1週間締めくくりとなるエピソードだったが、正直なところちょっとウソくさい展開だったようにも感じた。
航一が寅子にプロポーズするシーンが描かれたが、あんな大勢の前で恥ずかしげもなく分かり切ったセリフでプロポーズするだろうか。
昭和30年だよね。
ちょうど私が生まれた頃の時代なのでなんとなく記憶もたどることができるが、中年の男女があんな会話をするんだろうかと思ってしまう。
さて疑問はともかく航一と寅子は次なるステップに進もうと、さらに親密の度合いを深める。
特に昨日からの続きで直明と玲美の関係はどうやら誰からも受け入れられるような。
花江は周りの状況から見て、2人の結婚を承諾することに。
そしてさりげなく描かれていたが、原爆裁判の予備審議の様子。
どうやら原告も被告も真っ向対決のような。
史実によればこの裁判が結審するまでに8年かかっている。
寅子は難航する裁判とプロポーズへの回答のせめぎ合いの中で時間だけが過ぎていくような。
心優しい航一は返事は決して急がないのでずっと待ち続けると。
寅子は仕事やプライベートでなかなか気の休まる暇がない。
中年の男女が一緒になるためには様々なクリアすべき課題が。
それは他でもないそれぞれが所属する家庭の交流。
今まで赤の他人だったものが曲がりなりにも親戚になるわけで。
無理をしてはいけない事は誰もがよくわかっているが、しかし考えるとどうしても無理してしまうのが現実。
物語は来週の予告編も公開された。
思いがけないセリフがいくつも飛び交う。
物語の中心が航一と寅子だとわかってはいるが、ハラハラドキドキする興奮は来週にも引き継がれる。
目次
家族裁判
デリケートな議題なだけに意見を述べるとなると、どうしても感情が先に立ってしまうし、言いたいことが優先されてしまう。
航一はその都度話を元に戻して円滑な議論が進むように誘導。
家庭裁判は花江に対するみんなの気持ちを正直に述べる形で進められた。
花江が今まで家族に対して向けられていた愛情が報われたと言っても良い瞬間。
花江は直明のお嫁さんが同居することで苦労することを自分の身に置き換えて心配していたのだ。
結論として、それが取り越し苦労だったと物語の中で語られる。
航一の分析した玲美
玲美ちゃんは航一の分析するところではかなり気が強く自分の意見をしっかりと述べる。
そして言葉もかなり豊富。
航一は花江の抱く心配は、むしろ今回の場合当てはまらないのではと意見。
もし苦労があるなら、それは花江の身の上に起こるのではと提言。
つまり、同居した場合苦労するのは花江の方じゃないかなと。
確かに言われてみれば、やりとりから推察するに気にかけて苦労するのは花江だろうなと。
虎に翼は役者たちが放つセリフの裏で、行間の心理描写が特に巧み。
今回も航一の気持ちが家庭裁判の途中至るところで表現されていた。
周りのものが“寅子”と呼び捨てにするたび彼は嫉妬を覚えたと言う。
まさかのプロポーズ
航一は自分の気持ちとしっかり向き合うことができたと語っていた。
その上で寅子には正式なプロポーズをする。
寅子は思いがけない申し入れに思わず回答を保留。
みんなに自分の得意料理を振る舞うことに。
物語の中では航一が自分の家族にプロポーズを報告するシーンが描かれていた。
義母の百合さんの問いかけに答える形。
ここで気になったのは、航一の息子朋一と娘のどかの振る舞い。
航一には微笑んで見せるものの実際は全く笑えていない。
星家にはまだ語られていない謎の部分がある。
それは来週の予告編で明確に現れているような。
義母の百合さんははっきり口にしていた。
私は認めません!
これかなりきつい言葉だと思うけど、何らかの障害があるんだろうと推察する以外にない。
原爆裁判の行く末
原爆裁判の様子もしっかり描かれていた。
この場合被告になるのは日本政府と言うことに。
そして事前の予備審議では国側は当然のごとく請求棄却を要求すると一言。
裁判になれば、多額の賠償金請求が想定されて大きな負担を抱えることになる。
想像された結末だろうと思う。
さて今日の物語の1番最後に登場した轟の付き合っている人が明らかに。
轟は今で言うと、LGBTなんだろう。
要するにゲイってことだよね。
以前、彼は同級生の花岡に好意を抱いているような描かれ方がなされていた。
あの段階で布石は貼られていたと思う。
これは特にこの時代を考えれば、簡単には受け入れられるような軽い内容ではない。
予告編の中にもこの2人がしっかり登場していたので、おそらく少し掘り下げて描かれるものと。
来週以降は、物語はいよいよ取りまとめに入ってくるものと思われる。
いつもながら目の離せない展開。