良い音楽はいたるところに溢れていると信じてますが、朝早くの放送でお気に入りの番組が1つありますね。
NHKのFM放送ですが「バロック音楽の楽しみ」
今はもう無くなった番組で、同じ時間帯で「古楽の楽しみ」として継続してやってますね。
この音楽番組で記憶に残っていることが1つ。
番組のパーソナリティーをやっていた皆川達夫さん
この方の本も読ませてもらいましたね。
かなりレアな本で内容がとても興味深かったのです。
バッハがオルガン曲に秀でていたことの理由をこの本でもって知ったのですね。
実はこの放送の頃、私はまだ22歳の若造だったのですが、東京で仕事をしていて、夜の仕事から帰ってきて朝方ラジオから聞いた記憶があるんですね。
今聞き返してみると皆川先生はこのような語り口だったんだと改めて懐かしく思います。
この当時いろいろ聞いた中で、心に残っている様々な作曲家がおりますが、すぐにぱっと思い浮かぶのはフランソワクープランでしょうか。
バロック期の作曲家の中では第一人者と言っていいでしょうね。この時代はおよそ150年ほどの間とされていますが、バッハがその最後に出てくるわけです。
バッハをバロック音楽と見る向きもありますが、基本的には古典派の分類でよろしいかなと。
わたし的にはこのクープランのようなハープシコードを聞くとバロック音楽独特の雰囲気に浸ることができる気がします。
クラシック音楽の世界ではこの後、古典派の音楽が花開きモーツアルトが時代を席巻しました。
これもちょっと専門的な話になるんですが、クラッシック音楽の世界ではバッハの前と後では音楽の作りが決定的に変わってきていると思うわけ。
バッハよりも以前の作曲家たちは、作曲をするときに、1つの旋律ではなく、同時に2つ以上の旋律が存在するような、副旋律音楽を主にこしらえておりました。
この副旋律音楽の頂点とも言える様式がフーガですね。
何小節かの主旋律が、まず奏でられその後、追いかけるようにして次の旋律がバリエーションを少し変えて追いかけていくわけです。
バッハの曲を聞くとよくわかりますよね。主旋律が奏でられた後、必ず変奏曲が重なって出てくるアレです。
このようなポリフォニックな音楽はバッハを頂点として完成されたと思うわけです。
しかしモーツアルトの時代になると、この方式はあまり採用されなくなりましたね。
印象的な主旋律があって、その主旋律を盛り立てるべく伴奏が周りで奏でられる。
モーツアルトは一般大衆をお客さんとして見た場合、このようなわかりやすい作曲方法がベストと考えました。
このようなモノフォニックな作曲方法は、それ以降のクラッシック音楽の主流となったわけです。
どちらの音楽がわかりやすいかどうかは、それは好みによると思いますね。
バッハはポリフォニック音楽の頂点を極めておきながら、教会音楽を作曲する傍らで、バイオリンやチェロ、リコーダーといった楽器のソロの曲をたくさん挑戦的に作っておりますね。
ほとんど単音か、それに類した位の音しか出せない楽器を無伴奏で演奏させる。
バッハほどの作曲家になると、この後に人々に支持される音楽がどのようなものなのかを自分自身の手で模索していたきらいがあります。
しかしながら音楽そのものは感性そのもので感じ取るものですよね。
多分、音楽の仕組みとか、作りとかで、感性そのものが左右される事は少ないと思われます。
今から40年以上も前の話になるんですが、このような番組で何気なく聞いていたはずなのですが、音楽に造詣が深まった事は言うまでもありません。