YouTubeを見ない日はないんだけど、いろいろ見る中でやっぱり値打ちがあるなと思うのは音楽関係のサイト。
昔、吹奏楽をやっていたので、その時の探究心は今も継続する。
どの楽器がどんな音を出すのか、興味は尽きない。
そして音楽には歴史があって古いものから新しいものに至るまでよりどりみどり。
しかし、古いものを古い時代の楽器を使って再現することにどれほどの意味があるのか。
実際に、鑑賞してみると“目から鱗”以上の驚きと感動が。
目次
普段見ることのない古楽器
こちらはGoogle検索で発見したチェンバロだけど、多分博物館に飾られるレベルのもののよう。
ピアノがメジャーになる前、鍵盤楽器と言えばこのハープシコード(チェンバロ)が主力。
音を聞けば誰にでもわかりやすい。
ちょっと聞いたら、ギターとハープなどと似たような感じがするかもしれない。
音を発する方式が弦を弾く(はじく)ので、似たような響きになるのだと思われる。
ピアノはチェンバロとは違って弦をハンマーで叩くので、音の出方は全く異なっているのだ。
それぞれに良いところ悪いところがあるが、楽器の操作性と表現力の差を見てみるとやはりピアノが勝っていると言える。
チェンバロはピアノほど音の強弱を表現できない。
弦を弾くのにある一定の力が必要なので、どうしても制約を受けてしまうのだ。
ピアノはペダルなどを使用することによってハンマーが弦を叩く具合を限りなく調整できる。
後は持ち味の差。
ピアノは要するにどんなへたくそな人が叩いても、また天才的なピアニストが叩いても出てくる音は同じ。
チェンバロも鍵盤楽器なので基本的には同じ。
音色は弾く人を選ばない。
鍵盤楽器はその特徴として単独で演奏する場合と、室内楽の楽団と合わさる場合がある。
チェンバロを弾く人が指揮者を兼ねていたりすることもあって、様々なバリエーションが知られている。
さて言葉で説明するよりもチェンバロを中心とした演奏がどんなものなのかを実際に聞いてみるのが1番。
Henry Purcell: Rondeau from Abdelazer (Z570), Voices of Music; original instruments 4K UHD
吹奏楽をやっているとお馴染みの曲で、この曲の作曲者はイギリス人。
この時代のイギリスにしては著名な作曲家。
イギリス人のクラシック音楽の作曲家と言えばこの人ぐらいしかいないのではないか
「ヘンリーパーセル」
この曲は吹奏楽の練習用にも取り上げられていたし、20世紀に入ってからリチャードブリテンの編曲でも有名になった。
演奏を聴いていて感じるのは、これがおそらくオリジナルなんだろうと。
独特の味わいを感じることができる。
古楽器の魅力として、洗練されたと言うよりは、様々な味わいが音の中に混じること。
つまりご飯で言えば、
「きれいに精白した白米か、あるいは少し分付にした玄米っぽい味わい」にするか。
そういった味わいの差が感じられる。
当然好みは分かれるが、音楽好きにしてみれば、多分、誰もが両方味わってみたくなるのではないか。
私などもまさにそれ。
普段 聞く音と、オリジナルの音に差があるならばその両方を味わってみたい。
そういったことを感じさせる演奏。
では最近のフルオーケストラの編曲だとこうなる例
ヘンリー・パーセルの主題による変奏曲 'Rondeau from Abdelazer'
オリジナルと比べてどうだろうか、ドラマチック感が全く別物に変わってくる。
しかし私個人の意見を言わせてもらえれば、オリジナルの楽曲にそれだけ魅力が詰まっているから、これだけ発展させることができた。
この曲を聴いた様々な音楽家が自分のやり方でこのテーマをもう一度表現してみたい。
そういったことが感じられはしないだろうか。
どちらの味わいも捨てがたいが、オリジナルの、今から300年近く前の楽器を使った演奏は特別な味わいだと言えるだろう。
形はよく似ているが現在のものとはちょっと違う
バロック時代のお馴染みの楽器である。
バイオリンやチェロの前身と言っていいだろう。
ここから弦楽器は様々な発展を遂げて今日の形に落ち着くのだが、17世紀から18世紀にイタリアに出たストラディバリやガルネリが作った楽器がいまだにもてはやされることを考えると 、こちらも300年近く進化はしていないのかも。
またこういった弦楽器以外も様々な発展途上の楽器がある。
フルートは木管楽器に分類されるが、今は金属製のものがほぼ100%。
しかしオリジナルは見ての通り木で作られている。
そして同じような音を出す楽器にリコーダーがある。
これらの楽器はそれぞれに味わいがあって、歴史的にはリコーダーの方が古いかもしれない。
現代のオーケストラでは金属製のフルート以外使われる事はほとんどないと言える。
しかし、これらの楽器の音色も実に捨てがたい味わいがあるのだ。
Bach: Flute Sonata in E Minor BWV 1034, Andante. Voices of Music: Kate Clark & Hanneke van Proosdij
この音を聞いてどう感じるだろう。
間違いなくフルートなんだが、日本の尺八に少し似ている気がしないだろうか。
高音部はフルートに近いが、低音の響は洗練された尺八っぽく聞こえる。
バロックフルートの魅力はこの辺にあると言える。
ただしこういった味わいの音色はオーケストラと合わせると音が溶け込んでしまって前面には出にくい可能性があると言える。
現在の金属でできたベーム式と呼ばれるフルートは、オーケストラの中に入ってもその繊細な音色が中に溶け込んでしまう事は無い。
周りがどんな大音響を出していても、1本2本のフルートの音は絶対に聞こえてくるはず。
現在のフルートはそのように改良されている。
もちろん古い楽器と今の楽器の良し悪しを簡単に比較することなどできっこない。
私の中では、ちょっとずるいかもしれないがケースバイケースでどちらの音も愛でていたい。
独特な味わいバロックリュート
この弦楽器はギターのように弾いているがその味わいは全く別物。
他の様々な楽器と合わせた時に、違和感なく持ち味を発揮できるのが特徴だ。
Schmelzer: Sonata Quarta; Elizabeth Blumenstock, baroque violin; Voices of Music
ギターほど全体を主張しないのがこの楽器の特徴かもしれない。
他の楽器の一歩あとに控えて音楽全体を支える印象だろうか。
いろいろ検索をしてみたがソロで演奏している部分は少ないと言える。
このバロックリュートの演奏家は何台かの楽器を弾き分けているようだ。
楽器にも様々な歴史が
ざっくりとしたイメージだが、金管楽器はこのように発展してきたようだ。
古いものは今から数百年前に発生したと思われる。
新しいものも、おそらくはこの100年位で作られたと思われる。
新しいタイプの楽器と言えば電気的に音を出す様々な楽器が挙げられるが、人間の力によって奏でるものはどうやらそれほどの進化を遂げていないように思う。
やはり演奏家の技術力がものを言う世界だ。
このほかにも独特の発達を遂げた楽器がいっぱいあるわけだし、現在ほとんど見ることのない楽器も多い。
様々な目的やニーズに合わせて、そういったマイナーな楽器もなるべくなら日の目を見るようにしてほしいもの。
様々な魅力を組み合わせる
かつての楽器の演奏の様子が絵画となって残っている。
一体どんな音がするのだろう。
Leonardo da Vinci: L'Amoroso & La Gelosia (Domenico da Piacenza), Voices of Music 4K
この演奏はとてもレアな映像だと言える。
左側の女性が吹いている楽器はイギリスのバグパイプの前身だと言えるだろう。
そしてアコーディオンのような不思議な楽器も見ることが。
右手でハンドルを回しながら、左手で鍵盤ではないボタンのようなものを操作して音を出している不思議な楽器。
そして大型のタンバリンのようなドラム。
私たちが知っているのはバイオリンくらいだろう。
音色や曲想から考えてイギリス、とりわけスコットランド地方の古い音楽ではなかろうか。
この演奏している楽団は今回YouTubeで発見したアメリカのグループ。
「ボイスオブミュージック」と言って古楽器専門の楽団である。
かなりの大所帯と見えて、ちょっとした室内楽を普通にこなすことができるようだ。
そして、一人ひとりのポテンシャルがとても高く感じる。
今回は紹介してないが、ボーカルを伴ったものもあるのだ。
YouTubeにはかなりたくさんの楽曲をアップしていて、それが時々流れてくるもので注目することに。
第一の魅力は古楽器を惜しげもなく披露して採用していること。
同じ曲を演奏しても最新の楽器とは味わいが全く違って、音楽の歴史を感じる。
たまたまYouTubeで見かけたグループだが、ネットの世界での検索は本当に凄いと言える。
ここでまたさらに音楽に対する造詣が深まるのだ。
今回YouTubeで発見したのでそのリンクを紹介しておきたい。