今日のエピソードは15分の物語ながらなかなかユニークな作りになっていたと思う。
冒頭始まったのは寅子の夢
どうやら受けたプロポーズに対して悩みや葛藤があるらしい。
夢の中に様々な寅子を代表する形で過去の1連の寅子が描かれていた。
若い学生時代の頃。
司法試験に合格した直後の頃。
結婚して佐田寅子を名乗り始めた頃。
極めつけは航一と結婚して星寅子になったちょっと打算的な寅子
結婚することを1つのステータスと考えている星寅子は成功しているには違いないが、果たして幸せなのかどうかは全く別な議論。
様々な立場の寅子の言い争いにさいなまれて叫び声をあげて夢から覚める。
いろいろ考えてみると結婚は男女の合意に基づいて夫婦どちらか一方の姓を名乗るのが世の中のしきたり。
しかし今日描かれたのは轟と遠藤のように男同士の関係だと、全く議論が成り立たないことが発覚。
男同士だと結婚することすら不可能
寅子は男女が一緒になることこそが結婚だと盲信していた。
しかし、すべての人がそのシステムで幸せになれることでもなさそう。
寅子は浅はかな反応によって轟たちを傷つけてしまったことを深く謝罪。
民法上ではいかなる人たちも自由な存在で幸せを追求できると解釈できる。
結婚するのにどちらかの姓を名乗ることにも問題があることが発覚。
どちらかをとれば、どちらかが犠牲にならざるを得ない。
夫婦別姓は今でも議論はされているが、実現には遠い道のりが待ち構えている。
そんな中、航一が爆弾発言
星姓を捨てて佐田姓を名乗る
しかしこれはあまりに大胆すぎる発言。
目次
寅子の夢
夢のシーンに登場していた5人の寅子。
夫婦どちらかは姓を変えなければならない。
自分がかつて猪爪から佐田になった時は特に感じなかったものが、ここへ来て大きく悩み始める。
結婚は気に入ったもの同士が意気投合して一緒になること。
どちらか一方が不利益を被るようでは一緒になる理由も怪しげなものになる。
ユニークだったのは、星寅子に扮した寅子
肩書としては申し分のない夫、自分自身のステイタスも見事に満足させられる。
しかし、寅子も航一も様々な過去を背負っている存在。
どちらかが歩み寄る形で、今現在の自分の方向を捻じ曲げる。
寅子が抱いた疑問は人としてのあり方の根源。
簡単に結論の出る話ではない。
さらには今回の結婚に関わる相談で轟と遠藤を傷つけた可能性があることに気がつく寅子。
気に入ったもの同士が一緒になるのに必ず男女でなければならないと言う決まりは無い。
物語で描かれたのはレアなケースかもしれないが、好きになる気持ちは考えるほど単純なものではなさそう。
人を好きになること
轟はいわゆるゲイ。
男同士で意気投合する。
轟は花岡が亡くなった時、自分の感覚に気がついたそうな。
そして、よねに励ましてもらわなければ今の自分はないとさえ思っている。
寅子は自分の心ない発言で傷つけてしまったことを心から謝罪。
気にするなと轟
世の中はそうしたものだと逆に寅子を慰める。
人を好きになることの本質は、究極のプライベートなんだろうと改めて思わざるを得ない。
ざっくりとした場合分けは可能かもしれないが、その人その人の感じ方こそが中心に添えられるべき。
誰もが幸せになるようにと思いつつも、その幸せが誰かにも当てはまるとは言いにくいだろう。
様々な概念や偏見なども無用。
寅子の轟への謝罪
寅子は能天気に自分自身の結婚について好き勝手に告白していた。
よねが自分の好きにしたらいいと突っぱねたのも納得できる。
しかし、佐田姓か星姓を選ぶとなるとかなり疑問が残る。
そして選べるうちはまだいいが、全く選べない人だっているわけで。
自分自身の配慮のなさを後悔する寅子。
轟は受け答えの中で人生の終わりに後悔を残さないことと語っていた。
言葉では簡単だが、そんな単純なものではない。
人生の終わりに後悔しまくるのが人間だと思うので。
航一の爆弾発言
航一の爆弾発言で激しく反応した義母の百合さん。
彼女の亡くなった夫に申し開きが立たないと語っていたね。
星家を存続させるとこそが百合さんの願い。
航一は自分の氏姓にこだわっていないことを強調するが、物語を見ていてもあまりに説得力がない気がする。
単純に、無責任な発言だろう。
家系が存続することにはそれなりの意味がある。
自分勝手に途絶えさせるわけにはいかないだろう。
私事になるが、私は妻も子供もいない。
生来の1人者。
このような人間は将来的にどうなるんだろうかと考えるが、人としての務めを果たせていないことには違いない。
自分の子孫を残せない事は、先祖に対して大きな失望を与えることになるだろう。
実はそのことを考えて大きく悩んだ時期もあった。
しかし縁のなかったものにはいかんしがたい問題。
無責任と言われるかもしれないが、私は今の私の人生を継続させるしかないと考える。
さて、航一の決意はともかく周りの家族の了解をどのように取り付けるんだろうか。