いよいよ過去からの歴史が語られることになる。
ちむどんどんは沖縄の暢子の世代と思いきや、戦前から続く歴史物語でもあった。
暢子の両親がどんなふうに出会ったかが優子から直接語られることになる。
沖縄は太平洋戦争の最中、唯一アメリカ軍が上陸した激しい地上戦が繰り広げられた場所。
戦った日本軍もさることながら、当時住んでいた人たちの3分の1が亡くなる激しい戦いだったと伝わる。
父賢三と母優子の出会いのときの様子が少しずつ語られることに。
と同時に、両親の出会いは沖縄だけの話では済まなかったようだ。
ちょうど東京に働きに出ていた賢三と、叔母大城房子との出会いも同時に語られることになる。
ここへきて次々と開かされる沖縄の歴史。
そして戦争直後、沖縄はアメリカ軍の支配下に置かれることに。
不安と疑心暗鬼の中、優子は弟と2人で洞窟に逃げ込んだ過去が語られていたね。
そして、アメリカ兵に見つかって捕虜に。
その時一般市民は、捕虜収容所を転々としたと説明が。
この辺の歴史的な事実は、誰かがきちんと聞き取り調査をしなければ表沙汰にはならないだろう。
沖縄を襲った不幸がどれほどものなのかは、未だに知られていない部分も多数。
目次
優子と賢三
写真の左端の背の高い男が賢三、手前の女学生が優子。
唯一残っていた古い写真らしい。
どうやら、優子の実家は食堂を経営していてそこに住み込みで働いていたのが賢三とのこと。
その時の様子も詳しく語られていたがどうやら旅一座の一員だったようだ。
その一座が現在の歌子の民謡の先生が座長をしている設定。
なるほど、だから賢三の古い知り合いとして比嘉家を訪ねてきたと言うことになる。
ちなみに若い2人が、知り合ってからは、付き合いを始めたわけではない。
戦争が始まって、旅一座はうまくいかなくなり賢三は中国戦線に徴兵されたようだ。
そして、沖縄は1944年10月10日。
「鉄の暴風」と呼ばれるアメリカ軍の猛烈な艦砲射撃によって完膚無きまでに破壊されし尽くした。
このときの様子も物語の様々なエピソードで語られていたね。
脚本家羽原大介は同じ朝ドラマッサンの脚本で知られる。
若い頃の優子を演じた優希美青は調べてみるとマッサンの時の亀山エマとして登場。
どこかで見た顔だと思ったんだよね。
さらには暢子を演じている黒島結菜もエマの友達の役で同じドラマに登場。
ちなみにこれは今から7年前のドラマなので、この頃から2人ともNHK御用達の著名な女優だったことが見てとれる。
賢三と叔母房子
ドラマの中で明らかになっていたが、暢子が父の形見として所有していた包丁は、思った通り房子が賢三にプレゼントしたもの。
戦争直後、親戚であることを理解していた2人は、力を合わせて店の経営に。
一度沖縄に帰った賢三は再び戻ってくる事はなかったと語られていたね。
房子はその時は、裏切られたと思い込んでいたらしい。
さらに今日明らかになったエピソードは鶴見で働いていた賢三が三郎に三線を教えていたこと。
沖縄出身の賢三は沖縄を知らない沖縄2世の人たちからはいろんな意味で尊敬され慕われていたことが理解できる。
物語的に見て、様々な登場人物が出てくるけど、年代がいまひとつしっくりと飲み込めないでいる。
三郎と房子が親しい間柄なのはよくわかっているが、賢三は甥でいながら、なんとなく同世代のような描かれ方。
ちなみに、ネットではダメ出しするコメントが相当数に上る。
歴史から見えてくるもの
三郎は戦後シベリア抑留を経験しているようだ。
セリフの中で一言二言その辺のことが語られていた
さらには東洋新聞編集長の多良島の兄は沖縄戦線で戦死したとの設定。
1978年の設定で、彼らがたどっているのは1945年から46年にかけてだろうと思われる。
つまり、30年以上前のことを思い出しながら語っているドラマと言うことに。
進んで人に開かせるようなエピソードでない事は理解できる。
亡くなった人はどこまでも気の毒であり、生き残った人たちは生き残れたことへの罪悪感でこの後もずっと苦しみ続けることになるのだ。
エピソードを結びつける力
沖縄の焼け跡で再会した優子と賢三。
ドラマの流れからして、このあと2人は意気投合して夫婦になるんだろうと思う。
優子のセリフで、運命を感じたと語っていたね。
ボロボロな服を着て、避難所で横たわる優子を見つけた賢三は戦争中の苦しい思い出が2人の出発点になることを自覚したに違いない。
戦後何十年たっても、過去に受けたトラウマは消え去る事は無い。
優子にとっては、避難した洞窟の時一緒に過ごした弟を失ったことがいまだに受け入れられないでいるような。
物語は、単純に恋バナを描いていたわけではなかった。
戦争を中心として、沖縄がどんな災厄に見舞われたのかが克明に描かれる。
物語の核心はあと2日で全て語り尽くされるのだろうか。