戦後の様々な事実が物語の展開とともに明らかになる。
今日の主人公は父直言。
彼のキャラクターと語った内容がこの物語を象徴する。
寅子の夫優三の死亡告知書をおよそ半年隠し通していた直言。
その理由が彼らしい語り口で明らかに。
物語は今が1番重く苦しいことを象徴するが、語り口に直言を用いることでユーモア溢れる受け入れやすい出来上がり。
今回の朝ドラで強く感じるのは、それぞれのキャラクターがくっきり鮮やかに描かれていること。
登場人物たちそれぞれが物語の中で躍動感たっぷりに活躍。
寅子が夫の死亡告知を知らされなかったことで、家族たちそれぞれの反応に注目が。
直言が本心を語ることで家族たちそれぞれも自分の気持ちを正直に表現できる。
生活に追われ未来への希望が全て失われて生きる意欲すらもなくしてしまう。
脚本家の筆力が冴え渡る。
ひたすら謝罪を繰り返す直言。
義父のやったことに怒りをあらわにする花江。
寅子にきちんと怒るべきだと詰問💢
物語の中で1番フツーに思えた瞬間だったが、花江の言葉の中に思わず絶句する一言が。
それは、父親とは生きているうちにお別れができるのだから
考えてみればこの時代家族を戦争で亡くした人たちは、家族の死に目に立ち会えていない。
ほとんどすべては後から一方的に知らされただけ。
臨終には立ち会えていない。
わずか1〜2秒のセリフの中に時代を象徴する悲劇が語られた。
目次
優三の死亡告知書
告知書が届いたときにすぐに見せられなかったことをひたすら謝罪した直言。
この時真っ先に考えたのは、猪爪家はもし寅子が悲しみのあまり活動できなくなったら、終わりだと考えたようだ。
つまり内緒にすることで寅子にそのまま働き続けてもらおう。
かなり無礼な考え。
わざわざ告白してしまうところが、直言が本当の意味で嘘をつけない気弱な性格だと証明したようなもの。
物語は昨日の流れを受けてここからが出発点。
時代とは言え、本当に大勢の人が亡くなったんだと痛烈に思い知らされる。
直言の謝罪
直言が最初に話した内容は思いがけず寅子への質問。
それは花江がこれからも猪爪家の一員でいられるかどうか?
いぶかしげにうなずく寅子。
兄嫁だけど幼なじみで親友の2人が別れるとは考えにくい。
そして直言は花江に語った。
この先良いご縁があったら再婚するようにと。
もちろん子供は連れて行ってもいいし、置いて行ってもいい
話はそれで終わり。
ここで花江が激しく反発。
終わりなわけないでしょう😡
花江は直言の寅子に対する振る舞いが絶対に許せないことだと受け止めていた。
何の権利があって本人に来た連絡を他人が隠せると言うのか。
妻は夫の出来事についてきっちり知る権利がある。
寅子をけしかける。
今日描かれた物語の真骨頂はここからになる。
直言の前にぶ然とした表情で座る寅子。
謝罪しながら、今までの様々な出来事について思い浮かぶままに語り始める直言。
優三との結婚が想定外だったと!
寅子の夫は花岡君で決まりだと考えたそうだ。
これで娘は幸せになれる。
あちこち手を回して情報収集したとも語っていたね。
周りの家族たちは、直言のとんでもない行動に開いた口が塞がらない。
それにしても嘘をつけない真面目な性格ってのはキャラクターだったけど、逆にそのキャラクターが物語を誰にも受け入れられるわかりやすい形にしてくれたような気がするね。
額面通りに受け取ったらこれは悲しみの局地でしかないわけで。
もちろん本人たちは大真面目にやりとり。
次から次へと出てくる直言の本音。
今にも死にそうだと言うのに呆れ返った周りの者たちはむしろほっと一安心。
ただし物語の中で厳しい現実もしっかりと告知されていた。
往診した医者がもう長くは無いから覚悟を決めるようにと。
死に行く者の遺言だったかも。
花江が象徴する時代の悲劇
この時代徴兵された軍人たちで戦死した者たちは、家族には会えない。
当たり前のことだが、戦争とはこうした悲劇の積み重ね。
花江はそのことが悔しいやら悲しいやらで立ち直るどころの話ではなかった。
今週ずっと描かれてきたように戦死報告で紙切れ1枚で片付けられる場合がほとんどのようだ。
戦争中よりも戦後の方が膨大な事務処理もあって通り一片の扱いになった可能性が高い。
あしらわれた方はたまったものじゃない。
しかし、このことで裁判とかクレームとかの話は聞いたことがない。
つまり、ほぼすべての人がこの流れに納得するしかなかったんだろうね。
直言のナレ死
直言はナレーションで死亡が告げられた。
穏やかな死に顔だったと。
あっけない最後と言えばそれまでだがユニークな登場人物が1人物語からいなくなることに。
しかし、今週来週から物語は本格的に法曹家としての活動が始まる。