植物学者槙野万太郎が世の中に認められるためにするべき事。
それは自ら書籍を出版して自分の考えや研究者としての活動を世の中に知らしめる事。
そのためには東大の植物学教室に在籍したままでは最終目標の植物の名づけ親になる夢は叶わないと判断したから。
自ら本を出版することで、植物学者として世の中に認められる。
そのための最後に残された手段。
そのためにはいくつかクリアしなければならない重大な問題が。
この物語で万太郎が寿恵子と一緒になった頃から話題に上ってきたことだが、活動するためには、莫大な資金が必要になる。
妻寿恵子は生活が大変になることを承知で万太郎と結婚することになった。
その最初の夢実現に向けて様々な課題をクリアしていく様子が克明に描かれた今週の物語。
本を出すためには、印刷所と印刷方法を最新のものを利用すればおのずと限られてくる。
かつてお世話になった大畑印刷所。
ここ以外にはあり得なかったが、ここからの話の進め方は驚くべき内容。
石版印刷は世の中のニーズが爆発的に広まっていて、とてもこちらの印刷所を使う事は叶わない。
ここから寿恵子の独壇場が展開。
石版印刷機を購入して自宅を印刷ができる施設に変えてしまおうと。
種明かしとして印刷機を購入する費用は実は峰屋から2000円を預かっていたことが大きな助けになった。
目標とする最初の書籍は無事出来上がる。
目次
石版印刷機購入
寿恵子が大活躍したエピソードだったろう。
印刷業界の実情を知ると、とても万太郎の依頼が滑り込む予知などありえない。
そうなれば、印刷機そのものを買ってしまうしかないのだ。
必要なお金は全部ひっくるめて。1000円程度あればとの事だった。
話はとんとん拍子にすんだが実際納入までは数ヶ月を要したと物語上では語られていたね。
それまでの間、万太郎はひたすら研究に没頭した。
実は後になってからわかることだが、万太郎が印刷しようとしたのは2冊。
1つは植物学機関誌の第2号ともう一つが自分自身の日本植物志図譜
もちろん、主力になるのは後者の方だが、この研究には日本初となる新種の植物のお披露目が加わることになる。
驚くほど有意義な時間だったかもしれない。
十徳長屋の支え
万太郎にとって十徳長屋は単なる住処では済まないだろう。
こちらでは、男性女性かかわらず、あらゆる意味でお世話になっている。
物語ではリフォームの様子は週の後半で描かれたが、寿恵子が朝から晩までいるわけで、何かにつけて話し合うことが多いと思う。
注目すべきは、印刷機自体は畳1畳ほどの大きさだけど、印刷所として石版磨きをするスペースが欲しかったり、印刷に必要なジグを置いたりで大幅な改造になったはず。
しかしながら、みんなで頑張って作り上げた雑誌だと言える。
植物学教室との関わり
万太郎は、自ら雑誌を発行することで、植物学者としての地位を確立しようとしていた。
しかし、研究生活は今まで通り続行しなければならなかった。
研究に必要なのは、参考文献と植物標本。
それらを自由に閲覧できて、しかも研究スペースも必要になる。
なんだかんだ言っても、植物学教室と完全に手を切ることにはならなかった。
物語の中で、大きくクローズアップされて描かれていたのは大窪とのエピソード。
万太郎の影響で、大勢の人たちが万太郎の仕事に理解を示してくれていたが、本当に心から感動してくれる仲間が少しずつ増えていったことが、今週マジで明かされる。
藤丸や羽多野、大窪と徳永助教授など、みんな万太郎の見方。
物語の中で、ただ1人ブラック田邊だけが浮いた存在になっていたよね。
寿恵子 内助の功
寿恵子の活躍は物語には欠かせない。
彼女は、万太郎の最愛の妻でしかも頼りになる助手なのだ。
万太郎にとっても寿恵子にとっても胸躍る大冒険であることには違いない。
今週のエピソードでは、寿恵子が峰屋から預かった2000円のうち1000円の出資が実行された。
必要なときには使わなければならないお金。
雑誌販売で何とか生活資金も含めたお金を得ようとしていた彼らにとっては虎の子の2000円の使い道は軽々しく生活費に回すわけにはいかなかった。
そんな切ない事情も物語の中でいくつか登場していたと思う。
いろんな意味で、万太郎は周りの人たちを全て味方にすることができる。
彼の持っている能力の中で、最も優れたものと改めて納得させられる。
研究者たちの姿
既に来週の予告編も公開されていた。
さて、ブラック田邊は失意に沈んでいるようだ。
日本人初の新種植物の名付け親は、万太郎と大窪の連名でヤマトグサが発表。
イギリスからは頼みの端の戸隠草が別人の手によって発表されてしまった。
彼の一番の目標、自分自身の名声は無残にも達成されなかった。
どうやら、来週は寿恵子のおめでたや研究者たちの荒んだ対抗心がテーマになりそう。
競い合う点で上野彰義隊で戦った兵士たちと何ら変わらないのかも。
倉木が同じ戦をするものとして万太郎を認めたことはあながち間違いではなかったようだ。
果たしてどんなエピソードが描かれるのだろうか。