19の頃から吸い始めたタバコ。
29歳までさんざん吸って、そこから禁煙してみて37年が経つ。
何気ないきっかけで止めたタバコ。
いい加減でテキトーな私がなぜ止められたのだろうか。
ずいぶん時間も経ったことなので振り返ってみることに。
目次
吸い始めた頃の記憶
私が高校3年ぐらいだったと思う。
バイク好きの友達が狂喜乱舞していたホンダのバイクがこれ。
この頃ナナハンの言葉は、ある意味若者の男子たちの“合言葉”のようなもの。
タバコを覚え始めたのもこの頃。
最初に吸い始めたのは父親のタバコをこっそりいたずらしてから。
シンセイとかエコーとかそういった安タバコなので、初心者がいたずらするにはちときつかったかも。
しかしこの年頃の男の子だと、たいていはタバコや酒などを経験してみたい年頃。
私もご多分にもれず、男子として“タバコぐらい酒ぐらい”の気持ちがあったと思う。
高校を卒業してからは、内地のほうに住むようになったので、一人暮らしを始めて大ッピラにタバコが吸えるように。
最初はハイライトとか、セブンスターとか吸った記憶が。
しかし始めてみると、より強い刺激を求めるようになるもの。
タバコを初めて吸って、それほど時間がたたないうちに、“シンセイ”や“両切りのピース”なども吸うように。
この当時1日に20本程度は吸った記憶が 。
多い時では缶入りのピースが1缶必要だったことも。
わざわざお金をかけて不健康を自ら選んでいるようなもの。
この頃から、ろくに歯のメンテナンスもしてなかったので、虫歯になりやすかった記憶が。
調べてみるとタバコを吸っている人は、唾液の中に含まれる、夜 歯を補修する成分がでなくなるんだそう。
普通の人は夜のうちに歯の表面が唾液によって修復されるのだが。
喫煙者はそれができなくなるらしい。
タバコを始めてほとんどすぐにそんな状態になった記憶が。
さまざまに試したアイテム
成人式を迎える頃には様々なタバコのアイテムを試した記憶が。
1番のお気に入りはパイプだったと思う。
パイプの葉はそのほとんどは紙巻のタバコよりはるかにきつい気がした。
しかし、若さとはそうした強い刺激が欲しいもの。
何よりもそうしたことをしている自分がかっこいいと思っていたような。
葉巻にも挑戦したと思う。
パイプも葉巻もどちらかと言えばお値段は高め。
いつも手元に置いておけるはずもなく。
ただし、タバコを吸う回数は格段に減ったと思う。
パイプはいったん火をつけると、30分程度は燃えるので、かなり長い間吸い続けることができる。
紙巻きタバコのような煩雑さはあまりないのだが。
しかし、仕事をするときには明らかに向かないと言える。
くわえタバコができないので、ゆっくりとくつろいだ時にしか試せないシロモノ。
また当時、ライターにも凝っていてジッポーのパイプ用を使っていた
このライターはオイルライターなので風にも消えにくい利点が。
ただこういったライターは今はあまり流行らないだろう。
かなり重たいので、ポケットに入れても違和感が。
若い頃はこういったことを経験することが自分にとってのステータスだったのかも。
禁煙する前に勤めた会社は木材会社
今も住んでいる私の地域がこちら。
かつてここに木材会社があって、そこの工場に勤務していた。
すでに倒産して10年以上が立つ。
かなり広い敷地の会社で、従業員も1番多い時で200人ぐらいはいただろうか。
しかし、日本の木材産業は80年代の後半から斜陽で、日の目を見る事はなかった。
私のいた会社もヤマハの専属工場との触れ込みだったが、やがてヤマハとの取引が停止すると同時に会社も倒産したのだ。
工場で仕事をする時は、当たり前のことだが敷地内がすべて禁煙。
タバコを吸えるのは休憩時間のほんのひととき。
実は工場で働くようになってから、それまで私が吸っていたタバコは1日に20本程度だったのだが、1日10本程度にまで減ることに。
不思議なもので、ここまで吸う本数が減ってくると 、体からもタバコを欲する気持ちが減ってくるのだろうか。
体調はほとんど変わらなかったが、タバコの本数が減ることで毎月の小遣いも少し自由になった気がする。
今のタバコを吸う人の感覚が分からないので、1月どの程度の予算が必要なのかと言うと、私の場合は1月10,000円までと決めていた記憶が。
それが大幅に減ったと思う。
タバコを吸えない職場だったことが、禁煙に少しずつ近づいたと思う。
直接禁煙に至ったのは体調不良を見てくれた医者からの提言
ある時、アレルギー性鼻炎でずいぶん苦しんだことが。
何に反応したかはわからないが、著しい鼻水と鼻の奥の痛み。
この煩わしさは味わったものでなければなかなか理解しにくいのだが、その時通った耳鼻科のドクターが曰く。
「呼吸器系のトラブルなのだから、タバコぐらいやめたら!」
実はその一言が禁煙するきっかけになったと言える。
「タバコぐらい止められるわ!」
それが私の言い分だったと思う。
ドクターからかけられた一言が、若造だった私には“かちん”ときたのだ。
しかし、今まで散々習慣として身についたものが体からなくなっていくのは、それなりに禁断症状的な状態にもなった気が。
タバコを吸う気持ちは、要するに手元と 、口元のわずかばかりの満足感。
しかし一旦身に付いた習慣は簡単に抜けでるものではない。
完全に自分の体から抜けきるまでには数年かかったと思う。
その間、貧乏サラリーマンだったので、お金が厳しいこともあってわざわざタバコを買うこともなく、仕事で会社を行き来するだけだったので、タバコに近づくチャンスはほぼほぼなかったような。
5年位経った時に自分の体からタバコを吸いたい気分がすっかりなくなっていることに気がついたと言える。
そして、タバコは食欲を抑える働きがあるのもどうやら本当のようだ。
タバコをやめて1、 2年経ったあたりから、朝食べるご飯がおいしいと感じるように。
今まで味わうことのなかったおいしい感覚。
“タバコはどうやら食べ物の本当のおいしさを、どこかに隠してしまう働きがある”のかも。
そして、たいていの禁煙者が陥るように大幅に体重増となった。
軽く10kgぐらいは太ったのではないか。
しかしその頃から、あれほど煩わしかった鼻炎の症状もどこかへ行ってしまって、今はほとんど関係ない状態に。
医者からの言葉に反発心を持って始めたのが私の禁煙体験。
あの時結構なお年のドクターだったので、多分もうご存命ではないと思うが、今にして思えば感謝したい気分。
私の喫煙期間は10年ほどで、その後はすっぱりと止めている。
今でもずっと吸い続けていたならば、体はどうなっていただろうか。
今も、不健康の塊ではあるが、しかし日常生活に支障をきたすような大きなトラブルは自分では感じていない。
自覚症状のない病気は山ほど抱えてはいるが、私はいたって気楽なもの。
これが今に至る状況。
体から完全に抜けきった今
今は、タバコをやめてから37年ほど経った。
もうタバコを吸う感覚は体から完全に抜けきっている。
タバコの煙を嗅いでも不快感があるだけで、その中に長時間いようとは思わない。
酒を飲む習慣もない私は、晩酌もしないのだが、酒の席は誘われれば断らない主義。
しかし、そういった席では必ずと言っていいほどタバコがついて回るので、家に帰ってきたなら必ず風呂に入って、着ているものを全て脱ぎ捨てて洗濯機行き。
自分のカラダに染み付いたタバコの匂いが我慢できないのだ。
我が家でははるか昔にタバコを吸っていた名残で、灰皿が1つだけあると思う。
今ではどこに行ったか探さないとわからないが、どこかに残っている気が。
最近YouTubeを見ることが多いのだが、私がいつも見ている男の子や女の子たちはヘビースモーカーで、彼らがアップしている画像の中に山盛りの吸い殻が乗っかった灰皿がたまたま映るのだが、さすがに見栄えが悪いと感じてしまう。
タバコから遠ざかるとこういうことになるんだなと改めて思うことしきり。
そういえば昔見た映画の中で女性のこんな台詞があった。
「タバコを吸っている人とキスするのは、灰皿を舐めるようなもの。」
痛烈な一言だと。
しかし、蓼食う虫も好き好き
ヘビースモーカーの奥さんがタバコと無縁の場合もある。
キスするときにはヤニ臭い思いをしているのかな(笑笑)
健康のことを考えると、やはりタバコを味方につけることはできないだろう。
禁煙のための様々なアイテムも今は充実しているようだ。
老婆心から、ちょっとでも健康に不安を感じている人たちは、とりあえずできることとして禁煙などはお勧めしたい。
厳しいルールを設けなくても、少しずつ減らすことによって、やがてはすっぱりと縁を切ることも可能。
年取ってから、タバコが原因のトラブルに見舞われるのは気の毒な気がするので。