物語は、明治のこの頃日本で盛んになりつつあった自由民権運動が大きく取り上げられる形で展開。
万太郎は行方不明になった姉綾を探して竹雄とともに高知へ向かっていた。
綾は峰屋を飛び出した後、一目散に向かう場所があった。
それは、彼女にとって心寄せる存在幸吉の住む場所。
酒造りの歌などがバックに流れる中、綾がたどりついた先に幸吉を発見。
思わず、声をかけて駆け寄ろうとするのだが💦
綾が目にしたのは、くわを振り上げる幸吉に寄り添う若い女性の存在。
どうやら、それは幸吉の妻と思われた。
思わず、足がすくんでしまう綾。
自分が何をしようとしていたのか、はっと我に返る。
すべての事情を納得した綾は1人孤独を抱えて幸吉のもとを離れるしかなかった。
綾を探すために、高知までやってきた万太郎と竹雄は自由民権運動の集会の場所に出くわす。
そこで、やっと綾と出会うことができた。
自由民権運動の集会の場で、発言をするように求められた万太郎は自由民権運動に絡めて、自分自身の植物学の知識を誰にもわかる形で披露する。
それは自由民権の思想と植物学の思想に驚くほどの共通点があることの確認でもあった。
物語のモデルになった牧野富太郎さんも自由民権運動に加担していたことがあったと聞く。
もちろん、その後は植物学に専心することになるのだが。
若き日の万太郎が、どのようにしてわが道を進むようになるかが詳しく語られる。
目次
綾と幸吉
酒造りの蔵人の幸吉は綾とともに新酒の仕込みで意気投合した経緯がある。
峰屋の看板は峰の月。
看板の別メニューとして考案された新しい酒はメリハリの利いたすっきりとした味わい。
一緒に仕事をすることで幸吉へのほのかな恋心が芽生えた綾。
タキから万太郎とめおとになることを言い渡された綾は到底受け入れることができずに、とっさにとった行動が幸吉のもとへ訪ねていくこと。
そこに行けば必ずなにがしかの答えが見つかるのだと思ってはいたが。
しかし、見せつけられた現実は冷酷で厳しいもの😰
どうやら、幸吉には妻が居て仲睦まじく暮らしている。
少なくとも綾の入り込める余地は全くなさそう。
綾には喪失感以上の虚しさと自分自身への失望感。
その場を走り去る途中でつまずいて思いっきり転んでしまう。
不思議なエピソードだったが、道端に咲いていた1輪の花に心奪われる様子は万太郎そのものだったかもしれない綾の振る舞い。
自由民権運動
どうやら、綾が自由民権運動の集会に赴いていることを知った万太郎と竹雄。
たずねて行ってみたところが、見事に綾を見つけることに成功。
当時のご時世では.様々な人たちの参政権をめぐって世の中まさに近代化に向かおうとしていた。
現在の政党政治の礎となる活動も、この頃から日本に芽吹き始める。
自由民権運動の結社が世の中にできてきた頃。


物語を調べてみると、早川逸馬のモデルは板垣退助らしいということがわかっている。
板垣は、政治的にはかなりの力を得るところまで行ったが、最後は暗殺されているね。
板垣死すとも自由は死なず
彼が息を引き取る前に言った言葉とされるけど、事実かどうかはちょっと不明。
この当時の最新鋭の世の中の情勢は、万太郎にとっても避けては通れなかったようだ。
万太郎のポリシー
万太郎が自由民権運動の集会の壇上に請われるままに引っ張り出されて演説を述べることになった。
当時、世の中の人たちは“役立たずの草”と言われて蔑まれていた。
そのことに激しく反論。
およそ世の中に役立たずの植物なんてありえない。
同じものは2つとないわけで、知らないのは、世の中の人々が不勉強で事実にたどり着けていないだけ。
植物がどれだけ有用で、どれだけ尊い存在なのか今一度しっかり勉強する必要があると訴える。
実は、この発言は、早川の発言を遠回しに否定しつつ、さらに一歩進めた核心について語っていた。
生きとし生けるものは皆、等しく尊い。
あらゆるものが、自由で平等に尊敬されるべき。
万太郎のポリシーは周りで聞いていた早川だけでなく大勢の人たちを感動させることになる。
そのことで、早川は万太郎を別な場所に案内しようとしていた。
そのエピソードは、明日描かれることになるはずだが。
万太郎も、どうやら担ぎ出されてしまう有様。
実は、ここでとても大切なエピソードが描かれている。
万太郎が、早川に詰問する形で。
もし自由ならば、生まれが当主だろうが女だろうが何をやってもいいはずじゃないのか?
早川はもちろんと答える。
これはほかならぬ今抱えている峰屋をめぐる様々な問題に対する明快な回答かもしれない。
綾と竹雄
万太郎が、早川と一緒に別な場所に案内されようとする頃、竹雄と綾は2人だけで高知の宿屋に泊まることになった。
すぐに想像をたくましく考えをめぐらせるが、この2人が将来を近い合うのには十分な時間と場所が与えられているんじゃなかろうか。
寿恵子と万太郎のエピソードも興味津々だが、こちらだって負けず劣らず重大なエピソードだと思う。