物語の設定は昭和22年3月。
ちょうど、戦後の復興が始まった頃。
寅子は新憲法に新しい世の中の可能性を強く感じ、再び法律の世界で生きようと決意。
司法省(現在の法務省)の人事課へ裁判官として雇ってもらえるように直談判。
ここまでが先週までの流れ。
今日描かれた続きのエピソードでは、新しい登場人物や かつての学生仲間とも再会。
司法省は民法の改正作業で全く人手が足りておらず、正直なところ猫の手も借りたい状態。
登場人物の中で今日初めてお目見えしたのが、
民法調査室の室長久藤頼安(ライアン)
演じている沢村一樹は朝ドラを始め、様々なドラマで顔なじみ。
ちょっと前の朝ドラのひよっこで主人公の記憶喪失の父親役を好演していたと思った。
物語の内容では時代背景を強く意識。
昭和22年は女性代議士3名も誕生した年。
そしてこの時代、先年凶弾に倒れた安倍晋三の父親安倍晋太郎が結婚した年でもある。
調べると岸信介の娘婿とある。
戦後の国家作りは様々なシステムの見直しから進められることになる。
憲法は新しくなってみたが、周辺の様々な法律はすべてこれから見直しを繰り返し、新しいものに作り替えることになる。
寅子は裁判官になることを決意していたが、簡単になれるわけではなかった。
手続き上クリアしなければならないことが多数。
今週から描かれるのはその前段階と言うことになりそう。
今日から登場した久藤頼安は極めてユニークだが寅子目線では胡散臭いと片付けられていた。
目次
司法省人事課
憲法ができたのは早かった。
しかし、憲法だけで人々が暮らせるわけではない。
周辺の細かい決め事や約束事をこれから新たに規定する必要が。
以前六法全書の項目を紹介したことが。
憲法、刑法、法民法、商法、刑事訴訟法、民事訴訟法。
これらのうち最初に制定されたのは憲法。
すべてはこれからディティールまで完成させる必要が。
おそらくGHQから期限を切られててんやわんやの状態だったと推察。
法律に多少なりとも関わった人材なら猫の手も借りたいほど欲しかったに違いない。
今と違って採用試験のようなものはなかったようだ。
どうしても口コミや人づてでの人材集めになったと思う。
寅子の言い分
寅子は昭和13年司法試験に合格。
その時の規定では、女性は弁護士として活動する以外に選択肢はなかった。
今回彼女が希望するのは裁判官。
これはかなりハードルが高い。
人事課長は、この時代は人集めが主な仕事だったろうと思う。
おそらく、課長の一存でどうにでもできた部分もあったはず。
桂場は可能な限り、自分の独断を避けたいと考えたようだ。
つまり周り全体を見回して誰からも納得してもらえるような人事配置を心がけたいと。
寅子のことはよく知っていたので、能力的な部分では心配していなかったはず。
しかし、結婚を機に彼女は一旦司法の世界から身を引いている。
彼女の希望する裁判官と言う役割は、軽々しく出たり入ったりできるような役目ではないというのが桂場の受け止め方。
寅子を簡単に採用しますとは言えない引っ掛かりが。
久藤頼安との出会い
久藤の存在は寅子にとって願ってもない助け舟に。
司法省の入り口で激しく食い下がっている彼女を見るにつけ、ユニークな女性だと大いに興味をそそられた。
彼は、この時代でもかなりの変わり者として描かれている。
出身が、かつての藩制のお殿様ということを考えれば、一般庶民とは感覚は異なって当然。
演じている沢村一樹は以前の「ひよっこ」で大勢の人の前に。
彼が受け持っているのが民法調査室。
およそ10名ほどの男性が勤務。
その中には、かつて寅子の同級生だった小橋も。
新しく仕事をもらえたわけだから贅沢は言えないけど、ヨリによって学生時代のちょっと苦い思い出が。
あの時の司法試験は確か彼らは不合格だったはず。
その後頑張って合格したんだろう。
小橋の発芽玄米のような前髪は明らかにウケ狙いだろう。
今も昔もお笑い芸人じゃあるまいし、あんな髪型はありえない。
そして寅子に意地悪をする設定もウケを狙ったものと思われる。
昭和22年の時代背景
女性代議士も生まれて、明らかに日本社会は変化の過渡期にあったはず。
司法だけが昔のシステムで機能させようとするのには無理があったのかもしれない。
この時代、重だった戦犯の裁判も終わったようで、岸信介も政治家として活躍し始めていた。
寅子は民法に関わる様々な調査をする部署に配属。
どちらかと言えば彼女の得意分野だった可能性も。
仕事で何度も弁護士として活躍していたので個別の省例についてもそれなりに経験値があったはず。
寅子の仕事ぶりが今週のテーマに。