いよいよ今週と来週でこの物語は完結する。
重要なテーマとして描かれるのは、承久の乱。
この政変がいかにして計画され、どのような人間の思惑によって画策されたのか。
私たちが知るのは、歴史的な事実だけで、朝廷対幕府の争いとしか記憶にない。
そして戦いは、幕府側の一方的な勝利に終わってしまうわけで。
言葉が記憶に残るレベルでしかない。
しかし、物語として描かれた「鎌倉殿の13人」
脚本家三谷幸喜は、入念な脚色のもと、登場人物それぞれがどのような思惑でつながっていたのかを詳しく描き出す。
特に、後鳥羽上皇は鎌倉の北条義時が大っ嫌い。
もともと、鎌倉に攻めいるほどの気迫は持ち合わせてはいなかった。
執権北条義時を追悼すれば、それで良しとする。
しかし、ここに至る展開は朝廷と幕府では微妙な温度差が。
幕府の側はこれ以上ないくらいの緊張感を持って受け止めていた。
そして、朝廷はどちらかと言えば、幕府を困らせるために追悼命令を。
悩みは尽きないところだが、北条義時、尼将軍政子ともに朝廷と戦になることもいとわない考え。
歴史的な事実が、果たして、どれだけの物語として、ドラマの中に展開されるのか、来週の最終回に至るまで2話連続の前編後編と受け止めていいかも。
目次
後鳥羽上皇と鎌倉
朝廷は基本的には武力はそれほど大掛かりなものは所有していない。
貴族たちなので、政を始めとする文系の人たちと言っていいかも。
しかし、勢力を拡大するためには様々な裏工作が当たり前のように横行する世界。
後鳥羽上皇は、鎌倉幕府の三代将軍実朝が暗殺された後、幕府への不信感は頂点に達していた。
そして、幕府混乱の最大の原因は北条義時と断定。
原因を取り除くことこそが、1番の納め方だと考えるに至るのに、それほど時間はかからなかっただろう。
そのための方法が、北条義時と支える御家人たちを分断させること。
物語を見ていても、かなり陰湿なやりとりとして描かれていた。
焼け落ちた内裏
京都を守る守護代は北条義時の妻のえの兄。
物語の中で描かれていたのは、これらの鎌倉からの派遣された御家人たちが、様々な諍いによって、京都の街中の重要な設備などを消失させる事件が勃発。
それは朝廷の内裏。
この中には、代々受け継がれてきた宝物など、お金ではあがなえないほどの大切なものが。
それらが全て焼け落ちしてしまったとのこと。
後鳥羽上皇は、内裏再建を命じたが、莫大な費用を全て御家人たち負担として触れを出した。
莫大な金額負担にうろたえる坂東武者たち。
そして、話し合いによって坂東武者たちは、朝廷の求めには応じないことでまとまった。
しかし、坂東武者たちが朝廷との関係悪化は望んでいないことで、幕府内には亀裂が。
意見をまとめきれない幕府も難しい運営が要求された。
北条義時追討
内裏再建の費用供出は坂東武者たちにとってもできれば穏便に済ませたいところ。
ぐずぐずと返事を遅らせているうちに、
しびれを切らした朝廷はついに北条義時追悼の命を出す。
明らかに幕府の分断を狙った院宣が主な鎌倉武士たちに配られることになる。
朝廷側は主な武士たちに院宣を。
実は、メンツを大切にする坂東武者は誰が1番先に手紙をもらうかで、随分と争いが。
物語の描き方としては、これらの文は決して効果てきめんな作戦とは描かれていなかった。
尼将軍政子
尼将軍政子は幕府のトップとして承久の乱の名演説を行うことになる。
記録に残っているのでは源頼朝の本は山よりも高く、海よりも深いと述べたそうな。
今回の物語の中でも、似たようなセリフはあったが、そこは絶妙に脚色。
あらかじめあった原稿を投げ捨て、自らの言葉で坂東武者たちに結束を呼びかけた。
このまま西の朝廷の言いなりになってしまっては、この先 坂東武者たちの未来は知れたものになる。
ここはがんばって坂東武者たちの世の中を作るべきだと。
さて、今週のエピソードはここまでしか描かれていなかったが、来週は間違いなく最終回になる。
どうやら、主な登場人物は皆退場することになるはず。
注目されるのは、尼将軍政子と執権北条義時の死因。
彼らは、承久の乱の直後になくなっていると伝わるが、それがどんな死に方なのか大いに興味の湧くところ。
制作スタッフたちの話によれば、驚くほど意外な亡くなり方をするそうな。
最終回で物語をしっかり見届けなければならない。