物語は様々な疑問を投げかけながら時代背景のもと、次々と新しいエピソードが加わる。
星家では新しい生活が始まってはみたものの航一は自分の子供たちとの埋められない溝に悩んでいた。
見ていてもよくわかるが、フツー家族の会話は思うほどには多くは無い。
夫婦ならそれなりに会話することもあるだろう。
しかし、子供と親の関係になると、小さな子供のいる家ならいざ知らず、大人になってから会話する事は少なくなるのが普通だと感じる。
航一は真面目な性格ゆえに、自分に何か落ち度があるのでは?と自らを責め続ける。
寅子が心の晴れない夫に寄り添う
星家の家族の中では優未が絶妙な立ち位置で生活を満喫していた。
優未の入学式には猪爪家から花江が星家を訪問。
はなやいだ雰囲気の中、航一と子供たちの温度差は明らか。
短い時間の中ながら、星家の子供たち同士の会話も描かれていた。
さらには猪爪家では直明の妻玲美と同居が始まった花江にも経験したことのない違和感が。
それぞれ感じ方も捉え方も違う人たちが1つの場所で暮らすとなれば、歩みよりやお互い気配り目配りする事は増えるだろう。
寅子には直明から法律に興味のある子供たちのための特別教室を開いてほしい依頼が。
二つ返事で快く引き受ける寅子。
始まった特別教室は思いがけず少ない参加者だったが家庭裁判所からは2人の応援を得て勉強会が開かれる。
子供たちの素朴な質問と意見を聞いていくうちに、世の中は古くから伝わる習慣や伝統がまだ心の中に強く残っていることを感じる。
既に戦後10年以上経っているにもかかわらず、暮らしている人たちの心の中は思う以上に昔のまま。
簡単には心の中までは変えられない。
目次
星家のギクシャク
星家がいつからこんなふうにギクシャクした関係になってしまったのかはわからない。
しかし、反発する子供たちに対し全くなすすべもない航一は悩みを深めるばかり。
物語の中で語られたのは、寅子と一緒に慣れたことで今までできなかったこともひょっとしたらできるかもと思い始めたらしい。
埋められなかった子供たちとの溝も頑張れば何とかなるかもと。
朋一もまどかもいい所の子供たちなので決して非行に走るような行動をとる事は無い。
多分、1番多感な成長期に親の愛を受けられなかった焦燥感のようなものがあるのかもしれない。
そして、自分の進むべき道を見据えて気に入らないことには蓋をして目をつむる。
一言で言えば徹底した個人主義が子供たちのスタンスだろうね。
航一 朋一 のどか
星家では家長の航一が子供たちとの溝を埋めようと日々悩んでいる。
その様子は寅子にも伝わっている。
見ていて感じるのは義母の百合さんの存在。
航一と朋一のどかは血がつながっていてかなり近い距離にいることを感じるが百合さんは全く逆の感じ方をしていること。
星家のために家のことを全て引き受け、家族が円満に暮らせるように努力や労力を惜しまない。
不思議な家族のカタチだがこのメンバーに寅子と優未が加わるのだ。
物語はさらにややこしくなる。
家族の増減はこの時代になれば難しかった気がする。
日本は戦前は大家族制度の中で生活が成り立っていた。
戦後になってアメリカの個人主義が世の中で市民権を得たことで、家族は小さく分散化されることになったと思う。
いわゆる同居が少しずつ減り始めた頃だと言える。
中学入学した優未
優未を演じる前田暖乃と花江役の森田望智は民放の別ドラマで共演している。
このドラマで前田暖乃が演じているのは、姿は小学生で心は中年女性と言うとんでもなく難しい役どころ。
森田望智は物語の中ではどちらかと言えば端役だったと思う。
花江は直明の妻玲美との関係に困惑していた。
自分の時とは全く違う。
花江は姑に料理の味付けなど必ず姑に確認していたが、玲美の場合そういった事は全くないらしい。
やり方は人それぞれだから、周りがどうこう気にすることではないんだけど。
優未は自分の立場をよくわきまえていて上手に立ち振る舞っている。
微妙なニュアンスを感じ取りながら控えめに立ち振る舞うなんて、以前の前田暖乃からは想像できないかも。
裁判所内特別教室開催
直明から裁判所についての勉強会を提案された寅子。
どうやらいじめっ子が1人混ざったようで、子供の参加はわずか3名。
説明係として、家庭裁判所から稲垣と小橋2人の裁判官も久しぶりに登場する。
爆弾発言をする子供がいたよね。
女は働かなくてもいいのになんでわざわざ苦労するために働くの?
とんでもない爆弾発言が、今日の物語の最後のシーン。
法律がどんなに新しいものに変えられてもそれを運用する人間の心の中は簡単には変わらないだろう。
ずいぶんとすごい子供もいたもんだけど寅子たちはどんな説明をするんだろうか?