もう、今日 明日と2回の放送で物語が完了するなつぞら。
今日、描かれたエピソードが最後のメッセージ。
実は、北海道は昨年、胆振大地震に見舞われて、大変な被害を被った。
地震で亡くなられた方はもちろんのこと、その時の1番のアクシデントは全道が一斉に停電になった事。
これは、世間ではブラックアウトと呼ばれていて、最近の例では、千葉県等はついこの間まで台風の影響でこの状態が続いていた。
電気がなければ、我々の生活は全く成立しないことを思い知らされた。
実は、今日のなつぞらは、ここでのエピソードが元になっているようだ。
柴田牧場で電気が来なくなったらどうなるのか?
泰樹さんの掛け声で挽回作戦が始まるのだ。
目次
大雨の後の停電
夕方から降り始めた雨は、朝になっても止む事はなく、停電になっていることが発覚。
この時、明け方から家族は気づいていたが、それぞれの反応は微妙に違っていた。
昼頃には回復することをあてにして、電気が来るのを待とうとする照男。
しかし、泰樹さんの反応はまったく違っていた。
牛たちがどうなるのかそのことが何よりも気がかりだったのだ。
泰樹さんの一言。
「牛は決まった時間に搾乳してやるから我々人間を信用して、良い乳を出してくれる。」
「人間の都合で、時間を勝手に変えてはならない。」
「牛を待たせるな!」
「人の手ですべて絞るんじゃ!」
家族の誰もが気づかなかったが、牛が鳴いたことを真っ先に気づいた泰樹さん。
動物は人間に何かをして欲しいときに、その動物にもよるが必ず人間に話しかける。
かつて犬を飼ったことがあるので、同じ動物ながら、犬も私の顔を見ながら話しかけようとしていた。
何をして欲しいのかは、こちらも相手の顔を見ればすぐにわかる。
散歩に行きたいのか、お腹がすいたのか、喉が渇いたのか、トイレに連れて行って欲しいのか。
動物を飼っている人ならばごく当たり前のことだが、飼い主たるもの すぐに理解することができる。
泰樹さんは牛が、一声鳴いたのを聞き逃さなかった。
他の家族はどうだったのかは描かれてはいなかったが、泰樹さんの心は常に外に向かって開かれていて、相手が何を求めているのかを瞬時に判断できる特別な能力が 長年の経験で備わっていたようだ。
泰樹さんの号令で、柴田牧場の全員が搾乳に関わることに。
電気が来ないとどういうことになる?
田舎であっても都会であっても、電気なしの暮らしはありえない。
柴田牧場では、牛舎の管理が電気に頼っていた。
まず第一に搾乳するためのバケットミルカー。
これはポンプを回して吸引するのに電気が不可欠。
そして、搾乳した牛乳を冷やさなければならないが、冷蔵庫が使えないのだ。
当たり前のことだが搾りたての牛乳はほんのりと暖かい。
生きている動物の体から出てきたのだ。
暖かいのは当たり前。
しかし、このぬくもりは保存をするためには大敵。
普通、自家用でも飲用とするためには、一旦は煮沸消毒をするのだが、酪農家は搾乳した牛乳を一旦ギリギリまで冷やすのだ。
冷やすことによって雑菌の繁殖をギリギリまで減らすことができる。
最終的な殺菌は、工場へ行ってからの製造過程で様々な方法が取られるようだ。
よく言われる風味を落とさないための方法は低温殺菌。
細菌が死滅するギリギリの温度を狙って温度をかける。
温度をかけすぎないのがミソ。
電気の途絶えた柴田牧場は、今アイスクリーム工場になったかつての作業場を緊急用に井戸水を組んでプールを作り、そこに搾りたての牛乳を1時避難させることに。
電気が来るまでの間、出来る限りの努力をここで行う。
泰樹さんのゆずれないマインド
泰樹さんにとって、自分がなりわいとしてきた酪農は、それはお金を儲けることでも働くことでもない。
しっかりと牛と向き合うこと。
酪農家の商売道具は他でもない牛なわけだから 。
“牛を大切に扱ってその声をしっかりと聞くこと。”
開拓者一世はたくさんの苦難に遭遇して乗り越えてきた経緯がある。
困難に出会った時に、ベストな対応方法が何かを瞬時に判断して全力で立ち向かおうとする。
今回の停電によって搾乳ができなくなった事件も、そこで決して待つのではなく、その時にできる最善の方法が何なのかを瞬時に判断をする。
90歳を超えたおじいちゃんがいつになくはつらつとして搾乳作業に向かうのだ。
そして周りの家族にてきぱきと指示をする。
これ以上の困難をかつて経験してきたに違いない。
苦難と戦うためのプログラムが、必要に応じてまだ起動する。
家族全員、泰樹さんの偉大さを改めて感じ取ったエピソード。
仕事ぶりを物語として作る、しかし、ドラマの中で描かれていた様々なシーンはとても興味深く。
物語の最後を締めくくる印象的なエピソードとなった。
人海戦術
人の手でやるので、当然 時間はかかる。
しかし、ベテランの作業員がそれなりに全力を尽くすとき、様々な仕事を手分けして てきぱきとこなすのだ。
そして上手な描き方だと思ったのは、どの牛から搾乳していくかをきちんと皆が同じ判断のもとに行っていた。
様々な条件の牛がいるのだ。
お腹にまだ子供のいる牛や、かつて乳房炎になった牛などそれぞれ条件が違うので、早い遅いがそこで決められる。
搾乳などしたことのない夕実子ちゃんも、見よう見まねで手伝うことに。
一久さんも搾乳した牛乳の後始末に手伝いとして参加。
こうして全員の奮闘努力によってこのピンチを乗り切ることができたのだ。
天陽くんの畑から生まれる開拓者たちの思い
柴田牧場でのトラブルを無事回避できた後で、なつと泰樹さんは天陽くんの畑に。
ここは大雨の被害で、どうやら大量の水が流れ込んだ後のようだ。
天陽くんの実家も水害がついたようで、両親は後始末に追われていた。
天陽くんの奥さん“靖恵さん”が子供たち2人を連れて芋掘りの真っ最中。
その姿を見て手伝いを申し出る泰樹さん。
雨に浸かってしまった畑からとれたジャガイモは、デンプン用の出荷しかできないとの事。
泰樹さんは心の中で思っていた。
「この十勝という荒れ野を自分たちの住みやすい故郷に変える」
開拓者一世のマインドがここに再び語られた。
なつぞらはいよいよ明日が最終回となる。
最後は物語の締めくくりにふさわしいエピソードが語られると大いに期待する。