歴史書にも登場する人物が次々と物語に出現。
面白いのもさることながら、大河ドラマを題材に歴史の勉強をしているような雰囲気。
このドラマの面白さは源頼朝の女癖の悪さが克明に描かれていて、そのエピソードが歴史にもたらす影響がなんとも愉快極まりないのかも。
英雄色を好むと昔から言われるが、源頼朝もご多分に漏れず。
戦国武将と呼ばれる人たちは、多かれ少なかれ女癖の悪さはあったような。
誰もが知る有名人であげていけば尾張の三傑と呼ばれる織田信長、豊臣秀吉、徳川家康。
3人とも間違いなく女好きだったと断言できる。
この傾向は歴史的にずっと継続していて、幕末から明治以降、大河ドラマにも登場した渋沢栄一も無類の女好きだった。
今回の鎌倉殿では頼朝をはじめ、戦国武将たちのおおらかな女性遍歴が描かれる。
さらにはそういった女たらしとは別な存在主人公北条義時の幼い頃からの八重への純情が際立って描かれたね。
目次
女たらし頼朝
頼朝の正室は政子だが、生来の女好きの彼は誰彼なく女とみれば言いよる癖があった。
彼の言葉を借りれば、寂しいからだと言う。
自分の気に入った女性を思い浮かべながら眠れぬ夜を過ごすとも言っていたような。
普通に考えておよそまかり通るような理屈じゃない。
先週詳しく描かれた亀の前事件。
政子は周りにそそのかされたこともあって、頼朝の愛人宅を襲ってしまう暴挙に出た。
かなり手荒な仕打ちで館は丸焼け。
ほんの少し壊す程度ならば京都の風習としてある程度は周りの理解も得られたはず。
しかし、今回は手違いが手違いを呼んでだれも収集できないような大変な事態に。
そこには北条義時もしっかり関係が。
実はこの事件で頼朝は鎌倉殿としての評判を著しく下げることになった。
鎌倉幕府の向かうべき先
鎌倉幕府はきたるべき平家との戦いに備えて、力を結集しつつあった。
歴史的に見ればもう幕府は出来上がっていてさらに平家は平の清盛を失って、求心力にも大幅な陰りが。
しかし頼朝の女たらしぶりが招いた今回の事態は、幕府の求心力にも大きな影響を与えていたと言える。
坂東武者たちは、ふがいない頼朝に愛想をつかす者も。
さらにはこの時代源氏の中でも勢力はいくつかに分散するきらいがあった。
源頼朝の値打ちは何といっても後白河法皇の後ろ盾があったこと。
法皇にとっては必ずしも頼朝だけが武家の棟梁として祭り上げられるわけではない。
他にも源氏の嫡流はいくつかあったので、そこからしかるべき誰かを立てても特に問題になる事はなかった。
この当時、源氏の中を渡り歩いて関係を悪化させていたのが源行家。
彼は頼朝たちのおじさんにあたるが、源氏の中でも憎まれ役を引き受けていたようなところが。
頼朝の何人かいる弟の1人は彼にそそのかされて命を落とすことに。
杉本哲太が、鎌倉時代の胡散臭さの代表みたいな演技を小気味よく表現。
彼は源氏の中の勢力のあるところになびきつつ、自分の領地を得ようと画策していたね。
そんなおじさんを頼朝は腹のそこから嫌っていたようだ。
彼を採用することにはならなかった。
木曽義仲
木曽義仲は源頼朝のいとこにあたる。
この当時頼朝と勢力を2分するほど強大な力を持っていた。
彼の目標も打倒平家。
勇猛果敢な武士であり、また頭脳明晰で、仲間たちの信望も厚かった。
その彼が満を持してこの物語に登場してくる。
彼の傍で野性味あふれる女性が1人活躍している様子が描かれる。
歴史にも出てくる巴御前だが、男勝りの武芸で木曽義仲を最後まで守ったとされている。
今回の物語で演じているのが元AKBの秋元才加。
野性味あふれる風貌で雰囲気がよく伝わってくる。
このような脚色の仕方が三谷幸喜の優れた点だと感心する。
屈折した性格 義経
この物語の源義経はとにかく戦好き。
殺戮の中に身を置いてこそ自分の存在価値があると信じて疑わない。
そして自分の欲望を満たすためには手段を選ばない非常で卑怯なところも。
世間一般で知られる源義経は判官贔屓で気の毒な存在として見られることが多いが、この物語の中では若干異なる。
若さ故の暴走行為も存分に描かれている。
今回は義経の正室とされる里との様子も描かれた。
里を演じているのは三浦透子。
彼女は今回のアカデミー賞で作品賞を勝ち取ったタクシードライバーの中でも出演していた女優。
さらには今現在進行形で放送中の“朝ドラカムカムエヴィリバディ”ではひなたの親友一恵を演じている。
今、最も旬で最も活躍する女優かもしれない。
その彼女が義経に従って自分の親族をメジャーな存在にしようとする女心を表現する。
義時と八重
調べてみると北条義時の奥方には諸説あって、記録に残っている名前は正室としては
姫の前
側室として
阿茶の局
物語的には
この2つをミックスしてキャラクター八重を作り出しているようだ。
どうやら北条義時の健気な純情が八重の凍りついた心を溶かし、やがて受け入れられていくと言う設定になりそう。
この2人がこの後一緒になる設定として描かれると聞いた。
平たく言えば再婚ってことになると思う。
さて、物語はここからさらに混迷を深めて平家打倒に至るまで駆け抜ける。