あれほど望んでいた再会を今日果たせたんですね。
千遥の家庭の事情があって、家族みんなが再会してもお互い名乗り出ることにはならず。
不思議な雰囲気の小料理屋さんの物語。
しかし、その物語の中で最後にとうとう昔の両親のことを思い出せるシーンが。
それはほかならぬお母さん。
朝ドラの歴代のヒロインで「ええにょぼ」で主役を演じた“戸田菜穂”さんがお母さん。
目次
御料理杉の子
この店の中の様子が詳しく紹介されていたんです。
前回の放送の時に、千遥と千夏ちゃんのシーンでカウンターの中とかの様子が長い時間 映されていましたね。
普通の家庭用とおぼしきガスコンロが2つ。
そしてその横に特用の大箱のマッチ 。
今ではほとんど見かける事はない、時代を感じさせるアイテム。
店の中は女将である千遥と板前さん1人、そして中居さんが1人。
男性1人、女性2人の構成で営業。
見ていてわかったのは、味付け、メニューの決定等は全て女将が。
女将の責任で料理全般がこしらえられていた。
なつが連れてきたのは、咲太郎夫婦。ノブさん。明美ちゃん。
東京の戦災孤児だったメンバーと北海道柴田牧場の1番下の妹。
実は、それぞれ皆気がついているが、全員これが初めて会うわけではない。
物語の中で思い出すシーンで、それぞれの最初の出会いが描かれていた。
千遥が結婚する前、わざわざ北海道の柴田牧場を訪ねたことが。
その時に、それぞれが皆、対面したのだが、なつと咲太郎だけが千遥と会うことができなかった。
その時の思いを込めて今日の物語が語られていた。
“杉の子”は料理をコースで提供する 昔からの和食のお店のようだ。
最初に皆が食べて感動していたのは、先付けで出されていた白和え。
テレビで見ていても、ずいぶんきれいに丁寧に盛り付けられていて とてもドラマの中とは思いにくいくらいのクオリティーの高さ。
正直なところ料理番組と遜色ない。
NHKは“今日の料理”など料理番組も特に充実しているので、あのような演出はドラマの中でもお手の物じゃなかったのかな?
今日のエピソードは残り少ないなつぞらの放送回数の中で、きっかけとなる物語。
ここから千遥たち親子が直面している切ない家庭事情が展開される。
かつての家族たち


長男である咲太郎にとって、家族全員が戦災孤児だった時代を乗り越えて再会できる事はまさに悲願だったと言える。
彼の人生はこの日のためにあったと言っても過言ではない。
なつ、咲太郎、千遥。
この3姉妹とノブを合わせた4人で戦後の焼け野原となった東京で必死で生きていたのだ。
その中でも特に幼かったなつと千遥だけが、みんなと同じ行動をとることができずにそれぞれ違う環境にもらわれていったのだ。
なつぞらでは、主人公なつに注目してその物語として描かれてはいるが、サブストーリーとして咲太郎や千遥の物語も隠されていた。
咲太郎の物語は奥さんの光子さんや亜矢美さんとのエピソードである程度は詳しくは語られていた。
千遥の物語は柴田牧場でのエピソードの時におけ屋にもらわれていたぐらいの事しか描かれていなかった。
そしてその時の話では、店に出入りしているお客さんに見初められて結婚するとの事。
なつぞらのほぼ最後に登場してきたこのエピソードは、あの時以降の物語を描いている。
ネタバレで恐縮だが、千遥は離婚の危機を抱えている。
既に心が冷え切っているようで、別れるしかない状況のようだ。
旦那さんは店には寄り付かず、お妾さんのところに暮らしていて帰ってくる事は無い。
“御料理杉の子”の実質的な経営は千遥が行っているようだ。
昨日の放送でも少し触れられていたが、もし離婚となるとこの店にはいられなくなるのかもと告げていた。
しかし、もし店を出ることがあっても“千夏ちゃんとは決して離れる事はないよ”との内容。
明日以降の物語でその辺の詳しい事情は明らかになってくる。
思い出の天丼
この天丼のポイントはどうやら丼つゆにありそうだ 。
咲太郎が涙ながらにこの味だと絶句。
そしてなつも不意に思い出すのだ。
私たちの両親が手分けして天丼をこしらえていたのだと。
戦前のなつ達一家の店での様子。
戦争によってこの状況はきれいに失われてしまった。
お父さん役のウッチャンはナレーションで毎日お馴染みだが、今回 顔を晒すことにはならなかったのか。
お母さんだけが普通に登場した。
今日の放送の中ではまさにお宝ショットと言える。
時代を感じるとともに、日本人が昔から紡いでいた家庭環境はこういったものなのだと改めて実感させられた。
なつぞらは戦争によって引き裂かれた家族の物語と言える。
今更だが、戦争をすればこのような家庭のささやかな思い出すらも全て破壊されるのだ。
今の日本は大多数の人が戦後生まれ。
戦前、戦中、戦後を生き抜いた人たちの貴重な体験談を今更のようにきちんと継承しなければと思い知った気が。