今週描かれたブギウギは物語の転換点となるべき大切なエピソードが目白押し。
今まで時間をかけて語られてきたスズ子の出生の秘密とか、両親の実家の事など様々な人間関係が丁寧に詳しく解き明かされてきた。
さて、物語は当初大阪から始まったが、スズ子の活躍の場が東京に移ったことで少しずつ描き方のテイストも変化するような。
スズ子は東京に来てから売れっ子の歌手として大人気を博していた。
そんな中、時代の荒波が家族全員を襲ってくることになる。
弟の六郎に招集令状が届く。
物語は、この辺から時代背景を色濃く反映するようになる。
物語の設定は昭和14年の9月。
つまり太平洋戦争開戦のちょうど2年前。
日本は軍主導で、政治的にもかなり焦げ臭い匂いが漂い始めていた頃。
スズ子は、いつも通り歌うことにやや問題ありとレッテルを貼られそうな雰囲気。
ブギウギなんて基本アメリカの歌だから敵性音楽ってことだよね。
さて、
物語の中で特に重要なポイントは母親ツヤが亡くなってしまうこと。
以前から体調不良は続いていたが、ここへ来て病名もはっきりし、みんなの願いも虚しくこの世を去るしかなかった。
花田家はツヤがいなくなったことで、梅吉1人に。
スズ子ははな湯を畳んで東京で父親と一緒に暮らそうと提案する。
そしてはな湯の後始末は思いがけない奇跡的な配慮が隠されていた。
目次
時代背景
この時代、日本は中国戦線を中心として東南アジア方面で軍事的な侵攻を続けていた。
実は、これらの行為が欧米諸国から大きくヒンシュクを買うことになる。
特にイギリス、アメリカフランスなどは日本に対して輸出入の取引禁止だけにかかわらず、一切のコミュニケーションを遮断する。
特に石油製品の物流に大きく外国依存していた日本は、さらに東南アジア方面に進出せざるを得なくなった。
国内は生活物資不足がいよいよ困窮することになる。
物語はそんな時代背景をもとに挙国一致で欧米に立ち向かうため、国民全体で戦争への機運が高まっていた。
これらは皆、大本営と呼ばれる軍部のプロパガンダ。
六郎の出征
六郎は、赤紙が来たことを無邪気に自慢していた。
周りのものはとてもモロ手を挙げて喜ぶ気持ちにはなれない。
出征は高い確率で死んでしまうことを意味していたから。
頭の回転の遅い六郎だったが、やはりうすうす事情は察していたようだ。
ブギウギはどうしても暗く厳しいご時世を描かなければならない。
いかに大阪発のドラマとは言え、明るく楽しい方向には持っていきようがない。
スズ子のモデル笠置シズ子も身内をことごとく失う運命に。
この物語は名前こそ変えているが、主な設定は全てそのまま物語として踏襲。
はっきり言って大勢の人が亡くなることになる。
もちろん物語の六郎も。
母ツヤの死
ツヤはスズ子がかわいいあまり、実の母親から奪い取る形でずっと育ててきた。
死期が近づいた今でも、スズ子への思いは狂おしいほど。
ツヤの正直な胸の内も物語の中で梅吉とのやりとりのかたちで明かされていた。
ツヤは物語の中では、なくなってしまったことがみんなに告げられる。
スズ子は1人になった父親のことを考えればはな湯を畳むしかないと考える。
過去から未来へ
はな湯はある時から働いていたゴンベエがいたが、その身分が明らかになる。
船場の大店の若旦那だったとのこと。
思わぬ形で彼の身分が明かされることになる。
昨日初めて物語に登場してきた光子は玉五郎(ゴンベエ)にプロポーズをして、玉五郎がそれを受ける形ではな湯を継いでくれるという。
実はこのことこそがツヤが残された人たちへの花向けともなる奇跡だと誰もが語り継ぐ。
調べてみてわかったことだが、水川あさみは現在40歳。
スズ子を演じる趣里が33歳。
親子の設定ながら、実際は驚くほど年齢が近い。
ここら辺にまるで違和感を感じないのがさすが女優の凄いところ。
この2人は見事に親子を演じてなりきっていた。
さて、物語は来週以降、東京でのエピソードになる。
梅吉は上京して鈴子と一緒に暮らすようになるようだ。
そして、太平洋戦争の開戦を受けて世の中はいよいよ軍国主義一辺倒に。
この時、スズ子は歌うときの激しいパフォーマンスを止められるようになった。
つまり、東海林太郎よろしく直立不動で歌えと。
思い出してみると、この頃の歌手は身振り手振りは少なかったかもしれない。
笠置シズ子だけが特別だったろうと思う。
物語を見ている。誰もが知っていることだが、スズ子はこの後大恋愛の末女の子を1人儲ける運命に導かれる。