明治のこの頃のご時世が強く反映されたストーリーだったと思う。
らんまんは残り少ないエピソードの中で、万太郎がどのようにして研究を継続できたかが詳しく語られることになる。
本当は昨日あたりから登場してくると思っていた
かつての土佐の親友早川逸馬。
彼が登場してきたのは今日からだった。
自由民権運動でかつては万太郎も胸をときめかせた時代。
その時、警察に捕まった万太郎を身を挺して救ってくれたのが早川。
今日はいかにも物語らしい設定で再会が詳しく導かれることになる。
この時代のご時世として、神社の合祀令がある。
もちろん誰もが賛成して施行されたわけではない。
結論から言えば、反対意見もずいぶん多かったようだ。
万太郎は、東大の植物学教室に在籍している関係で、大学の命令には逆らえない切ない事情が。
しかし、神社の統廃合はすなわち神社の様々な植物フローラの破壊が簡単に予想された。
徳永教授からは、深入りするなと厳しく釘を刺される。
植物を守りたい万太郎は大学と植物学の仲間たちとの間で苦しみ悩むことになった。
そんな中、万太郎を訪ねてきた早川逸馬は再会を喜ぶだけでなく万太郎の研究を支えてくれる資産家を1人紹介してくれた。
突然の申し出にうろたえる万太郎。
研究生活のこれからを左右する大切な事柄が語られた。
目次
徳永教授の命令
この頃の東大は国家の一機関としての色彩が強くなっていた。
物語をじっくり見ているとよくわかるが、徳永教授は決して万太郎に無理難題を押し付けているわけではない。
当時、国が推し進めていた神社統廃合の命令に決して逆らうことなく従わなければならないと考えていたようだ。
何よりも植物学教室が今一番力を入れなければならないのは、台湾の植物調査。
そのための、費用も時間も人出も全て望むものが用意される。
逆らってしまえば、自分たちがやりたい研究もできなくなる可能性が。
万太郎は、神社の様々な植物が根絶やしにされることを危惧していた。
それは、野宮が手紙で語っていた通り。
神社がなくなる事は、そこにある植物も失われてしまう。
万太郎自身も、神社の木々を伐採することには絶対反対。
何とかして自分の意見を述べようとしたが、徳永は厳しく遮った。
目立つことをするな😡
ストーリーをよく見ているとわかるが、徳永は彼なりの配慮で万太郎をかばっていたのだ。
すでに、徳永の下には寿恵子の待合茶屋ヤマモモに対する言いがかりのようなクレームも届けられていた。
それを、教授の力でもみ消していた徳永。
しかし、万太郎がでしゃばるような目立つようなことをしてしまえば、徳永もこれ以上はかばい立てすることができない。
物語を見ていても、ストーリーの整合性が見事にとれているところに感心する。
万太郎の苦しみ
万太郎が第一に考えているのは、植物のこと。
どんな理由があるにせよ、あちこちに茂っている草花木々を伐採する事は、到底容認できない。
彼はどこまでいっても、植物のために人生を捧げた存在なのだ。
物語の中では、成長した万太郎の子供たちのやりとりも描かれていた。
役所に通っている百樹の所へ万太郎を見込んで、理科の先生がやってきたらしい。
新しい教科書を作ってほしいと。
どうやら、その内容は、万太郎が東大の著名な植物学者であることを見込んで、その肩書をもとに作られた教科書なら大いに説得力があるだろうと。
ちょっとした下心かもしれないが、周りの者たちが見る万太郎は東大の中で誰よりも有名人だったかもしれない。
万太郎の身分が実は助手でしかないと知って、皆驚きを隠せないのだそう。
子供たちがしている話を聞いてしまっていた万太郎は、自分が何に基づいて行動すべきかさらに悩みを深めてしまう。
子供たちにとっても万太郎は尊敬すべき父親なんだろうと思う。
万太郎も、子供たちの気持ちをよく理解していて、子供たちの期待を裏切らないことが人生のポリシーとなっていたかもしれない。
万太郎は植物に人生を捧げてはいるが、彼にとっての家族は植物と全く同格かそれ以上のもの。
ヤマモモにて
ヤマモモには土佐出身の名士として早川逸馬が訪れていた。
もちろん寿恵子は初めて会うことになる。
早川も寿恵子が万太郎の妻であることはご存じない。
しかし、ヤマモモでのもてなしはどこまでいっても土佐流。
それは図らずも、早川にとっては、懐かしさを超える感動だったようだ。
そしていくつか交わす会話の中から寿恵子の夫が槙野万太郎であることを知ることになる。
早川は、万太郎とは旧知の中。
彼が土佐で警察に捕まったときに、全力で万太郎をかばっていた。
どうしてそこまで万太郎の助けになろうとしたのか?
その理由が物語の中で詳しく語られることになった。
再会 早川逸馬
寿恵子のあとについて十徳長屋をたずねる早川。
鬱蒼とした植物標本を見るにつけ、驚きを隠しきれない。
早川にとって、万太郎は忘れることのできない知り合いだった。
自由民権運動についての演説の時、万太郎は自己流で植物についての講釈をしていたと思った。
それがとても感動的だったと。
そして、警察に捕まった時、万太郎を全力で助けた理由が、
万太郎の目を見たときに、こいつなら信用できると思ったそうな。
ほとんど理由にならない理由で早川は万太郎を受け入れていた。
そして、その早川が紹介してくれたのが永森徹
演じているのが、中山大士。
なつぞらの時に、初めて彼の存在を知った私だったが、鎌倉殿の13人の演技が、今でも記憶の中に残る。
どうやら、万太郎に莫大な援助をしてくれるらしいのだが。