万太郎は植物図鑑発行のためにいよいよ行動を起こすことになる。
自分自身が新種の植物の名付け親になること。
考えてみれば、万太郎は故郷佐川の峰屋を捨てて、東京にいるわけで。
彼なりの大きな犠牲を払っていることには違いない。
そして東大の植物学教室の田邊教授とは、残念ながら仲違いしてしまったような雰囲気。
万太郎はブラック田邊からの専属のプラントハンターになる話を断った。
激こうするブラック田邊。
お前は私を頼るしかないんだ😤
この脅迫とも言える無謀な申し入れを敢然と拒否した万太郎は、次なる手を打つ必要に迫られていた。
それは、自らが植物図鑑を刊行して植物学者として世の中に認められること。
それが名づけ親になるための最短の道だとさとされる。
今週のエピソードは、そこからの物語が着々と描かれることになる。
訪ねたのはかつてお世話になった大畑印刷所。
始まったばかりのこの頃の明治は石版印刷が世の中で広く求められていた。
万太郎は、当初夜仕事が終わってから自分の印刷に関わる業務をさせてもらおうと思っていたが、どうやらあてが外れる。
あまりの忙しさに夜通し作業をしているような。
どうやら、このままでは八方塞がりだが寿恵子が突然、印刷所を訪れて一大決心を披露していた。
なるほど、思わずうなってしまうほどの大冒険を企てたもの。
目次
寿恵子の煩悶
万太郎の仕事を手伝おうとすると竹雄からの申し送り事項がなし崩しに反故にされてしまう。
食事をきちんと取ること
睡眠をきちんと取ること
食事の事はともかく、睡眠時間は明らかに削るような雰囲気。
万太郎を支えると心に決めた以上は彼の意向に沿うような形を取りたい。
しかし、一緒に暮らしてみると寿恵子の夫は、間違いなく破天荒な人だった。
どうすれば納得のいく形で健康に仕事をしてもらえるのか?
出口の見つからない迷路のようなもどかしい話。
棒手振り及川福治のアドバイス
十徳長屋での生活にはすっかり馴染んでいると思われる寿恵子。
しかし、万太郎の助手として何ができるかを考えたとき、生活の事以外はほとんど何も手伝えていないことに気がついた。
新しく本を出版するためには様々なクリアしなければならない問題が起こってくる。
今日の物語の中でも語られていたが、版元を見つける必要が。
要するに出版社だよね。
大畑印刷所は、あくまでも印刷そのものを請け負っているわけで出版社ではない。
版本を見つける作業もかなり苦労しているような様子。
たいていの意見は、売れない本を作ってみたところでしょうがないだろうと。
初めから売れない本のレッテル貼られても、致し方ないが、しかしそれでは話が進まない。
寿恵子がぼんやりと考え事をしている様子を見て福治は少々ピントずれたアドバイスを。
そして、自分自身の身の上話も披露。
本当は棒手振りから店を構えられるようにと何度かアドバイスされたが、それができないがために、女房に逃げられてしまったと。
彼の娘小春がしっかり者なので、助かっている部分もあるようだ。
さりげなくだが男のメンツについてそれなりに紹介されていたと思う。
大畑印刷所
万太郎が印刷所として採用するのはここしかない。
ここで石版印刷を学び、植物学の機関誌も発行することができた。
何よりも、万太郎本人が絵筆をとって印刷に関わったことが大きかった。
納得できる図柄は自分自身の絵ふでによらなければならない。
人任せにはできなかった切ない事情が。
本人が直接描くわけだから、文句のつけようもなく、後は印刷に関わる様々なノウハウをどれだけ身に付けられるかどうか。
ちょうど結婚する直前の何ヶ月間かをこちらで過ごして印刷技術を取得した。
大畑印刷所は業績をかつてないほど拡大して、万太郎に時間を割いて印刷できる事はどうやらなさそう。
万太郎は実は出版社がまだ決まっていない。
本の内容から考えて、どうやら引き受けてくれるようなところは見つかりそうもない雰囲気。
そうなると、自費出版と言うことになるが。
しかし、それもどうやら採用できない様子だよね。
かつて竹雄から厳しく言われたことがある。
峰屋は万太郎の財布ではない(キッパリ)
この言葉の持つ意味はとても重いと思う。
万太郎が戦えるとすれば自分自身が戦いに出ていくしかないのだ。
寿恵子の思いっきり
寿恵子は何とかして万太郎の力になりたかった。
わざわざ大畑印刷所までやってきて、仕事の様子をつぶさに観察。
寿恵子はどうすれば、万太郎が順調に目標に進めるのか真剣に考えたようだ。
そのためには、自分の目でこと細かに観察して判断するしかない。
こちらの印刷所は夜通し作業しているような雰囲気。
今ならブラック企業で訴えられるところだけど、この時代はそういうことも含めて充分通用したんだろうね。
寿恵子はそんな様子を見て思い切った提案をする。
石版印刷機を売ってもらう事はできないだろうか?
正直なところ、大畑印刷所の機械をそのまま持って帰ることにはならないだろう。
そんなことをすれば、印刷所の仕事ができなくなる。
残るては、新しい設備投資として別な所から同様の機械を購入するしかないのではと考えるが。
今週のエピソードは始まったばかり。
まだこの先どんな展開になるのか全く読めないと思う。