物語は、怒涛のような勢いで進む。
原爆裁判が始まったことに加えて、寅子の周りでも様々な出来事が。
星家では百合さんが認知症に。
予期せぬ事態に慌てる家族だが、何とかして頑張ろうとする百合さん本人。
今では認知症として誰もが知る症状だが、この時代は社会的にもそれほど大きく認められた存在ではなかった。
何よりも今のような受け入れ施設などないご時世では家族がすべての世話を受け持つ。
そして主人公寅子はどうやら更年期障害による体調不良で悩んでいるような様子。
しかし、物語の中心で考えなければいけなかったのは原爆裁判だろう。
この裁判は公判から判決まで8年かかっている。
結果は史実にも伝わる通り国側の勝訴。
8年もかけて負け戦をした
と言ってしまったら言い過ぎだろうか。
最初にこの裁判を計画した雲野弁護士は物語のいきさつから考えてこの結果を見通していたような気がする。
戦争を振り返ることそして一人ひとりが正しく受け止めて未来に語り継ぐこと。
裁判が目指すべき結論は勝ち負けではなかったのかもしれない。
重いテーマが描かれた1週間だが物語は残すところ3週間分。
司法をテーマにしているので専門用語や独特の言い回しなどもわかりにくさを代表している。
しかし脚本家はそれでも物語がテーマにしている助け合う心、行動する気持ちを最大限描き切ろうとしているように見える。
目次
星家の家族
長男朋一は司法試験に合格して九州で判事補になったとのこと。
優秀な事は言うまでもない。
そしてのどかは銀行員として働いている。
星家には少しずつ深刻な問題が進行しつつあった。
他ならぬ義母百合さん。
今で言うと、この認知症がどうやら彼女の身の上に。
航一の調べたところでは、
老年性痴呆
今の認知症に相当する。
症状から考えて、最もベーシックなアルツハイバーかなと
ただ、この時代はまだ治療法や受け入れる社会体制などは全く出来上がっていない。
患者を抱えた家族はひたすら家族の支え合いで患者を見守るしかなかった。
物語で語られていたのは夜出かけようとする百合さん。
どうやら航一や寅子が交代で残って世話をしているような。
航一の娘のどかと寅子の娘優未は百合さんへの対応でぶつかり合ったことも。
学生の優未と働いているのどかではどうしても同じに語れない部分が。
認知症は今すぐ死に至るような病ではないが、周りの家族たちを疲弊させることでは他の病気とは比較できない厳しさが。
猪爪家の人たち
猪爪家では結婚した直明と玲美に子供ができたような。
物語ではお祝いに駆けつけた寅子と優未の様子が描かれている。
猪爪家では花江の息子の直人が一浪して司法試験に合格。
航一の息子朋一の1つ後輩になる設定。
この物語に出てくる子供たちは皆とても優秀。
男の子たちももちろんのこと女性のメンバーも皆頭が良い。
原爆裁判の顛末
原爆裁判の結審は昭和38年の12月とあった。
8年かかった裁判だが、もうこの頃は最初の東京オリンピックの前年に相当するので、日本の戦後の復興もずいぶん進んでいたと思われる。
新幹線なども着々と準備されて、オリンピックの直前には開業にこぎつけたはず。
私の世代だと記憶にも鮮明に残っているので、自分の人生からも振り返ることが可能。
原爆被爆者がどれだけ悲惨だったかは、当時の様々なニュースなどで間接的に知っていたと思う。
さらに今はネット社会で当時の情報をことごとく調査することが可能。
原爆はアメリカにてマンハッタン計画で作られた産物。
広島と長崎に投下された原爆はタイプが異なる。
広島タイプはウラン235を原料にしたリトルボーイと呼ばれる。
作られたのは、この一発だけ。
長崎のタイプはファットマンと呼ばれて原料はプルトニウム
爆縮タイプの原爆で2発準備された。
そのうちの1つは実験によって爆発され、残った2発の1つが広島、もう一つが長崎に。
歴史には克明に伝わることだが長崎タイプの原爆は、この後アメリカ国内で100発のオファーがあり、直ちに生産開始されたと伝わる。
物語でも描かれたが取り残されたのは被爆者たち
朝ドラは著名な俳優女優も端役で使うことが多い。
この女優も朝ドラでは3作目の登場となる。
残りわずかとなった虎に翼
虎に翼は本編の残りは、15話。
もう残り時間はわずかでテーマとしてどんなことが描かれるんだろうか。
既に様々な話題はは登場し尽くしたように思われる。
さらには寅子の娘優未の配役も変わる。
来週からはバトンタッチして大学生になった設定で川床明日香が演じることに。
これ以上の変更は想像しにくいので、後は退場する出演者がどの程度おられるのか?
残りの物語の展開から、次の物語への興味が既に始まってくる。
最近は売れっ子の女優を主人公に据えていることが多い。
興味があって必ず見るが、物語が薄っぺらくなることだけは決して望まない。