らんまんは1連の物語が佐川で描かれてきた。
途中、東京に行ったりしたこともあるけれど、日本的には高知の佐川が舞台。
綾と万太郎の行方不明事件から、およそ半年が経った11月。
峰屋は再び酒造りの仕込みの時期に入ってきた。
そして、その時は、蔵人たちが集まる時でもある。
集まりの席で峰屋からは重大な発表が。
万太郎が峰屋を出て植物学の道に進む。
そして、峰屋は姉の綾に託すと宣言。
実は、物語で描かれた発表はこの時代のご時世や峰屋のこれからについて全く新しい道に進むことについての発表。
峰屋の当主が女性になることを、みんなの前で認めろと。
まだ明治が始まったばかりの頃で、女性の参政権すら認められていない時代。
老舗の蔵元が女性が切り盛りすることになるなどとはなかなか受け入れられるものではない。
ただし、この物語をずっと見ている人なら、別にそれほど驚くことでは無いはずだけど。
それは、今峰屋をしきっている大叔母タキだって女性ではないか。
もし同じ女性で大きな差があるとすれば、年齢だろう。
綾は20歳を過ぎたばかりの若い娘さん。
そんな年端もいかない娘が蔵元を仕切るなんて簡単に了解が取れる話ってことにもならない。
目次
おばあちゃんとの思い出
物語は、昨日のエピソードの続きを描く形で展開する。
おばあちゃんの部屋の前で、自分の気持ちの全てを明らかにした万太郎。
その思いは植物学への情熱と、さらには自分のわがままを最後まで許し応援してくれたおばあちゃんへの感謝で占められていた。
万太郎の言葉に「絶対に許さない」と言い切るタキだったが、物語の流れから見ておばあちゃんは万太郎のゆるぎない応援者。
もし、佐川を出ることになれば守ってやる事は難しくなる。
残っていればこそ、好きなようにさせてやれたけど、言葉には実感がこもる。
2人のやり取りで明らかになった事は、言葉こそ反対表明していたタキは、万太郎の行動に
既成事実の形で承認を与えていた。
峰屋の存続こそがタキのライフワーク。
タキの思い描いていた形にはならなかったが、間違いなく世代は次へと引き継がれるようだ。
バイカオウレンの約束
万太郎がタキとやりとりしている間、綾の目の前に置かれていたおばあちゃんの紙入れ中には、かつて万太郎が、自分の母親のために初めて書いた植物の花の絵。
母親が一番好きな花だったと語っていた。
この時、母ヒサは自分の死期を悟っていたような雰囲気。
物語の初めの頃ながら、ずいぶんと重たい内容だったことが記憶に残る。
主人公が万太郎なので、なんとなく母親と息子の関係が注目されがちだが、この時万太郎の姉として一緒に育てられた綾にとっても忘れられない思い出になっているはず。
宣言
万太郎は植物学の道へ進むために峰屋を出ることを宣言。
そして、後のこと一切を綾に任せると言い切った。
話を聞かされた一同が驚くのも無理は無い。
古いしきたりとして、女が酒蔵に入る事は禁止。
『腐造が出る迷信』はまだしっかりと残っている。
一同からは、納得できない旨の発言が相次ぐことに。
そのことに真っ向から毅然とした態度で臨む綾。
今までの古いしきたりや、習慣などで女が酒蔵で働くことが許されていないのはなぜなんだろうかといつも考えていたようだ。
そして、これからの時代は、男も女も目標に向かってしっかりと働くべきではないかと。
働いている女中たちから、賛成の手が上がる。
その後、蔵人を代表して幸吉の父親がよろしくお願いしますと発言。
綾は誰にも喜ばれる美味い酒を作り続けること。
峰屋をさらに大きく成長させること。
2つをこれからの目標として宣言。
それは一同全員が納得する形で受け入れられた。
綾の決意
綾の決意はゆるぎないもののように描かれている。
彼女は、これから婿を迎えて峰屋を継ぐことになるのだ。
今までとは違って、酒蔵の中に入って、酒造りに真剣に向き合いたい。
それは他ならぬ弟が自分に許してくれた、歴然とした事実。
自分は酒作りがしたい。
決意表明は他のものの横槍等、決して許さない厳しいものが感じられた。
下世話な話になるが綾は誰を婿に迎えるんだろうか。
大抵の人は竹雄しかいないと思ってしまうが、果たして思惑通りに物語が進むかどうかは不明。
いざ、植物学
年が明けてからは万太郎は、おそらく20歳を超えたものと思われる。
東京へ出向く事はどうやら間違いなさそうだが、その前に土佐での植物標本作りを完成させる腹づもりがあったようだ。
そのことがどうやらほぼ完成することが決定。
物語の最後で描かれた、竹雄に対するねぎらいの言葉と別れとも取れる発言。
ここでお別れじゃ。
1人で東京に行くつもりでいるんだろうか?
事情はわからないけれど、万太郎の腹づもりと竹雄がけなげに付き添っている姿は、この段階ではセットとして見るしかない。
1週間の締めくくりとなる明日のエピソードで状況は明らかにされるものと思う。