今週描かれたブギウギはおそらくこれから本格的に訪れるであろう不幸をあたかも予行練習のようなかたちで描かれていた。
先週、母親のツヤが亡くなった。
その後を受けた今週のストーリー展開は、梅吉の決して癒されない悲しみとともに、スズ子に訪れた様々な障害が物語の中心。
時代設定は昭和15年から16年にかけて。
誰もが知る通り、この頃の日本は戦争一色で塗りつぶされていた。
生活物資もままならない中、戦争へと突き進む日本。
戦いを継続するためには、国民総出の協力が必要不可欠とされた。
スズ子の舞台も当時の警察から厳しい検閲を受けることに。
まともなステージが成立しないような理不尽な制約。
厳しい舞台を続ける中、梅吉の周りに漂うどうしようもなく立ち直れないふがいない父親の様子。
そんな中、スズ子の前に現れた少女、小林千夜
梅吉のちょうど良い相手と思いきや、スズ子の逆鱗に触れるような約束破りを犯してしまう。
酒浸りの救いようのない毎日がまるで改まらない梅吉と意気投合して騒ぎまくる。
そんな中、ついに梅丸楽劇団は解散に。
全く未来が見通せなくなった今、スズ子が取るべき道は他ならない茨田りつ子からもたらされることになる。
目次
時代は戦争に向かう
この時代はあらゆる面で規制がかかっていた。
特に厳しく監視されたのは芸術関係。
日本の戦争に対する姿勢を賛美するものでなければ排除される傾向にあっただろう。
文民統制と言えばそれまでだが、日本の歴史を考えたとき封建時代に匹敵する惨めな時代だったかもしれない。
この時代を生きた人は今は日本では少数派になっているかもしれない。
ブログを作っている私でさえ昭和28年の生まれなんだから、この時代のことをリアルタイムでなど知る由もない。
スズ子への制約
スズ子に対する評価は最低最悪のものだった。
警察が抱くスズ子のイメージは不真面目で人々を堕落させるものとこれ以上ない惨憺たるもの。
ステージ上を激しく動き回るパフォーマンスや歌い方などどれをとってみても、今の日本にはそぐわないものとして認定されていた。
とにかくステージを動き回ることに関しては、三尺四方から出てはならないと厳しいお達しが。
スズ子の歌はブギウギなので持ち味は、どれだけ楽しげにノリよく歌えるか。
その様子を称して不真面目と断定。
この辺を描いた警察官のセリフも実に辛辣だった。
お前は不真面目だ😤
もっと真面目にやれ😡
芸術に対しての無理解と言えばそれまでだが、これならステージに立たない方が良いのかも。
梅吉の苦しみ
先週から今週にかけて一貫して描かれたのは梅吉のツヤを失った苦しみ。
酒を飲んで気持ちを紛らわしそうとしているかのように描かれていたが、実際は違う。
酒を飲むことでよりツヤに会いたい気持ちが募って仕方がない。
梅吉はツヤを忘れないために酒を飲んでいたとも言える。
ツヤちゃんに会いたい❤️😭
物語を見ていてよくわかったのは、梅吉は立ち直ろうとしていたわけではないってこと。
むしろツヤに会えるなら、「自分の命を立ってでも」とそんな気さえしてくる。
梅吉はスズ子が思うような「しっかりしたきちんと立ち直れた父親」を演じる気などさらさらなかったのだ。
ここで登場した千夜は来週以降再び登場してくる。
物語で、彼女が今週だけの登場とは思いにくかったが、どうやら来週以降も大切な役柄でお見えになる。
スズ子が進むべき道
来週の予告編もしっかりと告知されている。
りつ子に指摘されたスズ子は自らの気持ちをストレートに表現できる自前の楽団を持つことにした。
りつ子のものをそのまま真似しただけのように思うが、スズ子のたどり着いた結論。
最後のエピソードで明らかになっていたが、梅丸楽劇団を対談したトランペットの一井が最初のメンバーに招集される。
予告編を見る限りでは、どうやら昭和16年12月8日以降のことも描かせれる。
日本は太平洋戦争で最初の真珠湾攻撃だけが華々しい戦果をあげられただけで、それ以降はジリ貧で国力を失い続けた。
予告編の中ではいくつか気になることもあったように思う。
ステージ上でスズ子が倒れ込むシーン。
そしておそらくだが、六郎の戦死報告。
およそ明るい話題などまるでない。
しかし、これらの内容は全てモデル笠置シズ子の運命をそのまま踏襲している。
考えてみれば来週最後のストーリーは12月8日に放送される。
日本にとっては暗い歴史の1ページとなった記念日。