麒麟がくる10話目となる本日の放送。
先週の予告編や番組の始まった当初の描かれ方から、今日初めて登場した伊呂波太夫とかお駒のエピソードが中心に語られるかな?と。
しかし、それはあくまでも前振り。
今日の物語の中で描かれた最も重要な部分は織田信長の人となり。
様々な噂の中からこの物語の中でどのような人物として描かれるのか、
とりもなおさず本能寺の変に至るまで、麒麟がくるを牽引する役どころ。
染谷翔太扮する信長がいかほどのものなのか。
目次
新登場伊呂波太夫とお駒
最初の何分かのエピソードでお駒の生い立ちが語られていた。
家が焼けた後、明智1族の誰かに助けられたとの設定だったね。
おそらくは、光秀本人ではなかっただろうか。
それは助けられた時に着せられた桔梗の紋のついた着物。
それは、今日から登場した伊呂波太夫の証言からも明らかに。
かつて、火事の中から抱きかかえられて救出されたお駒はこの旅芸人の一座に育てられることに。
伊呂波太夫はお駒にとって、姉とも言うべき存在。
最近特に元気がなかったのは、身分違いの恋をしてしまったためと太夫に打ち明ける。
言葉にして話すことで、少しずつ元気を取り戻すお駒。
この2人は、歴史上の人物として存在しているわけではない。
しかし、麒麟がくるの中では登場人物をつなぎとめるためのエピソードとしてどうしても必要なようだ。
この時代の歴史の流れをおさらい
織田家の家系はそれほど複雑にはなっていない。
見ての通り当主は織田信秀。
その中の3人の息子がいて、今回の物語で異母兄の信広が今川の人質となってしまったのだ。
そして今川からもたらされた交換条件が、織田で預かっている松平家の嫡男竹千代と信広を交換しようと。
実はここで、織田家の中でも意見が分かれた。
信広を見捨てて竹千代を人質としてそのまま尾張領内に止めおくか否か。
ここで信長の意見も語られていた。
兄信広は諦めて腹を切るべきだと。
竹千代は今川に渡すわけにはいかない。
しかし父親信秀の意見は違っていた。
尾張と三河の国境を守ってきた信広を見捨てるわけにはいかないと。
物語はここまでしか語られてはいないようだが、歴史的な事実としてここで人質交換をしている。
徳川家康は三河の国から尾張の国、そして駿河の国に人質としてあちこち移動することに。
彼は運命学的に見ても、若いうちはひたすら苦労をする星のもとに生まれている。
成功して世の中に出られるのは晩年。
それまではとにかく苦労をし、辛酸を舐めねばならない。
人質竹千代と織田家の面々


織田家に人質としてとらわれている竹千代は主な人たちとはほとんど打ち解けてはいないが、この物語の中では信長にだけは心を許しているようだ。
また、ちょっとお茶目に描かれていた信長も幼い竹千代をひとかどの武将としてきちんと扱っている。
将棋を打ちながらのお互いの会話は、およそ大人と子供の会話ではない。
今川の人質になる話があるが、それでもいいか?
今川は敵だけれど顔も知らないのでは、顔ぐらいは見てみたい。
このような会話が2人の間でなされていた。
ここでのドラマの描かれ方として見事だなと思ったのは信長の人となり。
最初は自分の心中を包み隠さず光秀に明かしていたものが、重要な話になった途端、その場に居合わせた帰蝶と光秀に座を外すように申し付ける。
一見能天気な天真爛漫を装いながら、細かいところまで配慮ができて、また秘するべきこともきちんと守っている。
ただの尾張のおおうつけではないことをしっかりと印象づけている。
ここで描かれた徳川家康の性格も、かなりの強者を彷仏とさせる。
自分がゆくゆくは三河をついで行かねばならぬ自覚をしっかりと持っている。
そして信長が父広忠を討ちとったこともきちんと把握していて、それはやむを得ないことと自覚しているあたり、とても子供が持つ精神状態ではないだろう。
家康は父広忠を憎んでいたのだ。
そして同じように今川家も嫌っていた。
信長が自ら語る自身の性格
信長は光秀に対して質問にごく普通に答えていた。
わざわざ明け方魚を釣りに行くのは、母親に気に入られんがために始めたこと。
しかし自分の母親は自分ではなく弟ばかりを可愛がって、自分自身を遠ざけようとしている。
魚を釣るのは釣ってきた魚を漁師たちに披露するととても褒めてくれて、しかも切り分けて渡すと市場で高く売れると言ってとても喜ばれるのだと。
今は漁師たちの喜ぶ姿をみたくて釣りに出かけているのだと。
質問に素直に答えて自分の思うところを存分に述べるあたりは、この時代の人間にしてみればどちらかと言えば珍しい。
自分の心を悟られないように普通は心の奥底を隠すものだが、信長はそのようなことには無頓着。
思う通りのことをズケズケと話して、そして自分自身の好奇心の対象こそが、自分の判断基準になっているようだ。
どうやら光秀とは鉄砲のことで話があいそうな雰囲気。
これから想定される光秀との関わり
織田信長は、帰蝶から紹介された光秀にかなり興味を持った様子。
特に、鉄砲についての意見交換ができると思うと胸が高鳴るのだろう。
光秀にしてみれば自分の主君斎藤道三から 命を受けて信長を探りに来たのだが、そういったことを知ってか知らないでか、信長は意に返さず屈託がない。
この2人が主君と家臣になるのはもっとずいぶん後の話になる。
光秀はまだ斎藤道三の家来になるし、織田信長はまだ織田家を継いではいない。
この物語の緊張感の中で特筆すべきは、この信長のちょっと危うい身分を本人もきちんと理解しているように描かれていること。
そのような状況でも動じない性格で描かれるあたり、特に緊張感は保たれている。
また、斎藤道三や帰蝶の豪放な性格も、物語の中からよく伝わってくる。
今日の話を見ていてなるほど合点が行くわと思うことしきり。