なるほどと思わせるような見事な流れが演出された。
航一は結婚するのをやめようと言い出す。
もちろんこれには種明かしが。
いわゆる婚姻届を提出するような夫婦関係を目指さない。
最近の言葉で言うなら事実婚と言うことになるだろうか。
物語の中で語られていたのは、
内縁の夫 航一
内縁の妻 寅子
と言うことになる。
2人が目指すべきはそれぞれの幸せがどんなものなのかをお互いに考える。
そして、事実上の夫婦であることを宣言すると同時にそれぞれが遺言書を作成。
遺言書の複製をそれぞれが所有する形で、事実上の夫婦になったことを宣言。
物語のモデル三淵嘉子さんは41歳の時ご主人と再婚して三淵姓を名乗ることになったので、物語とは微妙に異なる。
今週、何度もブログで紹介しているが物語の作者吉田恵里香さんには男女の関係についてこだわりがあるんだろうと感じる。
現在子育て真っ最中の脚本家だが文筆家としての情熱は筋金入り。
特に今回の物語ではLGBTのような社会的に少数派の人たちのつながりも詳しく語ろうとする。
自分自身の筆力にそれなりの自信がなければ簡単には取り上げられる題材ではないだろう。
物語を描く上で社会的な少数派の意見も作中では重要な意味を持つことが改めて納得させられる。
そして、寅子と航一には思いがけないサプライズも用意されていた。
目次
航一の提案
昨日の“結婚式を辞めましょう”の大胆発言はさすがにびっくり。
詳しい説明が今日なされる。
婚姻届の代わりにお互い遺言書を作成する。
そして自分たちの相手が事実上の夫であり、妻であることを宣言する。
婚姻届を提出すれば、夫か妻かどちらかの姓を名乗るしかない。
これは今も昔も変わらない。
さらには法律上、事実婚もよく話題には登る。
内縁の夫、あるいは妻の呼び名は相続などには採用される。
寅子と航一の報告
航一と寅子はお互いの署名捺印で遺言書を作成していた。
そしてそれを婚姻届の代わりにしようと言う話。
今日描かれたエピソードの中で
優未が百合さんにおばあちゃんと呼びかけるシーンがあった。
物語の流れが1番納得できる作りになっていたと思う。
思わず涙ぐんで喜びを表現する百合さん。
これから先2つの家庭は同居することになるのでなるべくわかり合えていた方が良いに決まっている。
原爆裁判
物語の中では、遠回しな言い方で原爆裁判の流れのようなものが描かれていた。
歴史的にもしっかりと記録に残る裁判なのでモデルの三淵さんが担当判事だったことも有名。
損害賠償そのものは棄却する形にはなったが、アメリカの戦争犯罪をしっかりと摘発して認定した事は世界初だったろうと思う。
広島や長崎で数十万人の人が一瞬で亡くなった。
詳しく調べてみると、これはいわゆる無差別攻撃で、無抵抗の一般市民に対して加えられた攻撃。
もちろん他にも昭和20年の東京大空襲とか、大阪など日本の主要都市は無差別の爆弾攻撃を受けていた。
実は戦争に関わる条約があって、無抵抗の一般市民に攻撃を加えてはならない取り決めがある。
ハーグ陸戦協定と言って、調べるとすぐに出てくる。
戦争はもともと国同士の人殺しなので、命のやりとりに取り決めもクソもあるのかと思うが、実際はあまりに非道な事は人としてやってはいけないこととされる。
こんな取り決めをするぐらいなら最初から戦わなきゃいいんだけど。
そこは人間の愚かさというか業というか。
サプライズ
今日の物語の最後に登場していたかつての仲間たち。
竹もとに集合したメンバーは全員法服を着ていたよね。
この物語の最初の頃にも模擬裁判か何かで似たようなシーンがあった。
直明は自分の結婚式について寅子と航一にお礼を言う形でサプライズを用意していた。
要するに手作りの結婚式のような雰囲気。
いつも一緒に暮らしているとありがとうなどの感謝の言葉は省略される場合も。
つまり、何かをしてもらっているにもかかわらず感謝の気持ちを表現しないのはやがてされることが当たり前に感じてしまうことだってあり得る。
世の中の家族のすれ違いはそういったことから始まるんじゃなかろうか?
夫と妻は基本的には他人なので、それなりの配慮は初めから存在すると思うが、親子となるとそうはいかないのかも。
物語で描かれる航一の2人の子供と航一にはどうやら行き違いがあるような雰囲気。
かなり根深い内容だと思うので、簡単に片付くことではないと考える。
ちなみにモデルの三淵さんは夫の三淵さんの4人の連れ子とは簡単には打ち解けられなかったようだ。
最初から作り上げた家族なら、気心の知れた部分もあるが、彼女の場合41歳の自分と50歳の夫との再婚で気を使う部分がかなり多かったはず。
それでも一緒になろうと決意したのには覚悟と否定できない恋愛感情があったものと推察する。
さて明日で締めくくりとなる今週のエピソードは、どんなまとめ方が用意されているんだろうか。