くわちゃんの独り言

音楽や映画が大好きな爺さん。長年の経験から知りえたことを発信します。

虎に翼振り返り 生命の尊厳への讃歌

本来ならば今週1週間の振り返りとなるべきところだが、あえてこの物語全般を振り返ってみたい。

「虎に翼」は法廷ドラマで、弁護士を始め裁判官や裁判所で働く人たちの物語だと認識。

主人公猪爪寅子は弁護士になるために努力し結果 目標を達成した。

まだ世の中では女性が社会に出て働くことなど稀だった時代背景。

頑張れば必ず思い通りの道が開けると信じて司法試験に合格。

1度は子育てで職を辞することになるが再び裁判所に復帰。

最後は家庭裁判所所長を任命されることになる。

寅子は2度の結婚を経て、女の子を1人授かる。

彼女の娘優未は母親とは真逆の人生を歩むことになるが、周りの人たちへの気配り心配りでは、誰にも真似できないほどの素晴らしい才能を発揮。

母親とは違った意味で、成功者としての人生を歩むことになる。

物語は様々な登場人物とともに、描かれた時代背景は太平洋戦争を挟んだ前後と現代に至るまで。

日本の歴史を考えたときに、明治以降では戦争を度外視しての歴史はありえない。

主人公の人生そのものが戦争を中心に形作られたと言っても過言ではない。

主要なテーマとして憲法14条に掲げられた、基本的人権の平等精神が挙げられる。

すべての人々は、様々な条件に差別されることなく平等であると規定されているが、それはどこまでいっても建前で、実際に法律のもとに暮らす人々の心の中まで法の精神が及んでいたわけではない。

寅子は憲法の平等の精神を守るために、正しく法律を運用し人々の幸せのために奮闘努力を。

最終回からのオフショット 俺にはわかる🤪

目次

 

主人公佐田寅子

佐田寅子と娘優未 寅子はイマジナリー

寅子は自分の目的達成のためには努力を惜しまない。

法律を学ぼうと決意した時はお見合い話が持ち込まれていたが、全く乗り気でない彼女にとっては迷惑だけのこと。

その後奮起して大学に合格さらには弁護士資格も取得。

1度は子育てのためと戦争中のこともあって、仕事から外れるが復帰。

裁判官判事として様々な裁判事例と向き合うことになる。

特に彼女の場合、少年少女との関わり合いがとても深い。

モデルとなった三淵嘉子さんと同じ。

三淵嘉子さんとご主人乾太郎さん

物語では2度目の結婚を経た主人公は苗字を変えずに、最初の佐田姓のまま活躍していた。

三淵さんはその都度夫の苗字に従ってきたようだ。

物語では女の子が1人生まれているが、実際は男の子。

脚本家が物語を作るときに変化させている。

女性が世の中に出て働くときにどこが乗り越えなければならない壁なのか、この物語ではしっかりと描き切られていると思う。

まず1つは結婚に基づくこと。

日本の場合、結婚すれば必ず夫か妻かどちらかの姓を名乗らなければならない

最初にそこが問題になり、妊娠や子育てが加わるとさらに仕事からリタイヤする必要が。

この場合、女性を社会的に援助する法律は今でも現在進行形。

主人公寅子が活躍する時代から議論は切れることなく継続されてきた。

法律家を目指す女性たち

明律大学女子部のメンバーたち

明律大学の法学部では、女子部が新たに設けられていた。

寅子たちは第1期生に相当する。

ちなみに日本で司法試験に最初に合格した女性たちは3名。

そのうちの1人がモデルの三淵嘉子さん。

女性の法律家としては、日本の草分け。

物語の中では、女性のメンバーも複数登場する。

法服をまとったメンバーたち

もちろん物語なので、男性たちも多数出演。

弁護士や裁判官など物語に花を添えていた。

その中で特に大切だと思われるメンバーは桂場。

いつも仏頂面で機嫌悪そうな様子だが、寅子たちと精神はよく似ている。

最高裁長官を退官直後 70歳の設定と思われる

彼の存在が寅子の活躍に花を添えていた。

寅子の法律に対する精神を十分に汲み取りながらも、たどり着くまでの方法論が大きく異なったりもする。

彼は、世の中の人たちの心の中が古い時代のしきたりや習慣にとらわれていることを理由に、新しい法律の運用には消極的。

彼の優柔不断さが寅子たちとぶつかることに。

最後は寅子たちに押し切られる形で、彼自身も行動を起こすことになるのだが。

裁判所内で起こる様々な出来事

弁護士バッジ自慢😅

物語の中で語られてきたのは、私たちが古くから受け継いできた習慣などに基づく偏見とも言うべき概念。

特に女性は家庭に入って子育てをしながら夫を支え、夫は外で仕事をして家族を支える。

この既成概念に真っ向から戦いを挑んだのが寅子たち。

どこまでいっても、自分の意思でやりたいことをやると言うのが寅子たち。

男女の関係でも、物語で取り上げられたのはLG BT問題。

今ではずいぶんメジャーな言葉になったが、いわゆる同性愛などを含む男女の恋愛感情の規定について。

と同時に寅子は少年法の運用について深く関わってきた

彼女の取り組みが日本の少年法の運用に関わる歴史そのものと言っても良い。

特に大切な特徴として彼女は若者たちの気持ちをしっかり聞き切ることを力説。

どんな些細な事でもしっかりと耳を傾け理解しようとする。

物語は最初から最後までこの案件で埋め尽くされていたと思う。

憲法14条の精神

物語の基本的精神

生まれも育ちも違い、様々に異なる人たちが世の中で暮らしていくためには、それぞれ相手を理解しようとする気持ちが何より大切。

憲法で規定された平等の精神は、努力する気持ちがなければ達成されるものではない。

娘を見守る寅子 実はイマジナリーで実在していない

様々な問題提起を含みつつ、物語は粛々とスピード感溢れる展開で進行。

気がついたら最終回を迎えていたと思う。

次の朝ドラも既に予告編など流れているような。

多くの人を感動させた「虎に翼」は見事に完結。