戦後初めて音楽活動のイベントが開催されたときの様子が詳しく語られた。
物語は昭和20年12月。
8月15日の終戦以降、日本は復興に向けて力を結集しなければならなかったとき。
スズ子たちは日帝劇場からのオファーを受けて短期間ながら準備を進めていた。
戦前は歌うことの叶わなかったスズ子の名曲
ラッパと娘
ステージ上を激しく動き回るパフォーマンスを伴って、みんなの前でこの曲を披露できる。
嬉しい反面、スズ子にはしばらく活動できなかった不安もチラリとのぞく。
物語は次々と進んで、いよいよコンサートの当日。
スズ子は楽屋で緊張感の中ひたすらモチベーションを高めようと集中する。
今日の見所は、ここからの茨田りつ子とのやりとり。
りつ子は戦争中の経験から消し去ることのできないトラウマを抱えていた。
先週のエピソードで描かれた特攻隊を前にした歌は
別れのブルース。
歌を聴いた隊員たちは口を揃えて語っていた。
もう思い残す事はありません。
晴れ晴れといけます。
つまり死にに行くための背中を押したような形に。
そのことを考えると、りつ子は悔しさと悲しさで押しつぶされそうになってしまう。
スズ子はりつ子にこれからは今より悪くなる事は無い、良くなるだけだと励ますが…。
頑張って必死に歌ってみんなに元気を届ける。
スズ子の決意はりつ子にも伝わり、コンサートは上々の滑り出し。
目次
福来スズ子とその楽団
ブギウギを見ていて感じるのは、物語のスピード感。
ストーリー自体は何気ない日常のひとこまを切り取って描いてはいるが、実際は次々と新しい局面が展開することになって決して間延びした感じを与えない。
スズ子と楽団員たちは、復興最初のステージをどのように進めるかミーティングを開催。
最初の曲目を何にするかを議論したところ、スズ子自ら
「ラッパと娘」と宣言。
戦争中は激しいパフォーマンスと明るい歌声は世の中の流れにそぐわないとの評価を受けて、思い通りの歌唱が届けられなかった。
今度は思いっきりやることができる。
再びやれることに身震いするほどの喜びを感じている。
ただ、不安が少しあるとすれば、ステージから遠ざかって時間が経っていること。
一抹の不安
物語を見ていて凄いと感じるところが1つある。
それはスズ子が楽譜を見ながらしっかり音を確認できていること。
実は、著名なミュージシャンといえども楽譜の読めない人は多い。
だから現役で活躍する彼らは楽譜を使わずに音楽を記録しているらしい。
絶対音感と呼ばれるものがあるが、備わっている人たちは楽譜を見るだけでそのまま音楽が頭に鳴り響くと聞いた。
それがどんな状況なのかは素人の私には皆目見当もつかないが。
スズ子は羽鳥善一の楽譜を見ながら曲の確認作業を行っていた。
その様子を見ていた愛助がスズ子の復活を心より望んでいたとはしゃぐ。
何気ないシーンながら音楽に携わる者の素養がどれほどのものかよくわかる描き方だったと思う。
茨田りつ子の抱えるトラウマ
物語は、とんとん拍子に進んでコンサートの当日。
茨田りつ子とスズ子のやりとりのシーンが描かれていた。
りつ子は特攻を前にしたコンサートで拭い去ることのできないトラウマを抱えることになっていた。
人を元気付け勇気づけるための音楽が、自分は人を死なせるために演じてしまっていた。
そのことを考えると、悔しく悲しく苦しい。
頭から離れないとも語っていたね。
りつ子を励ましたのはスズ子。
これ以上悪くなる事は無い。
うまくやることは一旦置いといて自分の思う通りのものを演じてみる。
スズ子の開き直りがりつ子に届いた瞬間でもある。
復興を目指して
何気なく描かれていたがスズ子はステージに上がる直前、楽屋で必死に集中力を高めようとしていた。
小夜が何かと話しかけようとするが、むしろ迷惑気味に
1人にしておいて!
確かに、今第一線で活躍しているアーティストたちもステージに上がる直前は皆驚くほどナーバスになっていると聞く。
ステージをうまく務め上げられるかどうか心配になるのだろう。
物語の中でもそんな様子が上手に表現されていたように思う。
そしてりつ子が自分のステージが終わった後スズ子に声をかける。
今度はあなたの番
みんな待ってるわよ
りつ子の励ましが、スズ子に向けられた瞬間。
続きは明日描かれることになるのだろうが、物語の流れから見て大いに期待が持てる。
スズ子の人生は、この後も波瀾万丈に経過するのだ。
ブギウギの言葉通り、ハラハラドキドキする展開が待ち受ける。