物語は残りわずかとなった。
植物学者槙野万太郎は自分のまっすぐな思いを貫くためには大学にはいられないと判断。
ついに、1人で研究生活を続けることに。
既に子供たちも大きく育ち、千歳は虎鉄と結婚している。
そして孫も生まれていた。
様々なエピソードの果てにらんまんはついに集大成を迎えたことになる。
東大植物学教室との別れ。
そして1人で研究生活を続ける万太郎には新たな場所が必要になった。
時代は移り変わり大正12年9月1日。
日本の歴史上まれに見る大災害、関東大震災が起こった。
この時、東京に住む人ばかりでなく国民全員が大きく運命を変えられた。
らんまんはここからが物語の真骨頂になる。
寿恵子は万太郎を支えるために新たな研究拠点を計画する。
それは精魂込めて作り上げた自分の待合茶屋ヤマモモを売却すること。
その資金をもとに広い場所とふさわしい建物で万太郎の研究を支えようとする。
既に渋谷は田舎のはずれではなくなっていた。
東京本所のあたりは、建物はすっかり消失し大勢の人が焼け死ぬ大惨事。
その結果大勢の人たちが渋谷になだれ込んで。今までの東京とは一変。
街の拠点が移り変わる中、万太郎は新しい場所で研究生活を続けることになる。
目次
東大への辞表
この頃、明治政府は神社の統廃合を進めようとしていた。
そして打ち出されたのが神社合祀令。
これは廃止された神社の森が伐採され失われることを意味していた。
そのことがどうしても承服できない万太郎と国家予算で運営されている大学とはどうしても相入れない溝が。
大学には残れないと悟った万太郎はついに辞表を提出。
自ら大学を離れることを選んだ。
要するに植物を取るか、権力を取るかで万太郎が選んだのは植物。
彼はどこまで行っても草花の精としてふるまった。
らんまんはここへきてどこの組織にも属さない1人の植物学者槙野万太郎についての物語になる。
植物学者の矜持
万太郎の日常は野山に出かけ、植物を採取し標本にすること。
さらには論文を書き書籍にして発表する。
それ以上の事は何もないが、そのことを貫くのはある意味至難の業と思われた。
神社合祀令で伐採される森があることを知った万太郎はどうしてもそのことに迎合することができない。
関東大震災でみんなが逃げていく中で、警察官に標本を抱えた万太郎が呼び止められる。
可燃物は捨ててしまえ。
万太郎は敢然と立ち向かっていた。
これは絶対に捨てない。
後の世に伝えるべきもの。
植物学者としてどんな行動をして何を守るべきかはっきりと示された瞬間でもある。
関東大震災
万太郎は十徳長屋にいるときに関東大震災に遭遇する。
その時には家族もそこにいた。
最初小さな揺れから始まった地震は、やがて立っていられないほどの巨大な揺れに。
十徳長屋は無残にも形を止めおくことにはならなかった。
瓦礫の山とかした長屋。
必死で呼びかけて家族の無事を確認する。
実はこの時東京では大惨事があちこちで起こっていた。
この頃の日本は防災の考え方などまだ存在しなかった。
江戸時代の火消しの感覚が色濃く残っていた頃。
1部は火事を消し止められたところもあったが、身動き取れなくなった人々に火の粉が降りかかり、そのまま焼け死んだ人も大勢いたと伝わる。
万太郎たちの家族が全員無事だったのは不幸中の幸いだったかもしれない。
万太郎たちは当初逃げようとした場所を諦め、渋谷のヤマモモを目指すことになった。
十徳長屋に残した標本のことが心配でならない万太郎。
単身戻って無事な標本などを探そうとする。
どうやら家族全員が無事なことを確認できて一安心したが、これからの研究生活を考えればどうすべきか考えなければならないこともたくさんあったように感じる。
寿恵子の決断
今週のエピソードの中で、おそらく1番強烈なインパクトを発したのは、寿恵子の決断ではなかろうか。
寿恵子は万太郎のためにどうしてもふさわしい場所を提供したいと考えた。
商売のために見つけた渋谷だったが今ではここは大都会でおよそ研究を続けられるような穏やかな環境ではなくなった。
寿恵子はひいきにしてくれる客相島にヤマモモの売却を持ちかける。
当時の5万円が現在のレートでは、諸説あるがどうやら2億円ほどの値段だったようだ。
寿恵子は売却したお金をもとに、練馬のはずれに広い土地を購入。
そこを万太郎の研究生活の拠点として提供することにした。
そして物語は最後の1週間に突入する。
既にネタバレ情報では最後のストーリーまで細かく案内されているが、それは見てのお楽しみと言うことになる。
モデルとなった牧野富太郎博士は11歳年下の奥さんを55歳の時に癌で亡くしている。
どうやらその通りのエピソードが展開されるように感じる。
さて、物語の最後はなんとなくなければ語り尽くされないような印象も受けるが、あっという間に駆け抜けたらんまんだったと思う。