先週からの流れを受けると、源頼朝は石橋山の戦いで致命的な大敗北を喫する。
今週はそこからどのようにして勢力を盛り返すかが克明に描かれた。
45分間のドラマながら、歴史的な事実もきちんと踏まえつつ、様々な伏線回収とともに、おそらくは歴史の裏側に存在しただろう様々な女性たちとの絡みがエピソードとして挿入されていた。
このドラマは、始まった時から登場人物の固有名詞を覚えるだけで一苦労だと実感していたが、ここへきて少しずつ納得できる理解力が自分にも備わりつつある。
未だ、すべての登場人物を理解するには至ってないが、12世紀真っ只中の情報がまるで不足している世の中で、彼らが一体どこによりどころを求めて決断を下していたのかがこのドラマは驚くほどの巧みさで表現。
不謹慎な言い方かもしれないが、かつてのプロレスを思い出す。
プロレスラーたちには暗黙の了解があって、技をかけるために相手レスラーをロープに飛ばすのだが、飛ばされた方は技をかけられて致命傷をおうと知っていてもロープに跳ね返って相手の術中に自らはまっていくのだ。
物語の当時の人たちのポリシーにも同じものを感じたと言えば不謹慎になるだろうか。
今日のドラマの中では、頼朝はあれだけの劣勢に立たされていながらも神仏のご加護があると周りのものを納得させるに足るだけの不思議なカリスマを備えていた。
そのことに1も2もなく従っていた登場人物たち。
歴史を知っている我々から見れば滑稽にも映るが、脚本家はそこのところを愛情を込めてしかし、別な意味では冷酷な目線で描ききる。
目次
味方の勢力を獲得するために
上総介広常は驚くほどの現実主義者に描かれていた。
“源頼朝に手を貸すことで自分にはどれほどの得があるのか?”と公言してはばからない。
要するに、手を貸したらどれだけの褒美がもらえるのかと詰め寄ったわけだ。
この時、使いを仰せつかっていたのが北条義時と和田義盛
ありきたりの方法で加勢を依頼してみたところで全くなびいてくる様子は無い。
広常をその気にさせたのは義時の腹を割ったものの言い方。
平家に良いようにさせるのではなく、坂東武者の世の中を作る。
そのために棟梁として源頼朝を担ぎ出す。
この時、源頼朝を棟梁として担ぎ出す理由が神仏のご加護。
つまり、頼朝は目に見えない力で守られていると納得させるのだ。
梶原景時は石橋山の戦いの時、頼朝を見逃したことで歴史に残る人物。
彼は、頼朝に手をかける事は神仏のご加護にそむく事だと受け止めわざわざ見逃したと述べていたね。
先週の伏線回収がここでなされていた。
そして頼朝が棟梁にふさわしいかどうかを納得してもらうために、数日間を要したようだ。
源頼朝のカリスマ性
頼朝は明らかに自分自身が劣勢にあっても、自分自身の立場を崩す事は決してなかったと思われる。
彼は武士の潔さと、気持ちの良さ、人懐っこさ、そして表立っては描かれてないが驚くほど用意周到で、執念深い。
猜疑心の塊のようなところさえ。
実この部分が後の鎌倉幕府成立以降の様々な粛清事件に関わってくる。
頼朝の側近たちが浮かれてのほほんとしているときに、1人頼朝だけは冷静で準備周到な部分が。
他の者がなかなか気が回らない部分についても、彼は10分手を回すことができる。
そして言葉の持つ力、語りかけるための条件など、全て相手に合わせて巧みに操る力が備わっていたようだ。
物語の影に女性たちの思いが…
頼朝には何人かのお妾さんがいたようだ。
こともあろうに千葉県に逃げ延びた時に地元の漁師の奥方にも手を出している。
亀さん。
物語の中に彼女の存在が出てくることがあまりに荒唐無稽な気もしないではないが、ストーリーを考えると、彼女の夫が頼朝との寝所に襲ってくるエピソードを利用して、大庭の襲撃を逃れる展開等は、脚本家の機転の利く部分だと思う。
このいきさつを目の当たりに見ていた広常は頼朝に加担することを決めるのだ。
さて、物語の中では頼朝の最初の妻八重のエピソードも。
自分の父親伊藤佑親が、息子「千鶴丸」を殺したことを白状させるに至る。
頼朝の血筋を生かすわけにはいかなかったと述べていたが、この後この親子が仲良く語らう事はなくなったようだ
平清盛の逆鱗
平清盛は源頼朝が平氏打倒の狼煙を上げた事はそれほど大事とは捉えていなかったようだ。
しかし、兵士が絶対の世の中で面と向かって逆らってくる勢力など認められるはずもなく。
簡単に成敗したと思っていたつもりが、頼朝が奇跡的に生き延びたことを知るに至る。
さすがにその時には、まずいと思ったんだろう。
絶対に討ちとってこいと厳しく指示を出す。
平清盛にとって、自分に逆らう勢力など絶対に認められないと言うところだろう。
源氏の勢力はいざ鎌倉へ
今日の物語の最後の方で描かれていた源頼朝と上総介広常のやりとり。
頼朝が大見得を切ってみせる。
来るのが遅い😡
帰れ😤
激しい剣幕で詰め寄る。
もしここでこの二大勢力が戦をすることになればひょっとすれば広常が買った可能性もあるが、そんな事は関係なく頼朝は自分が角上なのだと言うことを広常や周りのものに否応なく知らしめたのだ。
これは、1種のパフォーマンスとも取れるが、この一件で広常は頼朝に従うように神戸を垂れるのだ。
さらには奥州では源義経がいよいよ鎌倉に参戦する。
どうやらこれで、平家と源氏の二大勢力が徐々に物語として表舞台に出てくる様子が整いつつある。
この流れを受けていよいよ鎌倉へ皆馳せ参じることになる。