ネットのニュースを見ていたら思いがけない訃報が。
かつて関脇“逆鉾”として相撲を大いににぎわせていた名物力士が、膵臓癌のために亡くなったとのこと。
まだ58歳。
驚くほど若い。
決して体の大きい力士ではなかったが、とにかく前さばきのうまいこと、早いこと。
それだけで関脇まで張った名力士と言えるのだ。
目次
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井筒部屋は初代鶴ヶ峰から始まる
井筒部屋は初代が“鶴ヶ峰”で既にもうなくなっている力士だが、この力士はもろ差しの神様と言われた。
身長は170センチ台で体重は112キロ。
当時の力士としては中型の力士。
しかし、立ち会いと前さばきのうまさで簡単に相手にもろ差しになってしまう 。
相撲の攻めパターンでは最も有利な形とされる。
ちなみに右手をさして左手の上手を取る形を右四つ。
その逆に左手を刺して右手の上手を取るものを左4つ。
相撲にはそれぞれの型があって、立ち会いの後の応酬に、先手を取るだけの技術がなければ、二本差し、つまりもろ差しにはならない。
四つ相撲の形では1番勝ちに近い形だろう。
今回、若くして亡くなった元“逆鉾”のに2代目井筒親方は、父親同様もろ差しになるのが極めて上手かった力士。
逆鉾は千代の富士と同時期の力士。
名勝負が何番も繰り広げられていた。
調べてみるとあの横綱“千代の富士”に2度勝っている。
逆鉾は身長182センチ、体重130キロの軽量力士。
もっとも、横綱千代の富士は同じ身長で体重125キロだったが。
この2人は同じ病気、膵臓癌で命を落としている。
年齢も60歳前後で極めて近い。
やはりこの癌は発病するとほぼ助からない。
横綱“鶴竜”の師匠として鶴竜が引退するまで面倒を見て欲しかった気がする。
今場所鶴竜は休場しているのだが、やはり師匠の死はかなりこたえるものと。
現役時代は井筒3兄弟として有名


井筒3兄弟の 2番目が逆鉾。3番目が寺尾(母親の旧姓を名乗っている)
長男がいるのだが、彼は腕に怪我をしたことがあって力士としては十両で終わっている 。
四股名は鶴の富士。
もし幕内まで上がれたならば父親の名前、鶴ヶ峰を襲名する予定だった。
残念ながら肩脱臼の怪我が長引いたが故に、休場を繰り返すこととなり、その古傷が元で力士としては成功しなかったのだ。
彼ら3兄弟の母親は若くして亡くなっている。
母親への愛着や思い入れは強く、三男寺尾は母親の旧姓をそのまま名乗っている。
現在の錣山親方が本人である。
相撲界では親子力士や兄弟力士はそれほど珍しくは無いのだが、こちらの3兄弟は私の中では極めて有名な力士たち 。
相撲にあまり興味のない人ならば大抵の場合、3代目若乃花(お兄ちゃん)、2代目貴乃花の兄弟を思い出すに違いない。
確かにこちらの2人も今は2人とも相撲界には残っていないが、その相撲取りの系譜は初代若乃花、その弟貴ノ花に連なっていく。
相撲の世界は、思いのほか遺伝子がものを言うのかもしれない。
なくなった井筒親方は、相撲界の中でも相撲に特化した遺伝子を受け継いだ力士と言える。
横綱鶴竜を育てた手腕
横綱の横のブルーのネクタイの井筒親方。
最近の画像を見ると、少しやつれて見えるのは気のせいだろうか。
現役の時ほどはふっくらしていない。
今回の病気も体調が悪くて入院したとの事。
膵臓癌が悪くなって体調不良の状況なら、この癌の場合間違いなく手遅れ。
膵臓癌の5年生存率は私の記憶ではわずかに数% 。
医者たちの意見でも絶対になりたくない癌の第一位。
やはり相撲界は、健康診断といってもそれほど丁寧な人間ドックなどが行われていたとは思えない。
この世界はこう言ってはなんだが長生きできない人が圧倒的に多い気がする。
体型のこともあって、皆 60代位で亡くなっているのだ。
今場所にかける想い


やはり場所が盛り上がらないことには相撲道の発展はない 。
関脇逆鉾は首筋に古傷があって頭から相手に当たっていかない立合いが特徴的な力士。
しかし、彼の素早くて旨さが際立つ相撲振りは誰からも愛されたと言える。
前さばきのうまさは、横綱鶴竜に受け継がれているものと思いたい。
鶴竜は横綱として、師匠の思いに応える責任があるのかも。
私の中では、思い出がまた1つ消えてしまった寂しさが残る。
相撲ファンの1人として心からご冥福を祈りたい。