今週描かれた「虎に翼」がテーマとする人間模様。
それは大きくは国同士の争い。
身の回りで言えば、仕事を中心とする人同士のやりとり。
そして家族のこと。
それぞれを絶妙に組み合わせながら法曹家の道を歩む寅子の物語として語られた。
昭和18年から昭和20年にかけての終戦間際の様子が舞台。
寅子は弁護士として、様々な経験を積みながら膨大な量の仕事を。
失敗もあり成功例もあり。
仕事を続けるうちに夫優三との間に子供が。
その頃、日本は泥沼の戦争状態ですべての歯車が狂い始めていた。
女性弁護士もついには寅子1人だけになり抱える仕事量も限界を超える。
寅子は頑張ることでしか自己表現できない。
様々な思惑が交錯する中で、寅子は頑張らなければならない気持ちと、自分自身の身の上に起こったことを周りには告知できずに時間を過ごしてしまう。
そんな中起こった事件。
母校明律大学から受けた講演依頼の直前に失神する事態に。
睡眠不足と妊娠初期のリケートな体調が重なって起こった事件。
そして自分の言葉ではなく、他人からプライベートな事が明らかにされてしまう。
自分の取るべき道に悩んだ寅子はやがて弁護士事務所を退職。
家庭に入る決断を。
そんな中戦争の爪痕は猪爪家にも容赦なく。
兄直道や夫優三も招集されてしまう。
女だけの世帯で日々暮らさなければならない心細さ。
ちょうど時代の転換期。
目次
弁護士としての経験
戦争中の物語になるので依頼される案件は闇市に品物を流したことによる条例違反について。
どうしても軍に収めるだけでは、経営が成り立たなくて闇市にも品物を流さざるを得ない。
しかし違反は違反なので、無罪を勝ち取る事は難しい。
ほとんど相談に乗るレベルの案件が全てだったように描かれる。
もちろん明らかな失敗も描かれていた。
依頼者にまんまと騙されて詐欺まがいの依頼を受けてしまったことも。
法廷で自信に満ちた答弁を繰り返して裁判官すら巻き込んでしまう。
誰かの人生を狂わすことにもなりかねない。
弁護士は難しく、それゆえにやりがいのある仕事でもある。
様々な経験を積み一人前の弁護士として力をつけつつある寅子。
妊娠を告げられなかった切ない事情
ある時妊娠に気がつく。
普通の家庭ならおめでたはめでたい以外のなにものでもない。
しかし、弁護士としての寅子はそうはいかなかった。
子供ができれば、その前後はどうしたって休まなければならないわけで。
さらには体調が不安定な中、容赦なくやってくる仕事。
簡単に休みますとは言えない切ない事情。
自分から切り出すことができないまま自らが招いた事件によってすべての事実が明らかになってしまう。
自分が望まない形で、すべての事実が明らかに。
もっとタイミングを計って納得できる形で告白したかったのにね。
法曹家断念
様々な悩ましい事柄の連続の果てにたどり着いた結論は退職すること。
雲野法律事務所にも辞表を提出。
自分なりにしっかりとけじめをつけるしかなかった。
様々な人たちとのやりとりの中で、戦友ともいうべきよねとの会話が満感迫っていた。
よねの優しさはどこまでいっても暴力的だったかも。
二度とこちらに戻ってくるな‼️
この言葉にはよね流の思いやりが込められていた。
“子供を産んできちんと育てろ”と女性としての本来の役割に言及している。
よね自身は納得できない部分もたくさんあっただろう。
1番は内緒にされていたことのはず。
しかし、気心の知れた2人だからこそそれぞれの胸の内を思いやることができる。
寅子が責任感ゆえに言い出せなかった気持ちが痛烈に身に染みるよね。
今週何度かもらい泣きするシーンがあったが、この部分もその一つに。
戦争が襲い来る
猪爪家は容赦なく戦争に参加させられる。
まず物語の途中で兄直道に招集令状が。
死亡率の高さは言うまでもない徴兵制度。
生きて帰ってきたいと思う気持ちとは裏腹に、死ぬことへの恐怖は本人も家族もほぼ同じ。
そして物語は後半に入ってから寅子の夫優三にも赤紙が。
この時の寅子の気持ちも切ない。
責任感の塊みたいだった寅子は自分のたどり着いた今はとても人に語って聞かせるほどの結果ではないことを痛烈に反省していた。
優三の寅子への思いは、寅子の罪悪感を一蹴。
優三は寅子が何かに夢中になって頑張っている姿が大好きだと。
これから先何をやってもいいから、好きなように生きて欲しい。
今週の物語はここまで。
既に来週の予告編はがらりと変わった世の中について語られていた。
何よりも今までの概念が全て破棄。
新憲法のもと、男女平等は1番の基本的理念として歌われている。
さて歌い文句とは裏腹に猪爪家の家族や寅子の仲間たちは首尾よく戦争を生き抜けたのかどうか。