物語の設定は昭和22年。
民法調査室の仕事はいよいよ佳境を迎える。
諮問団体に様々な意見を求めた調査室はいよいよ取りまとめの段階に入ってきた。
今日は法律上のエピソードと同時進行で寅子に関わったたくさんの人たちとの交流の様子が描かれた。
物語は史実に基づいたモデルが存在すると同時に当然脚色の部分も。
今日の物語でいくつかの見所と呼べるポイントがある。
それは昨日偶然の再会を果たした花岡とのやりとり。
物語の中では、東京に戻ってきた花岡が闇市などの食料統制に関わる取り締まりの仕事をしている設定。
そして、決して直接は語らなかったが花岡は明らかに体調不良のような印象が否めない。
寅子は花岡の体調不良を気付くことなくそのまま別れてしまうことになったが、桂場は久しぶりに見た花岡の異常を瞬時に感じ取っていた。
それと同時に、猪爪家を夜中に突然尋ねてきた久藤とGHQのアルバート・ホーナー。
彼とのやりとりが今日描かれた中で1番心温まるエピソードになったと思う。
わざわざ子供たちや家族のために直接チョコレートを渡したいと大量のチョコを持ち込んだホーナー。
そして彼の出自も明かされる。
彼はユダヤ人とのことで、今回の戦争で家族や親戚など大勢が犠牲になった。
太平洋戦争を考えたときに、日本とヨーロッパは意外にもかなりの共通点が。
原爆開発も戦後のGHQの活動もユダヤ人なしでは考えられない。
物語はさらに進んで穂高教授から寅子にとある提案がなされる。
目次
寅子と花岡
昭和22年当時、日本は行政のシステムは全く機能していなかったと言っていい。
食料は配給制だったが、全員に行き渡らないのも事実。
都会では特に闇市で提供される様々な食料に頼らざるを得なかった。
寅子が弁当に詰めていたのは全て闇市で買ったもの。
花岡はそのような違法な取引を取り締まる立場に。
しかし彼には大きな迷いがある。
食料の供給が全く間に合わないのに、違法だからといって生活に必要なものを取り上げてしまうのは明らかに理不尽。
寅子の告発はしないと明言。
生きるために必要なことだからと。
描かれた花岡の弁当は、おにぎりが1つと沢庵のようなものがひときれ入っていた。
果たして食事と呼べるシロモノなのかどうかすらわからない。
あんな食事を続ければ現代人なら1週間で栄養失調に陥る。
花岡がやつれたように映るのは、明らかに栄養失調の症状だろうと誰もが思うに違いない。
2人のやりとりの中で、寅子がホーナーにもらったチョコレートを半分花岡の子供たちのためにと渡すシーンがあった。
猪爪!ありがとう。
2人の心の結びつきがよく表現されていた素敵なシーン。
猪爪家を訪れた久藤とホーナー
ホーナーの物語上の設定はユダヤ人との事。
アメリカに亡命して政府の活動をしている。
彼が猪爪家の子供を見て自分の犠牲になった仲間たちに思いを馳せるシーン。
この時代、
世界中に戦争犠牲者や犠牲者の家族、つまりご遺族が存在した。
ユダヤ人は私が知る限りでも600万人以上が粛清されている。
天文学的な数字なのでピンとこない。
特にホロコーストと呼ばれるアウシュヴィッツでのユダヤ人虐殺は歴史にも克明に。
ホーナーはそれら犠牲者の遺族。
彼の存在と彼のチョコレートに関わるエピソードは花江のアメリカに対する気持ちを溶かしたかも。
夫の命を奪った敵国の人には違いないが、同じ人間として彼が示した真心を受け入れざるを得ない。
英語で“thank you for children”と語った内容に嘘などあろうはずもない。
この時代チョコレートはもちろんだが、甘いものは貴重品。
砂糖が手に入らないんだからごく当然のことだと思う。
そして食料そのものが周りには存在していないのだ。
毎日生活するための食料はすなわち生存をかけた戦い。
民法調査室検討会議
真っ向から意見がぶつかる諮問会議。
保守の代表神保教授と革新波の穂高教授。
2人は全く相反する意見で話し合いを続ける。
日本は大きく変わろうとしているが、今までの価値観を全てリセットできるか否か。
日本として存在し続けるためには、何某かの引き継ぐものも必要なのではと今なら考えられる。
どのような落としどころが用意されているのかは明日の話になるものと思う。
有識者の意見でまとめられた事はなんとなく理解できる。
穂高教授が提案する寅子の新しい仕事
物語の最後で描かれた穂高教授の寅子に対する思い。
寅子は戦争で重だった家族を全て失い、1人残された子供を育てなければいけない。
仕事もなくやっとの思いでたどり着いた民法調査室の事務官。
穂高教授は自分が彼女を不幸にしたのだと罪悪感を。
今日の物語の最大のポイントが1番最後。
寅子の言葉。
はて? はて?
これが穂高教授の提案に対する寅子の答え。
示された家庭教師の仕事を拒否すると言う意味だろうね。
物語は明日結論が述べられる。