昨日から始まった今週のエピソード。
戦後すぐの日本、とりわけ東京の様子が詳しく語られる。
わずか15分の枠ながら驚くほどの説得力を持って伝わる「虎に翼」
昭和24年1月から新しく家庭裁判所が発足。
少年法が改正されたこともあって、様々な対応に追われる。
この時、東京をはじめとする大都市など全国で大きな問題だったのが戦災孤児の爆発的な増加。
物語の中では昨日から登場した戦災孤児道男。
見た感じ15〜16歳の設定だろうか。
生き抜くために様々な犯罪に手を染めながら寅子たちと出会うことに。
この当時、街に溢れる孤児たちは日本全国どこでも悩みの種。
彼らは保護者がいない存在で収容施設なども相当量必要なはずだったが、残念ながら国内には全く受け入れる余地はなかった。
その結果、家庭裁判所に大勢の孤児たちが持ち込まれることに。
寅子たちは受け入れ先探しに忙殺されることに。
今で言う所のホームステイ先の感覚が近いだろう。
しかし、ご時世を考えれば、このときの日本人は皆自分たちだけでも生きていくことが精一杯。
見ず知らずの子供を預かることなど断られて当然のような。
寅子は最後に残った道男の預かり先が見つからず、悩んだ末相談もなく自宅に連れ帰る。
これから先に続くだろうストーリーの展開の布石とも呼べるようなエピソードも物語の中で語られる。
冒頭で描かれた「カフェ灯台」での多岐川を交えた物語はこれから進むべき物語の方向がちらりと垣間見える。
目次
轟法律事務所(カフェ灯台)
よねも轟も生きていた。
終戦までの厳しい状況下、生き残ることは頑張らなければムリだった時代。
スリ少年道男を追いかけてきた寅子たちの前にはかつての仲間轟とよね。
再会を喜び合う轟と寅子に対し、心を閉ざしたままのよね。
こっち来んな!
語気も荒く、寅子を拒否。
法曹界で生きてることを認めないような口調はかつてのコワいよねそのもの。
よねは寅子が妊娠を機に弁護士を辞めたことを気にしていたと思う。
仕事をしながらの子育てはこの時代では至難の業。
寅子を拒否するよねにとって、今更、苦労を背負い込むような寅子の振る舞いは許せないと受け止めるのはありがちな話し。
多岐川とよねたち
寅子が轟やよねとやり取りしているところにやってきた多岐川たち。
彼は最高裁判所家庭局長官の肩書き。
少なくとも日本を代表する立場にある人たちのひとり。
あれだけ横柄な態度のよねが思わずたじろいでいたね。
多岐川は裁判官時代の経験や、さらには朝鮮から引き上げてくるときの様々な苦難が彼の人となりを形作っていた。
決して軽いノリの変なおじさんではない。
ちょびひげの貧相なおじさんにしか見えないかもしれないが、どことなく漂う雰囲気には、おのずと優しさに満ちた威厳が。
多岐川のモデルとなった宇田川潤四郎は歴史にも残る人物。
物語の中では、破天荒でピントのずれたおじさんの役柄に設定されているが、実際は家庭裁判所を設立した偉人。
物語の中ではきちんと威厳を示す場面が正確に描かれていたと思う。
戦災孤児の現実
この頃、警察は街中に溢れる孤児たちを浄化作戦と名付けて一斉取り締まりを行っていた。
それにしても子供たちをあたかも汚れのように扱うネーミングは今ではかなり違和感がある。
このような子供をたくさん作ってしまったのは大人たちの責任。
どうやら、警察としては街から厄介者を整理するくらいの感覚だったのかも。
取り締まって補導してみても、彼らを収容するスペースはどこにもない。
そこでできたばかりの家庭裁判所に持ち込んだと説明されていた。
家庭裁判所はとりあえず聞き取りから始める。
名前を聞いて、両親の所在などを確かめるんだろうね。
孤児になっているという事は帰るところもなく、もちろん住むところも食べ物も自分たちで調達するしかない。
物語で描かれていた内容としては、孤児になった子供たちが孤児院やその他の収容施設に入れてもすぐに逃げ出してしまう。
外がどんなに寒くてひもじくても、施設に入れられることを極度に嫌がったみたい。
単純な話いじめられたんだろうね。
意地悪されるぐらいなら、少々寒くてもお腹が空いたとしても自由に暮らせる今の方がいい。
幼い子供たちの考えることには相応の理由が。
道男を受け入れた猪爪家
道男と言い争いになった寅子。
その時の思いつきで、道男を引き取ることになった。
もちろん家に帰れば家族たちが大歓迎してくれるわけもなく。
ただ1人母親のはるだけが、「困った時はお互い様だから」の精神で道男を受け入れることを決めた。
ふてぶてしい態度で家族に合流した道男。
今まで野生児のように過ごしてきたわけで、猪爪家の他の子供たちとうまくいくはずもなく。
今後こちらの家庭ではこのまますんなりとことが進むとは思えない。
ネタバレはできないが、かなり先の流れまでは情報公開されている。
正直なところ、今週はまだハラハラドキドキな状況が継続すると思っていい。