虎に翼は残すところ、あと3週間。
時代もずいぶん過ぎて様々な人たちが登場し、退場することに。
物語の最終的な時代設定は昭和44年1月とあった。
この年は1969年でアポロ11号の月着陸の年に相当する。
今でもはっきり記憶に残るが、私は高校1年生。
振り返ればたくさんの人たちとの出会いや別れが。
「虎に翼」では、何人かのメンバーは役者が変わり物語から退場する人も。
寅子は家庭裁判所の少年部の部長と言う肩書きに。
そして家庭裁判所の長官があの久藤。
さらに桂場は最高裁判所長官に就任していた。
彼は日本の司法の頂点に立ったことになる。
時間の経過は容赦ない。
振り返ればもう50年以上も経過。
つくづく容赦ない時間の経過を感じる。
不思議なもので人は変化を好みつつ、自分の置かれた境遇が変わることを極度に恐れる。
私が20歳直前の頃は学生運動華やかなりし頃で社会的にもずいぶん注目される事件が多かった。
特に東大の安田講堂事件など記憶にも生々しい。
さらにはこの後は、連合赤軍の浅間山荘事件へと続くことに。
日本はバブル経済の直前で貧しさとは無縁になりつつあった時代。
しかし物質的な豊かさとは裏腹に、国民は心の中から大切な何かを感じにくくなってきたことも。
心の豊かさは一言で語るのは難しい。
寅子は判事になってからずっと取り組んできた少年法についてさらに深く関わることに。
目次
原爆裁判顛末
8年もかかった原爆裁判は国側が勝訴の形で決着。
つまり日本に賠償責任はないことになり、さらには弁護費用は原告側が支払うということになる。
全力で戦ってきたにもかかわらず、1番苦しく厳しい結果が出たことで重苦しい雰囲気が漂う。
轟とよね 岩居は事務所でほぼ焼け酒状態。
尋ねてきた寅子もかける言葉が見つからない。
このシーンで注目すべきは最敬礼で頭を下げて謝罪する寅子に目に涙をいっぱい浮かべて酒の入ったコップを差し出すよね。
何十年も付き合ってきた2人は不思議な連帯感のもとにつながっていた。
ジャーナリストとしてしっかり記事を書き続けてきた竹中はどうやらこの辺で物語から退場しそうな雰囲気。
星家から百合さん退場
認知症は百合さんを徐々に蝕んでいた。
物語で描かれた百合さんは時間等の感覚も全くちぐはぐな状態。
今でこそ認知症は様々な手当てが準備されているが、この時代は存在そのものの認識が始まったばかり。
対応は全て家族任せ。
百合さんは今日のエピソードから2年後に亡くなったとナレーション。
いわゆるナレ死。
星家は航一と寅子、のどか 優未の4人家族になった。
朋一は判事として既に仕事をしている。
結婚もしていて、子供も生まれるような雰囲気。
猪爪家の直人より1年早く裁判所の現場に飛び込んだ形になる。
この3人はかつて子役時代から登場していたね。
真ん中の優未は今週からさらに配役が変わる。
今日は充分注意して見ていたけど、優未 と話しかけるシーンがなかったので、どんなふうに変わったかは注意深く観察しないと見逃してしまう。
担当する配役の役者チェンジはいろんな方法があると思うけど、このドラマのようにさりげなくやるのもありだと思う。
それぞれの解釈
物語でも特に重要な配役に汐見の家族がある。
日本人の夫と朝鮮人の妻の国際カップルだが、娘が1人生まれている。
妻は、物語のはじめの方から登場していた通称ヒャンちゃん。
戦争末期朝鮮から駆け落ち当然で日本にやってきていた。
そして物語にも度々登場する多岐川のところに居候をする形。
命がかかっているような大切なシーンでも、多岐川と寅子のやりとりはユーモアたっぷり
手術の傷跡を見るか?
結構です! 即答する寅子。
こんな場面で笑を取らなくてもいいのにと思っちゃうけど。
物語の中で、彼もまた重要な役どころを演じてきた。
最初の頃の穂高先生の教え子で 多岐川 久藤 桂場。
この3人は今や日本の司法を支える重鎮。
時代の流れからして亡くなる人が出てきてもやむを得ないかなと。
仕事に立ち向かうポリシー
物語で描かれている寅子の仕事に対するポリシーがしっかりと語られていたシーン。
どうすれば犯罪を犯したものにふさわしい未来を提案できるのか。
寅子にとって困っている人に無条件で手を差し伸べる。
そのことこそがやるべきことだとしっかり認識しているような。
モデルの三淵さんは少年少女の話を聞く点で誰にも真似できない優れた力を発揮していたらしい。
かたくなに口を閉ざして語ろうとしない若者も三淵さんと話すと素直に気持ちを表現したらしい。
この物語でもそんな様子が語られるのかもしれない。
寅子は上から目線で物事を見ていないことがよくわかる。
必ず相手の立場に立って考えること。
彼女が目指す司法のあり方の基本中の基本かも。
周りの人たちはこのことを三淵マジックと呼んだそうな。