今日を含めても、あと7話となった鎌倉殿の13人。
吾妻鏡にも載っている事件が脚本家の新たな解釈を加えつつ語られる。
鎌倉殿、すなわち3代将軍実朝は北条家の頭領義時と折り合いが悪い。
幕府の責任者として政の頂点に君臨する北条義時は、政治に目覚めた源実朝は、目障り以外のなにものでもなかった。
名目上の幕府の最高責任者は3代将軍源実朝。
それはあくまでも、お神輿にかつがれた神様でしかない。
何かにつけて政に口出しをしようとする実朝。
さらには、実朝は身の回りに北条泰時を配置。
義時にとって、なににもまして承服できかねること。
そんな中吾妻鏡にも残る歴史的事件。
源実朝は、唐船の建造を命じる。
これは実現することなく、完成された船は海に入ることなく陸上で朽ち果てたとされる。
実朝の計画は、周りの協力を得たが成功までは至らない。
北条義時はここにきて、自ら2代目執権を名乗るように。
幕府内には、権力対権力のつばぜり合いの構図が。
具体的に国内を管理統括しようとする義時。
そして、理想に燃える将軍実朝。
2つの勢力は、それぞれ応援する背景を伴って激しくぶつかり合う。
目次
目覚めた将軍源実朝
先週のエピソードで、将軍実朝が唯一、心を許していた坂東武者和田義盛が戦の結果 命を落としてしまう。
この物語の脚本は、先週から今週に引き継ぐエピソードとして、事件の背景にある様々な世情と登場人物たちの胸の内が絶妙に絡み合って行く。
実朝は自分がしっかりしなければと強く思った。
北条義時は、邪魔者を粛清したことで自分自身の政が速やかに遂行できると考えてはみたが。
それは思いもよらぬ形で実朝を目覚めさせることに。
将軍は、御家人たちの結束の上、微妙なバランスの上に成り立つ。
周りからどれだけ信頼されるか。
物語の中で描かれたのは、鎌倉殿が天候不順による不作を考慮して、年貢を3分の1に減らす案が提案されていた。
このやり方が、実朝と義時では明らかな相違が。
全体のバランスを考えれば、一方的に年貢を減らしてしまえば、幕府の運営すら危うくなってしまうのだ。
もっと平等な旅行方法で、統括しなければ不平不満を考慮することににもならない。
案の定、幕府の見入りを確保するために3分の1の所領を順番に課税しようとする案は実は大失敗。
3分の1の場所と当たり前の場所が隣り合わせになるわけで、当然不平不満が。
失敗をなじる義時に対して政子は経験を積めば良いと大事とは捉えない。
幕府内では義時とそれ以外の勢力が2分されるような。
2代目執権北条義時
せっかく反対勢力を排除することができても、思い通りの政がまるでできない義時。
妻のえに意見されて執権を名乗ることに。
自分こそが最高権力者。
このことを周りに納得させなければならない。
もとより政治的な実力は北条義時こそが1番である事は間違いない。
北条義時は、御家人たちのバランスに絶妙に配慮することができた。
対する実朝は熱意と若さはあってもいかんせん経験がない。
これはと思って指示を出してもすぐに失敗してしまったり。
源実朝の周りには様々な人たちも集まってくる。
うまく取り入れれば、自らの立身出世が叶うが故にみんなサモしい気持ちで近寄ってくる。
源仲彰を始め、京からも様々な客人が。
将軍の周りに群がる、様々な側近たちは義時にとっては敵となる場合も。
どうしても、命令直下で物事が立ち行かないことが、幕府の運営を困難なさしめる。
もともと、合議制で幕府の運営を行おうとしたことに無理があったのかも。
唐船建造計画
源仲彰らにそそのかされて唐船の建造を始める実朝。
御家人たちは、負担が増しただけで何の見返りも得られなかった。


吾妻鏡にもしっかり書き記された歴史的な事件なので、この辺の事情は把握できる。
船は浜辺に完成させた状態だったが、海まで引きずって行くことができなかったのだ。
鎌倉の海岸は由比ヶ浜だが、砂地で船の移動をするためには地盤に相応の配慮が必要だったのかも。
転がすための丸太は、へし折られて船はそのまま砂に埋まってしまう。
このまま、由比ヶ浜の海辺で朽ち果てて行ったと記録に残る。
権力は誰のもの?
戦のシーンがないので、物語は驚くほど地味にするのかもしれないが、登場人物たちのそれぞれの胸の内が詳しく語られる。
特に北条義時のイライラする感じは絶妙な感触で描かれている。
幕府の頂点は言わずと知れた将軍、鎌倉殿。
しかし、実験を握っているのは執権北条義時。
これは、権力の二大構造で、運営がやりにくいことの象徴とされる。
それぞれが自分の権力の優位性を主張したい。
そのやり方は、自分の優位性を主張するだけではなく、相手をなじることにもつながってしまう。
そこから争いが生じ、まとまるものもまとまらない。
鎌倉幕府は、登場人物それぞれが主張ばかりが多く話し合いの名を借りて争い事に終始していた。
まとめ
この船がもし無事海に浮かぶことができたならどうなったんだろうか。
実朝は自ら中国に渡ると宣言していた。
当然それは叶わなかったことになる。
そしてこの物語の頂点で描かれるのは、まず将軍実朝の暗殺事件があげられる。
さらに、その後で描かれるのが承久の乱。
すべては、歴史的事実をなぞる形になるので、脚本家の腕の見せ所になるだろう。