とても内容の濃い1週間と言って良かっただろう。
物語は見るものを引きつけ、不思議に感情移入させる。
時代は昭和13年から15年にかけて。
主人公猪爪寅子は法律家になるべく司法試験にチャレンジ。
迎えた最初の試験は見事にハジかれ落とされてしまう。
既に24歳になっている寅子は、未だ独身ゆえにこのまま進めば婚期を逃してしまう恐れが。
猪爪家では母親はるが引き返すなら今だと言って寅子の説得を試みる。
元より人の意見など従う気がさらさらない寅子は父親の後押しもあって、弁護士事務所で働きながら2度目の司法試験を目指すことに。
当初5人いた寅子のメンバーは1人欠け2人欠け残ったのは、寅子とよねのみ。
狭き門な事は最初からわかっていたが、ここまで厳しい世界だと誰が想像しただろうか。
5人のメンバーたちの切ない事情を描きながらの1週間。
時代背景と言ってしまえばそれまでだが、女性は男性と同じ職場で同じ仕事にはつけなかった。
努力と苦労の甲斐あって、寅子は2回目の司法試験を突破。
晴れて初の女性弁護士3人の中の1人に。
しかし、苦労してたどり着いた地位は手を上げてび会えるほど嬉しいものには感じられなかった。
女性はどうしても男性よりも劣っているとみなされ、対等には扱われない。
弁護士になった今、寅子が目指すべきは男子女子の性差でふるいにかけられない平等な社会。
目次
司法試験初回チャレンジ
メンバー全員は手ごたえ十分で最初の試験を終了していた。
しかし、試験の厳しさは甘い考えなど一切通用しない。
もし男性と女性が同じ点数で並んだ場合、どちらを採用するかと言われれば、迷わず男性を選ぶと答えが。
女性が司法試験に合格するためには他を圧倒するほどの見事な回答をする必要が。
これは試験の手応えについて感想を述べていた寅子に桂場が語った言葉。
女性が司法試験を突破するためには、男性と同レベルの成績では満足な結果にはならない。
最初の筆記試験で合格できた女性は先輩の久保田のみ。
この時明律大学で司法試験口述試験に至るまで合格できたのは花岡ともう1人の男子生徒。
司法試験の合格者はほとんど帝立大学出身者で占められていた切ない裏事情が。
猪爪家家族会議
最初の試験に失敗したことで、はるは後戻りできるのはここまでだと力説。
諦め切れない寅子は何とかしてもう一度チャレンジしたいと懇願。
男性なら何度でも挑戦できるが、女性は結婚を控えた身であるなら適齢期が厳しく存在する。
物語の中ではまだ明確に描かれていないが、寅子には結婚してもいいと思うような気持ちはあるのだろうか。
結婚が幸せだとは思わない
物語が始まった頃彼女はそう断言していたが、だからといって結婚したくないとは言っていないはず。
いずれ寅子にも相応のご縁があるのではと推察。
共に戦った仲間たちの奮闘ぶり
女子部法科の生とは様々な事情を抱えて司法試験に臨んでいた。
海外からの留学生もいる。
さらには子供の将来のために法律を学んでいた主婦梅子。
彼女の家庭環境はドラマでも思わず涙ぐんでしまうほど過酷なものだった。
仲間たちはそれぞれ頑張って司法試験突破を目指していたが彼女たちの事情は、試験合格までの努力を許してはくれなかった。
それぞれ複雑な事情を抱えている。
どうしても自分1人だけ突っ走ることにはならなかったようだ。
たどり着いた世界
2度目の試験を受けることになった寅子たち。
筆記試験に合格したのは、寅子とよね。
ただし、試験を受けていたのがこの2人だけなので、他は試験会場にすらたどり着けていない。
寅子の同期生では彼女1人だけが合格。
そして、先輩の久保田と中山が加わって3人の女性弁護士が誕生。
合格するまでの道のりで、大勢の仲間が脱落せざるを得なかった。
司法試験は男性でも厳しく難しいとされる国家試験。
女性が突破するためには、並大抵の努力では無理なことがよくわかる。
試験に合格してもモヤモヤした気持ちが晴れない寅子。
それは世の中の仕組みそのものが男性女性平等には出来上がっていないから。
弁護士になったとしても、どれほどの需要があるのかすらわからない。
男性と女性の同じ弁護士がいた場合、依頼する方はどちらを選ぶんだろうか?
実はこのことを示唆するような来週の予告編が公開されているよね。
女性でなくて、男性の弁護士にしてほしいと。
それでは寅子の出番はなくなってしまうことに。
今でこそ男女問わず法律家は大勢いると思うが、この時代はそうはいかなかったんだね。
今週の物語はここまで。
弁護士として世の中に認めてもらうには、試験に合格する以外に何が必要になるんだろうか。
答えは来週描かれる。