「らんまん」は最新の石版印刷技術を習得しようとする万太郎の様子が描かれる。
今まで仕事など したことなかったものが、突然働き出すのにはそれなりの理由が。
万太郎は印刷の様子をつぶさに観察して気がついたことが1つ。
図柄を寸分違わず印刷するためには人任せではうまくいかない。
その結果として万太郎自らが印刷所に就職し技術を学んで自分で描く。
そして、念願の植物学機関誌の創刊には自分の図柄で間に合わせたい。
目的を遂げるための合理的な方法と思いきや実際は、万太郎のお目付役竹雄や大畑印刷所のメンバーはたやすく納得することにはならなかった。
しかも、万太郎のスケジュールは朝起床と同時に植物採集。
その足で大学に通い研究。
夕方大学から帰った後、その足で印刷所で夜中まで働くという。
どう考えてもハードスケジュール。
寝る暇はもちろんのこと、食事をする時間ですらままならない。
そんな中、白梅堂の寿恵子は万太郎がなかなか訪ねてこないことが気がかりで仕方がない。
寿恵子自身は高藤家でダンスのレッスンがある。
このままでは会えない可能性の方が高い。
思い悩んだ結果、自分の一番のお気に入りの本を万太郎に渡してほしいと母親に頼むのだ。
自分が1番好きな本を読んでもらうことで、自分のことを少しでも知ってほしい。
それぞれ、目的を遂げるために何をしようとしているのか、もどかしさを感じるような展開。
目次
万太郎と竹雄
物語の冒頭で描かれたのが夜中に帰宅した万太郎を問い詰める竹雄の様子。
話を聞いてみると、見習いで印刷所で働くと言い出した。
しかも、万太郎は砂まみれで帰ってきている。
子供の頃から、肺が弱くて熱を出しやすかった万太郎のことが心配でたまらない竹雄。
万太郎はそんな竹雄を疎ましく感じてしまっている。
植物学を全うするためにどうしても休みなく前進したい万太郎は、植物学機関誌の印刷も、自ら手がけなければならないと決して譲ろうとしない。
竹雄は万太郎を守りきれなかったことが悔しくて仕方が無いのだが、2人の気持ちには決定的に相容れない部分がある。
万太郎は、自分がこうだと決めたら他人の事などお構いなし。
わが道を突っ走って、他の人も意見には聞く耳を持たない。
竹雄の苦しい胸の内を考えると、2人のこれからの関係も心配になってくる。
大畑印刷所
主の義平は昨日のやり取りで納得したんだろうか、万太郎を見習いとして雇い入れることを職人たちに宣言。
年格好の似ている宮本に面倒を見てやれと命令。
万太郎にしてみれば機関誌に掲載する画像は、自ら描いたものでしか役目をなさないと厳しく実感してる。
そのための印刷技術を学ぶためにわざわざ見習いとして働き出すのだ。
見習いの最初の仕事はとりあえずは掃除。
その後、研磨用のの砂を運んだり。
最初から順調な人間関係は期待はできないが、それにしても周りの敵に満ちた眼差しの中で果たしてどれだけ順調に印刷技術を習得できるのか。
竹雄の決意
竹雄はふるさと佐川の峰屋のみんなのことを考えていた。
本当は、跡取りである万太郎を自分が守らなければならないのに、見ず知らずの印刷所で見習いとして働き出すという。
守れなかったことへの後悔と、この先どこまで一緒にやっていけるのか不安でたまらない。
その結果、自分が佐川に帰ることで道が開けるのではと考える。
竹雄にとっては、一世一代の苦渋の決断だったろうと思うが。
これ以上万太郎のそばにいたところで、何か役に立つことができるはずもなく。
しかし、これからの生活のことを考えると竹雄なしで果たしてやっていけるのかどうか。
今日のエピソードでは、ここまでが開かれることになったが、複雑な人間関係の描写はよくわかるが、ストーリーがなかなか進んでいかないのはちょっともどかしさを感じるかも。
白梅堂
白梅堂の寿恵子は万太郎に会えないことで焦りを感じていた。
そして、自分自身もダンスのレッスンで日中留守にしている。
母親に、私自身が1番好きな本だと言って渡してほしいと願い出るのも苦肉の策。
万太郎と寿恵子がお互いを気に入っている事はよくわかる。
そして、理由があって今少し距離があることも見ている我々は理解できるけど、当事者にしてみればもどかしいばかりなんだろう。
特に寿恵子は高藤家で籠絡される可能性も出てきた。
実業家高藤は寿恵子にご執心。
いずれ何らかの形でアプローチがあるんだろうと誰もが推察する。
物語の細部に至るまで驚くほど丁寧に説明されるので、肝心の2人のエピソードがいつから始まるんだろうかと心配になっちゃう。