物語の進行スピードは徐々に加速度を増すような。
何気ない日常をさらりと描いているので、それほどの事は無いんだろうと思いつつ、きちんと目を凝らしていないとぐいぐい進む。
そしてあの算太は「サンタ黒須」やて😳😅
これはどう考えてもパロディー。
ここで彼が登場しなければならない理由は当然あるわけで。
それにしても不思議な、へんてこな役柄で、俳優濱田岳がどれほどの実力者なのかがよくわかると言うもの。
若手の中では実力者と認識しているが、おそらく70歳をかなり過ぎた役設定になるはず。
いかにも年寄りっぽく、受け答えもやっとみたいなキャラになっているが、古い記憶と、と同時に物語には出てこないミッシングリングのような役どころに映る。
2代目モモケンを「だんごちゃん」と呼んでいた。
2代目モモケンはデビュー当時、団五郎を名乗っていたので、かなり古い時代の話になるはず。
ひなたの質問にも答えをはぐらかして無料チケットを2枚置いて立ち去ってしまうのだ。
目次
サンタ黒須
サンタは算太だよね。
物語の設定では振付師と言う事らしいけど、モモケンとはおそらく20年近い付き合いになるんじゃなかろうか。
今のモモケンは最初、団五郎を名乗っていた。
父親がなくなる前まではこの名前でテレビ出演など多数。
どうやらその時からの付き合いらしい。
彼は間違いなく「橘 算太」のはず。
物語の中心的な役割を果たす。
彼は家業の和菓子屋を継ごうとせず、岡山から大阪へ出向いてダンサーになることを目指したはず。
借金しまくりで親にも迷惑をかけ、戦争から戻ってきた後は妹安子の貯めたお金を全て持ち逃げして雲隠れ。
そのせいで安子と娘るいは大変な思いで親子2人暮らしを強いられた。
ひなたの母親やおばあちゃんにとっては決して忘れられない存在だろう。
カムカムエヴリバディの終盤になってもう一度登場するにはそれなりの理由があってのことだが、脚本家の手回しの良い伏線に驚くことしきり。
ひなたと文四郎
サンタはひなたの質問に答えようとはしなかった。
初代モモケンと今の2代目の間にどんな確執があったのか問いただしてみたが、のらりくらりで簡単にはぐらかされてしまう。
そのかわりそんな詮索をするくらいなら映画を見てきなさいと、2枚の無料チケットを差し出す。
それがなんと黍之烝七変化のリバイバル上映。
ジョーとるいがトランペットコンテストの前に見たのがこの映画。
ひなたと文四郎もオーディションの前に同じ映画を見ることに。
もともと時代劇オタクな2人。
時代劇を見るときにどんなところに注目すべきかは本能的に心得ている。
いざ映画が始まると画面に見入ってしまって、隣に座っているにもかかわらず相手の存在など気にもかけず。
後で感想を語るときに映画の内容はなんだかよくわからなかったけど殺陣はすごいと。
この作品では初代モモケンは共演を断られた2代目の息子にあてつけるつもりで新人の大部屋俳優を起用した。
それが伴虚無蔵さん。
そして時代劇オタクは、作品の中で描かれた殺陣に注目。
これは立ち回りを意味するが、真に迫っていてしかも迫力その他どれをとっても申し分ないものに映ったと見える。
時代劇の真骨頂と言えるかもしれない。
立ち回りのない時代劇は見せ場がないので、そういった物語は作らないのが常。
逆に、立ち回りだけ見せるような作品があったとしてもそれは不思議じゃないだろう。
アクション映画なるものがあるけれど、今はコンピュータグラフィックを駆使してどんな映像でも表現可能になっているが、正直なところ見ている方は1回見ただけでは到底理解できるものじゃない。
時代劇の立ち回りも同じような事が言えるはず。
何度もリハーサルを重ねてこの流れで行こうと演じるはずだが、この手の作品は音楽等と同じで同じものを二度とすることはできないのだ。
ひなたと文四郎君は本能的に作品が持つ本当の値打ちを感じ取っていたと言える。
再上映 妖術七変化
映画の中には見せ場を作ることが求められる。
つまり、その場面になると皆待ってましたとばかりに喝采を。
しかし、逆の描き方をした場合はどうなるだろう。
つまり、みんなの見たいと思うシーンを最初から最後まで並べてみせる。
料理で言えば、前菜もデザートもなしで、主菜のみで出来上がっているような。
普通そういうのって飽きちゃうんだけどね。
初代モモケンの遺作となったこの作品は、様々な人たちにとって思い入れのある作品。
2代目モモケンは父の成し遂げられなかった作品のヒットをこの物語で成し遂げたいと言う思い。
虚無さんはこの作品で表現し尽くした自分の殺陣をもう一度チャレンジして汚名を注ぎたい。
大槻家の食卓
映画が終わった後2人とも茫然自失で帰ってくる。
ひなたは自分の家に到着したことに気がつかないほど。
実はここで文四郎君はあまりの空腹で倒れ込んでしまうのだ。
その結果、大月家でみんなで食卓を囲むことに。
この辺の描き方がとてもほのぼのして好感度マックスなシーン。
ごく普通の晩御飯に、驚くほどの感動を覚える文四郎君。
彼がもりもり食べる様子をうれしそうに眺めるひなた。
この2人はお互いがそれぞれのことが大好きなことをまだ気がついていない。
いずれその気持ちに気がつく時がやってくるに違いないのだ。
今日の最後のほうは、特に心がほっこりとするような素敵なシーンが目白押しだった。