ブギウギの物語の中でも、注目すべき象徴的なシーン。
歴史としたモデルがいる話なので、あらかじめストーリーの展開は予想がつくと言うもの。
主人公スズ子の弟、六郎は戦死したと報告が届いた。
厳しい運命をもとに、スズ子がどのように生き抜いたかが今日のエピソードで詳しく描かれた。
スズ子の師匠羽鳥善一は亡くなった弟六郎のために鎮魂歌とも言うべき曲を作詞作曲。
この曲は作曲家、服部良一が笠置シズ子の戦死した弟亀井八郎を弔うために作ったもの。
しかし、実際の音源はどこを探しても見つからなかったと聞く。
2019年になって、やっと服部良一直筆の楽譜が見つかったそうな。
今回ブギウギの物語に合わせて1部の歌詞を作り替えて発表することになった。
服部良一は軍歌はほとんど作曲していなかったと思われるがこちらの曲でしっかり愛国精神を賛美するための作曲を。
調べたところ、作詞作曲ともに服部良一とあった。
史実をしっかり踏まえながらスズ子を演じる趣里が主人公に成り変わって渾身のステージを務め上げる。
今日のわずか15分の物語でありながら、趣里のパフォーマーとしての底知れぬ存在感を見せつけたような気がする。
歌いながら演技をしながらこれはすなわちミュージカルと同じ。
あまり詳しくはないが、驚くほど高度なポテンシャルを要求されると聞く。
わずか15分の朝ドラの中で、見事に演じきった趣里に惜しみな拍手を送りたい。
目次
大空の弟
モデルとなった服部良一が作る音楽はジャズと言うことになるので、当時の時代背景から照らし合わせると敵性音楽ということに。
ほとんど記憶に残る事は薄れてきたが横文字のついた言葉はほとんど使ってはいけないとされていたようだ。
特に音楽関係で言えば、トランペットやホルン、トロンボーンといった楽器の名称も和名に変えられた場合が、ほとんど。
意味不明なものも多かったような。
この頃、服部良一は笠置シズ子の師匠として怖い絆で結ばれていた。
大空の弟は笠置シズ子の弟亀井八郎の戦死報告を受けてお弔いのために作った曲とされた。
今回番組の中で紹介されたものは間違いなく当人の作詞作曲。
ただし、物語に合わせて歌詞の1部をアレンジしたと聞いている。
ブギウギの中で使われた趣里のパフォーマンスフルバージョン。
おそらくここでしか音源はないと思う。
茨田りつ子の全力投球
茨田りつ子のモデルは言わずと知れた淡谷のり子。
彼女の想像を絶する厳しい運命は調べると思わず絶句するほどの内容。
物心ついたところから化粧をしたりドレスを着たりすることが大好きだった彼女は家族を養うためにヌードモデルも辞さなかった。
彼女の自伝の中で詳しくられている。
物語の中のりつ子は最初に舞台挨拶を任されていた。
その後自らの持ち歌を朗々と披露。
拍手喝采を浴びる。
彼女の代名詞となっている。別れのブルースは、曲の雰囲気を表現するためにもともとソプラノだった音域を一晩中飲んだ酒とタバコで喉をつぶしてわざわざ作ったと聞く。
調べてみると、東京音楽学校を主席で卒業するほどの才媛だった。
彼女は生活を守るために家族を養うためにありとあらゆることをやったようだ。
ブギウギの中でも淡谷を彷仏とさせるような菊池凛子の演技が光る。
スズ子と梅吉 そして六郎
もう残った家族は梅吉とスズ子しかいない。
ツヤの死が花田家を暗く辛いものに変えていった。
本当は、酒を飲みながら仲間と語らいながらと言うのが望みだったろうが残念ながら今はそれも叶わない。
スズ子は自分が花田家の本当の娘でないこともよく知っている。
自分の判断で秘密にしようと心に決めた。
それは両親が戸惑い悲しむことを防ぐため。
本当の親子以上に家族をいたわる気持ちが強い。
その段階で既に親子以上の存在なんだと勝手に思ってしまうのだが。
スズ子が大空の弟を歌った時に六郎の姿が観客席の中に現れていた。
これは幻と言っていい
こういった演出はカムカムエブリバディでもあったように思う。
確かこれは一人娘に亡霊となって出現して話しかけるシーンだったと思う。
今回ブギウギではスズ子の歌唱に答える形で、ステージの中に現れた六郎。
全身全霊 スズ子の歌唱
スズ子をている演じている趣里。
彼女の全身全霊の歌声が物語を凌駕していたと思う。
素晴らしいの一言。
これだけのパフォーマンスがこなせられるのなら、これからも引く手あまたなことに間違いない。
それにしても見ごたえのある15分だった。
特に音源が番組のために全てスタッフがきちんと作り上げたもの。
さらには演じている役者が自ら歌っている。
物語はこのままいよいよ明日が一区切りとなる。