物語の設定は、昭和27年12月から翌年1月。
寅子は以前から知り合っていた森口美佐江との関わりについて頭を悩ませていた。
ずいぶん前から物語に登場をしていた赤い腕飾り。
どうやら美佐江の心の闇が象徴されるようなアイテム。
新潟に出かける時は美佐江と会うことが多くなった寅子。
美佐江は大学受験を控えてちょうど今が追い込み時。
勉強には全く手を抜けない厳しい時期。
寅子の元へ美佐江が尋ねてくる。
わざわざ1人で乗り込んでくるなんてどういうつもりなんだろうと誰もが思う。
美佐江は寅子の質問にきちんと答える部分と曖昧な部分が存在する煮え切らない態度。
今日の物語の中で美佐江が寅子に逆に質問をするシーンがあった。
なぜ悪人からものを取ってはいけないのか?
なぜ自分の体を好きなように使っていけないのか?
なぜ人を殺してはいけないのか?
昔から人としての生き方を考えるときに、ごく初歩の疑問として怒ってくる。
世の中の大多数がそれとなく疑問を抱いたこともあるのでは。
若い頃に私も考えたことがある。
さらに他にもある。
人殺しをすれば殺人罪で処罰される。
しかし、国同士の争いで戦争となれば多数の殺人は咎められることがあるだろうか。
今日は広島の原爆記念日
アメリカは昭和20年8月6日、広島に原爆を一基投下しておよそ10万人の人々を殺戮。
個人的には犯罪行為だと思ってはみても、アメリカは決して認めないし処罰することもない。
およそ世の中には、欺瞞や詭弁が。
今日のエピソードは、人間社会の根源が問われるような重たい内容だったかも。
目次
森口美佐江事件
新潟市内で女子高生3名が売春容疑で捕まったとのこと。
そのうち2名は素直に罪を認めて鑑別所に送致されたらしい。
しかし一緒にいた美佐江は自分はただそこにいただけと絶対に罪を認めようとはしないらしい。
美佐江の交友関係は謎の部分も。
寅子を尋ねる様子もしっかり描かれていた。
そしてやりとりでは寅子も直球勝負で美佐江と話し合う。
おそらく同世代の子供なら簡単に美佐江に手玉に取られるところなんだろうが判事の寅子は法律の専門家として簡単にはなびかない。
寅子は美佐江に再三本当のことを話すように迫った結果、美佐江は家に帰ってから父親に犯罪者扱いされたと訴えたようだ。
どうやら一筋縄ではいかないような難しい案件。
美佐江は様々な人とのつながりの中で、よらぬことに手を染めているのかもしれない。
寅子が取るべきスタンス
寅子は親しげに近寄ってくる美佐江を快く受け入れていた。
特に大学入試の事など聞きたいことがいっぱいある美佐江にって寅子の存在はかけがえのないもの。
最初は疑問を抱くことなく受け答えしていた寅子だったが、美佐江とは親密になるにつれて特に友達関係など心配事が。
もともと少年審判が専門の寅子は美佐江が犯罪に関わっているのではと疑念を抱く。
美佐江が抱く疑問
美佐江の抱いた疑問は人として生きる場合誰もが抱いたことがあるだろう。
しかし、たいていの場合は深く考えることなく、それは良くないことだと素直に受け入れる。
いくつか抱いた疑問の中で、
どうして人を殺しちゃいけないのか?
この疑問が究極だろう。
誰もが納得できる回答は意外に出てこないかも。
動物の世界を見回せばよくわかる。
弱肉強食と言って、動物の世界では弱いものは殺されて食べられてしまうのだ。
それが生きているものの摂理と言ってしまえばそれまで。
人間には納得できること納得できないことが多数存在。
結論から言って気にし始めればキリがないってところか。
納得できる答えとは?
納得できる答えを見つけるのは大変な作業だと言わざるを得ない。
よく言われるのは、人間は社会的動物なので社会のルールをきちんと守ろうとする。
ルールから外れる事は様々な人から非難され、場合によっては処罰の対象に。
しかしそのような通りいっぺんの答えは大勢の人を納得させることにはならない。
私が単純に考える答えは、
なぜ殺してはいけないのか?
それに質問で答える。
では自分が殺されるとなれば受け入れられるか?
これが私の答え。
誰かから殺されるなんてまっぴらごめん。
だから自分がされて嫌な事は他人に対してもしてはいけない。
答えになっていないかもしれないが、他に説明のしようも見つからない。
最後の方で描かれたこの場面だけど美佐江が寅子の行動に対してどんな気持ちを抱いたんだろうか?
寅子の弱点として認識したのか、それとも自分の気持ちを本当にわかってくれる人などいないと言うことか。
セリフにはならない登場人物たちの胸の内が重く切ない。
物語は、赤い腕飾りをアイテムとして大きく広がりを見せる。
今週のエピソードはまだ始まったばかりなので、おそらく残りの三日間で驚きの事実が明らかにされるかもしれない。