くわちゃんの独り言

音楽や映画が大好きな爺さん。長年の経験から知りえたことを発信します。

らんまん1週間振り返り 2人の植物学者

らんまんは最近になって特に感じる事は人物描写の丁寧なこと。

制作スタッフの思い入れもさることながら、脚本家の長田さんの優れた筆力によるところも大きい。

今週注目すべきは、万太郎と田邊教授の植物学者としてのそれぞれの立ち位置。

2人が何を感じ何を目標に研究生活を続けるのか、差を詳しく描くことで草花に思いを寄せる植物学者の心のヒダを克明に描き出したと感じた。

そして、2人の差だけではない。

 2人の共通項も丁寧に描かれていたことをあえて強調したい。

それは2人のそれぞれの家族の事。

万太郎も田邊教授も状況は全く違うが、家族のことをとても大切にしている。

家族の励ましがあって、研究生活が続けられた。

さらには、教授に至っては妻聡子によって植物学への自分自身のアイデンティティーを再び確認できたと言える。

今週描かれた物語の中で、重要な位置を占めるのが田邊教授の東大追放だろう。

これはモデルとなった谷田部良吉と同じエピソードを採用していた。

物語には、登場人物それぞれにモデルとなるべき実在の人物が存在している事は最初から明らかだった。

史実をもとに作られたらんまんは物語以上にドラマチックな内容。

万太郎は田邊教授に初めて遅れをとってしまう

目次

田邊教授の逡巡

学内闘争に敗北

今週物語の中心にいたのは田邊教授だったと思う。

コーネル大学に留学した後、日本に戻ってきた彼は20代の若さで東大の植物学教室教授に抜擢されていた。

それというのも、彼の後ろ盾として当時の文部大臣、森有礼の存在があった。

しかし、森有礼は物語の中でも描かれていたが、暗殺されてしまうのだ。

ご時世として明治維新の後、わずか20年ほどしか経っていなかったので。

後ろ盾を失った田邊教授は彼自身の傲慢な性格も災いしたんだろう。

後任となった美作教授の画策によって大学を追放されることになる。

調べてみると、美作教授にもしっかりとしたモデルがいる。

そして演じている俳優は、このモデルに驚くほど似ていることもわかった。

美作教授を演じた俳優山本浩司

モデルとなった方は、こちら

箕作佳吉 ドラマ内の美作と驚くほど似ている

ドラマは配役に至るまで、ビジュアルにかなりこだわっていることがよくわかった。

この彼が谷田部良吉を追放したとされる。

万太郎の決意

槙野コレクション設立に向けて研究に余念がない

万太郎は、どこにも行き場所を失って自らの植物標本コレクション設立に向けて決意を新たにしていた。
それは、一人ぼっちで莫大な資金をかけてやる途方もない仕事のように思われたが。

地元の少年と出会ったことで、大勢の仲間とのネットワークができた。

つまり万太郎は、植物採集旅行に出かけずとも彼のもとに様々な植物標本が届くように。

彼は一人ぼっちでないことを強く自覚する。

そして、口コミが口コミを呼んで彼の知名度は全国的に広がったと言える。

オフショット 虎鉄君とのネットワークが始まり

そうは言っても万太郎の植物志は自費出版。

莫大な資金の持ち出しとともに槙野家の家系は火の車だったと言える。

寿恵子の内職だけが家計を支えていたような状況。

キレンゲショウマをめぐる競争

万太郎と田邊教授は同じ植物の研究を同時進行で始めた

新種の植物の研究は、万太郎も田邊教授も全く同じ題材を選んでいたようだ。

今週の物語の中で、万太郎の研究と田邊教授の研究の進み具合が比較対照する形で描かれていた。

それは、1人対チームのゲームのようなニュアンスだったと思う。

 

www.kuwa-chu.com

こちらは昨日アップした私のブログ。

こちらに2人の違いを詳しく述べてみた。

2人の植物学者とその家族

田邊教授の家の庭に咲くシダ 教授と聡子のお気に入り

今週注目だったのは田邊教授夫妻の様子だろう。

学内の派閥闘争に敗れた田邊は自暴自棄になりかけていたところを妻聡子に救われた。

あの高慢な田邊が自分の歳の離れた後妻にお礼を述べるシーン。

見ていても、とてもデリケートで心温まるシーンだったと思う。

そして、もう一方の万太郎の方は寿恵子が家計の一切を取り仕切っていたが、火の車な事は明らか。

借金取り磯部 大見栄を切ってみせる寿恵子

こちらのシーンも記憶に新しいところ。

しかし、調べてみると、万太郎のモデル、牧野富太郎博士も借金まみれの生活をしていたことが今に伝わる。

物語はこのまま来週に繰り越すのだが田邊教授はついに大学を追放されてしまう。

来週の予告編も既に公開されているが、物語の展開は小説以上に驚くべき内容となっているようだ。