物語の設定は昭和19年後半。
寅子の夫優三にもついに赤紙がやってくる。
すでに来週の予告編も公開された。
ただでは済まなかった戦争の後先。
おそらく当時日本国民至るところで感じたであろう不幸が猪爪家にも。
1週間締めくくりとなった今日は寅子たち家族が父直言の会社の社員寮に移り住んでからの様子が描かれる。
今までの立派な邸宅は軍に接収。
この時代、日本はきたるべき終戦に向けてカウントダウンが。
寅子は弁護士としての活動を封印して娘優未の子育てや優三との暮らしに専心。
自分で決めたこととは言え、それが本当に自分にとってふさわしい道なのかはわからずじまい。
優三は寅子と暮らしながらも妻がどのように生きるべきか腐心する日々。
思いは寅子が自分のやりたいことを精一杯頑張ること。
おそらく寅子は頑張ると言う自覚もなく生きるに違いない。
優三の優しさが今週一貫して語られた物語のテーマ。
時代は翌年の終戦が目の前で特にアメリカ軍の本土空襲も始まっていた。
人口50,000人以上の都市は空襲の対象になっていたと聞いたことがある。
無傷な都市などほとんどなかったと言っていい。
来週は終戦後のことが描かれるはず。
歴史に残る事実としては今までの憲法など法律そのものが新しいものに変えられる。
女性法曹の道は一旦は途切れることになるが、その後再び再開。
襲い来る不幸を乗り越えた後で。
目次
優三への召集令状(赤紙)
細部にまでこだわるNHKのことなので、おそらくかなり吟味して描いたんだろうと思う。
この頃既に赤紙は色も薄く、ほんのりピンクって感じ。
昔から戸籍制度がしっかりしていたので、日本の場合 男子女子ともに掌握するのは簡単だったと言える。
赤紙が来れば逆らいようもなく戦場に駆り出される。
私の世代では、戦争を経験したものはいない。
しかし、私の両親の世代になると話は変わる。
父親は終戦直前まで新潟の部隊に所属していたと聞いた。
終戦が後1〜2週間遅れれば南方戦線に配属と言われていたらしい。
ちなみに招集令状のことが物語で取り上げられることがとても多いが、父親は志願兵だったので赤紙は無し。
自ら進んで戦場に赴くつもりだったらしい。
寅子ができること
女性弁護士として活躍していた寅子だったが、この頃明律大学は女性の募集を辞めたとのこと。
さらには司法試験も中止になったと語られていた。
本来なら弁護士として法廷に立って様々な活躍が求められたにに違いない。
しかし、寅子は自分の気持ちを押し殺すかのように封印。
今は娘を育てること。
夫に尽くすこと。
それ以外を考えないように自分に言い聞かせていたようだ。
女性法曹家の道は一旦途切れることになった。
優三の出征
この夫婦の先々の事は既にネタバレ情報で明らかになっている。
モデルの三淵さんのエピソードを考えれば、大概の事は想像がつく。
夫婦2人の場面が詳しく語られたが、先のことを知っている者にとっては切ない物語。
当時の日本は国内もさることながら、太平洋周辺に展開した軍隊の維持に膨大な労力を必要とした。
さらに中国戦線の膠着状態がある。
物資の補給以上に人員そのものが足りていなかった。
優三の望みとは
優三は猪爪家にやってきた頃から寅子が好きだったようだ。
彼女と結婚できたことが1番の幸せだっただろう。
2人の夫婦仲はすこぶる良かったように感じる。
戦争さえなければ、2人の幸せは間違いなく約束されていただろう。
しかし、当時召集された男性が生き残れる可能性はどの程度だったんだろうか。
高い確率で死亡したものと推察。
戦後すぐの頃のことをどうしても考えてしまうが、世界中に散らばった兵隊たちを日本に返すのにまともに機能もしていなかった日本政府が一体どれだけのことをやれただろうか。
特に中国方面に配属された兵隊たちは、一部はシベリア送りになっている。
ここでも大勢の人が亡くなっている。
かつてあった映画「人間の条件」でこの頃の様子が詳しく描かれていた。
私の世代は戦後すぐの世代で戦争中の記憶はないが、どうしても親世代やさらにその上の世代の記憶を強く受け継いでいる。
記憶を振り返って見ると、親世代からの様々な情報は意外にも少なかったように思う。
彼らは日本が悪者だと刷り込みされていた。
今はネットで様々な情報を取得できる私は全く逆の立場を理解できる、それでも心の中には、日本の侵略戦争の刷り込みが微妙にくすぶっているような気がする。
戦争には善悪の感情などまるで通用しない。
生き残れるか否か これしかないのだと痛感せざるを得ない。
来週猪爪家に訪れるだろう様々な不幸が一体どんな形で描かれるのか。
見届けるためには勇気が必要かも。