのキャラクターは相変わらずとてもわかりやすい。
そしてつくづく思うけれど、映画でもテレビでも登場する俳優たちはなぜか、様々な作品に登場してしょっちゅう見かけることになる。
この世界はそれだけキャパが少ないってことだろうか。
俳優や女優は山ほどいるだろうに、登場人物を演じている人たちが、驚くほど限られた人たちだけで何とかなっていることが多少なりとも驚き。
主役を演じているのは、鈴木亮平。
俳優としての彼の圧倒的な演技力は、以前からちょっと注目していた部分がある。
今回のキャラクターもぴったりはまっていたような。
そして、脇役たちの存在感も驚くほどくっきり鮮やかで物語にぴったり合っていたかも。
ネタバレは、可能な限り避けて私なりに考察してみたい。
目次
俳優鈴木亮平
鈴木亮平は、塩屋俊の教え子として有名。
塩屋俊から俳優としての様々なレクチャーを受けたと聞いた。
そして、彼と共演した様々な俳優や女優たちの意見を聞くと、鈴木は驚くほどの努力家だと言う。
例えば、すでに撮影が終わったはずのシーンのセリフでも、しつこく練習してみたりなど。
撮影が終わってしまえば、後は用済みなはずなんだけど、本人の中では可能性としてこんな演技もあるんじゃなかろうかと自分なりの落としどころ納得するまで探すらしい。
それを称して周りのものたちは、『役者バカ』と呼んでいたね。
今回の劇場版のMERでも鈴木らしさは遺憾なく発揮されていたと思う。
考えてみれば、彼はNHK御用達の俳優でもある。
大河ドラマの主人公も演じたわけだし、他にも何作か彼が主演した作品を見たことが。
演技にかける情熱は、並々ならぬものがあって、作品によっては平気で体重の増減をこなす。
通常よりも20キロ近く体重を落としてみたり、また逆に増やしてみたり。
ハリウッドの俳優たちも、この方法を取る人はそれなりにいるようだ。
有名な所では、ロバート・デ・ニーロがこの方法をとっている。
短期間で体重の増減を計ることをデニーロ方式と言うんだそうな。
東京MERの歴史
テレビでやっていた東京MERは1人の犠牲者も出さないことを目的に医療スタッフが災害現場に派遣されることを想定して作られている。
実はその中のエピソードで、主人公の妹涼香は事件に巻き込まれて命を落としてしまうのだ。
彼女を取り巻くエピソードがとても印象的で、テレビドラマながらはっきりと記憶に残っていた。
さらには今回の劇場版でも、このエピソードは大きくものを言う。
際立つキャラクター
今、現在の朝ドラ『らんまん』に登場する俳優たちも、この映画の中では重要な役どころを演じている。
映画を見れば一目瞭然なので、すぐに納得できるだろう。
そして、キャラクターそれぞれがはっきりと色分けされて描かれるので、作品はわかりやすい仕上がりになっていたかも。
そして、キャラクターたちの心の動きもしっかりわかるような設定に。
今回は、渡辺謙の娘杏ちゃんが喜多見の相手役として登場していた。
彼女は現在パリ在住で、YouTubeでもフランスの生活ぶりを紹介しているね。
フランスの暮らしが板についているけど、女優としてもしっかり仕事をしている。
彼女の設定も味わい深い中身になっていて、登場人物のそれぞれと巧みに絡んでいく様子も
物語をわかりやすくしていただろう。
いい映画の条件とは
私が個人的に感じるいい映画とは
とにかくわかりやすいこと。
そして、セリフが圧倒的に少ないこと。
山ほどのセリフを並べたてられる映画などを見る気も起こらない。
では、今回の映画はどうだったろうか。
実は、お馴染みの緊急車両の中で手術をするシーンがあちこち描かれる。
そこで飛び交うのは膨大な専門用語を早口でまくし立てるセリフの場面。
おそらく映画を見ている人たちのほとんどはセリフの内容を理解できないと思う。
もちろん、私もほぼ理解できなかった。
ただ、映画を見終わって感じるのは、セリフの意味する単語等は理解する必要がないということ。
あれは言ってみれば歌を歌っているようなもの。
ストーリーのリズムを刻む上で、みんなで合唱していると思えば、セリフとしては聞こえてこない。
物語はかなりドラマチックに感動的に演出されるので、最後はちょっと涙ぐんじゃいそうになる。
私が勝手に決めた“いい映画の条件”はこの映画に関しては、正直当てはまっているのか当てはまらないのかあまりよくわからないが、映画は間違いなく面白かったとだけ断言できる。