週を改めたことで、物語は明治26年の設定になる。
すでに様々な事件が起こって東大の植物学教室は、今や徳永教授が率いる全く新しいスタイルに。
様々なことが変化しつつ、万太郎だけは古い時代のシステムをそのまま踏襲していた。
徳永教授とのやり取りで、物語がどんな状況に進んでいるのかが詳しく語られた。
どうやら一言で説明すれば大きな差異を認めるしかない。
万太郎の植物に対する気持ちは愛着以外の何物でもない。
対する徳永教授を始めとする世界の植物学の趨勢は勝ち負け。
植物学は、勝ち負けの世界において語られるべきものとなってしまった。
そして、研究対象もどうやら変わってきている。
外側よりは、内側。
つまり、解剖学を用いたミクロの世界での様々な働きについて研究対象が移り変わった。
徳永教授の目指すべき目的は植物学の分野で世界の頂点に立つこと。
どうやら、万太郎とその周りとでは、植物に対する見方は、全く違ったものに。
万太郎が助手として雇われた理由は、今まで通りの研究を続けること。
それは徳永教授の万太郎の境界に対するある意味哀れみだったのかもしれない。
そんな中、万太郎に本音で語ったのは大窪だった。
万太郎を激しく蔑む言い方は敵意すら宿っているように見えたが、激しい言葉の裏には不思議な優しさを感じとってしまうのは私だけじゃないだろう。
大窪は世の中と照らし合わせて万太郎の本質をズバリと見抜いていたのかもしれない。
目次
明治26年東大植物学教室
万太郎が田邊教授から追放されて7年が経ったとのこと。
物語は、先週先々週からどんどん進んでいたのでぴんとこない部分もあったけど、万太郎は子供が3人になって5人家族で暮らしていた。
さらには槙野家の借金が500円に膨れ上がっていたこと。
岩崎弥之助にノジギクを300円で購入してもらったこと。
いろんなエピソードがあったように思うが、植物学の本質は世界的なレベルでいったなら植物の外見を観察する時代ではなくなってきている。
植物を詳しく研究すればするほど、ミクロの世界についての研究が主流になりつつあった。
東大は国家の資金でしかも国威発揚の大きなテーマが裏に隠されていた。
万太郎のように、のどかに植物を愛でているレベルの話ではなくなっていたのだ。
入れ替わったメンバー
新しい学生も増えていて、万太郎とやりとりしていたのは大学院生と語っていた。
以前の田邊教授はワンマンで、すべての作業について、彼が取り仕切っていたが、徳永教授は、ある程度生徒の自発的な行動に任せているようだ。
先週の物語の中で、徳永表示は田邊色を一掃することを第一に考えているようだと語っていたが、確かに今までとは違っていたかも。
しかし、全体のシステムは同じように見えたね。
頂点に君臨する徳永がみんなに命令して、みんながそれに従う。
多少民主的になったかなっていうぐらい。
細かい点に注意を払って見ると、顕微鏡なども新しいものが持ち込まれていた。
さらには、見たこともないような機械も。
植物学の現状
万太郎がしばらく留守にしていた間、植物学は世界的な規模で進展していたようだ。
新種の植物を見つけて、名前をつけて発表と言うレベルではなくなった。
植物の細かな働きをどこまで詳しく解明できるかに研究の本質が向いていたように見える。
そのためのアイテムとしての顕微鏡は必需品。
そういえば、子供の頃の理科の時間で見た植物は、葉っぱの断面とか表面の気孔をスケッチするような作業があったような気がする。
この頃はそういった研究が主流になりつつあった。
徳永教授との大きな差
徳永教授は植物学に限らず世界中で行っている研究活動はすなわち勝ち負けこそが全てだと言い切っていた。
つまり、従来通りのやり方でやったなら、日本は植物標本の点で決して勝てる見込みはなく、新たに別の分野で勝負する以外にないのだと。
万太郎とは、明らかに違う立ち位置。
万太郎は、勝ち負けで研究活動を考えていない。
そして、このまま情で植物学教室にとどまったとしても、彼の本当の居場所はないことを大窪はしっかり見抜いていた。
そして、激しい言葉で万太郎を罵っていたね。
彼自身もどうやら身分の変更があるらしく、東大から別なところに移動になるような雰囲気。
物語がこの先どんな展開になるのか、果たして万太郎の居場所がきちんと確保できるのかどうか。
モデルの牧野富太郎博士の人生とも被るものがある。