1週間締めくくりとなるエピソード。
喜びに溢れたものと思いきや寅子の心はいまひとつ晴れない。
合格してからも心から消えないモヤモヤ感。
その正体は試験合格とは全く別なものであることが今改めて描き出される。
祝賀ムードで溢れる明律大学。
皆がお祝いしてくれるが、寅子の心のわだかまりはそのまま。
そして記者会見で受けた質問から寅子は自分の心のモヤモヤ感の正体に気がつく。
世の中の仕組みそのものが男女平等とは程遠い。
つまり、自由な活動を求められながらも、活動そのものを初めから許されていない。
本当の意味での自由で男女平等なの社会が寅子たちの目指す目的。
寅子は新しく弁護士として出発することにはなったがこの先待ち受ける試練を考えれば、手放しで喜ぶわけにはならなかった。
それにしても大学での祝賀の様子。
さらには寅子と花岡の2人の関係。
最初の方で語られていた試験に不合格だったよねとの会話。
それぞれの思いは次に来るステップに向かって容赦なく歩みを進める。
既に来週の予告編も。
初の女性弁護士になった寅子たちの本当の意味での活躍はまだまだ先になる。
伊藤沙莉の渾身の演技が物語をより格調高いものに導いていると思う。
目次
㊗️合格
男性でも難しい司法試験、取材した記者たちが語った言葉だけど確かにいろいろ勉強させてもらううちにかなりの難関であることがよく理解できた。
インタビューの中で語られていたが、一番賢い女性との表現があったけど、そこからの寅子の受け答えは見事と言う他は無い。
寅子曰く
1番になりたくて勉強してきたけど、自分が1番だなどとは口が裂けても言えない。
司法試験に合格するまでに、何人の仲間が消えていったことか。
様々な事情があって断念せざるを得なかった仲間たちと自分を考えたとき、自分が1番賢いなどとは到底思えない。
男性女性は出発点から平等ではない。
女性は様々な点で不利益な設定のまま。
寅子はを怒りとともに感じている。
今回合格した先輩の中山や久保田も同じ。
平等な社会を目指さなければならない。
お祝いしてくれる事はとても嬉しいことに違いないが、これから先こそが本当の意味で頑張らなければならない。
寅子の感じてきたモヤモヤ感はここではっきりと分析することが。
目指すべき世界が見えてきた瞬間でもある。
よねが不合格だった理由
よねが寅子を尋ねてわざわざ自宅まで。
彼女は今回試験に落ちてしまっている。
そして、寅子を戦友だと思っているフシがある。
よねの試験の時の様子が物語で語られていた。
専門的な法律の知識を披露するのは完璧だったに違いない。
しかし、試験官たちは女でありながら男装しているよねをいぶかしげに見ていたに違いない。
口述試験の最後の方で聞いていた。
弁護士になっても、そのトンチキな格好を続けるのか?
よねには最大の侮辱だろう。
怒りを込めて、お前たちのくだらない偏見を押し付けるな!
試験の最中にこんなやりとりがあったとすれば不合格間違いない。
しかし、よねは決して諦めずに必ず試験を突破すると宣言していた。
寅子には本心を明かして、自分の進むべき道を宣言。
よねには男装しなければならない切ない事情があった。
よねは男全体に対して憎しみとか怒りの感情が根底に。
それはよねの法律家を目指す最大のモチベーションであり、致命的弱点でもあった。
そこはみだりに刺激してはならない。
今回の試験の様子から鑑みるにやはりある程度きちんとした作戦を立てなければ、口述試験突破は厳しいのかもしれない。
明律大学女子部法科にて
先週の話ではもし試験に合格するものが1人も出なかったら、女子部は廃止との事だった。
今回3名も合格できたことで女性徒の問い合わせも数知れず。
存続は間違いないものと思われる。
しかし、合格した3人とも共通の思いは、女性と男性は社会的に平等ではないこと。
女性には、はるかに劣った権限しか与えられていない。
寅子は力説していたが、男女平等な社会を目指さなければならない。
自分はそのための努力をこれからも継続するのだと。
この演説は残念ながらほとんどの新聞記者たちに無視された模様。
実はかつて冷やかしのような記事を書いていた竹中だけが、寅子の決意を記事として取り上げていた。
ここにも不思議な味方がいるような。
目指すべき道
今でもよく言われることだが、男女平等は言葉で語るのは驚くほどたやすいが実現は一筋縄ではいかない。
男女平等を、同じ仕事をし同じ活動をすると考えるのは誤り。
それぞれ持ち味があり、特徴は千差万別。
さらにはおのずと決まる役割分担だってある。
女性の場合、子供を産んで育てる大任がある。
当たり前だが、男はその責を負わない。
子育てを不利益と考えるならどこで平等を保つ?
さらには子育てを不利益なことと捉える考え方こそが誤りだと言えるのでは。
口で言うのは簡単だが、誰もが納得できる男女平等な社会は寅子のような先進的な考えを持った人たちに活躍してもらうしかないのでは。