物語は、スズ子の一生で最も大切な時期が描かれたと思われる。
もちろん来週以降も次々と大変な事態が連続することになる。
時代は戦争末期スズ子と楽団は地方巡業で忙しかった。
スズ子の大ファンを名乗る村山愛助は直球勝負で愛の告白を。
交際してほしい
2人は歳の差はあれどお互い導かれるがままに急接近していく。
順風満帆に進むと思われた恋愛事情だったが、お互いの身の上は簡単に2人の恋を許すことにはならなかった。
村山興業の跡取り息子愛助は体が弱かったこと、これから会社を引き継ぐことを考えれば、スズ子との交際は認めてもらえることにはならない。
そこには、村山興業の東京支社長坂口と女社長村山トミの存在が大きい。
スズ子の楽団もマネージャーの五木が坂口に買収されるなどスズ子と愛助を別れさせようとする。
障害にも決して臆することなく関係を続けるスズ子と愛助。
様々な噂は愛助の母トミの知るところとなり、トミ自ら2人の前に登場。
一代で村山興業を築いたトミは静かで穏やかな語り口ながら、周りのものにウムを言わせぬ
圧倒的な存在感。
スズ子とのやりとりも穏やかで言葉少なくそれとなく反対の意思表示。
スズ子と愛助はギリギリの選択を求められることに。
目次
愛助とスズ子 嵐の船出
愛助は昔からのスズ子の大ファンだと告白。
スズ子のコンサートに足しげく通いパフォーマンスを楽しんでいた。
地方巡業の最中に紹介された愛助を初めて見たときに全然似てないのに弟の六郎を思い出したスズ子。
運命の導きとはこうしたことなんだろうと思わせるような偶然の連続。
様々なアクシデントがありながらもお互いこういを持ち始めた2人が恋人同士になるのにさほどの時間はかからなかった。
しかし、愛助はスズ子以上に複雑な事情を考えていた。
自分が学生であること。
大きな会社の跡取りでゆくゆくは会社を継ぐ必要が。
そして何よりも体が弱くて、当時のご時世では役に立たない人間のレッテルを貼られていたのかも。
愛助の胸のうち
自分のような戦場に行くこともできないような人間がどうすれば世の中の役に立つことができるんだろうか。
愛助の気持ちは自分自身のふがいなさを呪うものだった。
自分の同級生たちが次々と学と出陣で戦場に出かけていく。
自分だけが取り残されて厄介者扱い。
それでもスズ子への気持ちを否定することだけはできなかった。
スズ子と恋人同士になってもっと親しくなりたい。
愛助に知らず知らず恋心を抱き始めていたスズ子は愛助の告白を断ることにはならなかった。
六郎に似ていると感じたのは、戦争が関係しているものと。
学徒出陣の声がかかっても、自分は戦場に行くことはできない。
それでも世の中の役に立ちたい。
スズ子とも恋人同士になりたい。
担当直入で裏表のない気持ちの表現はスズ子にとっても望むところだったろう。
スズ子は駆け引きを始めとする綱引きは基本的に性に合わない。
戦地に行くことができない愛助のことを知って、ほっとするスズ子。
愛助の母村山トミは愛助の胸のうちをしっかりと把握していた。
2人の恋は秘密と言いながらも誰もが知るところとなり、2人とも裏表のない性格ゆえに何を考えているかも筒抜けになっていた可能性が。
2人を別れさせるための画策
村山興業の坂口はスズ子と愛助の恋愛が許されないものだと認識。
何とか関係を解消させなければならない。
そのために利用したのがスズ子の楽団のマネージャー五木。
この2人と五木スズ子のやり取りも今週の見所だったと思う。
五木は2人を別れさせるために坂口からお金をもらってしまっていた。
そしてそれはスズ子に簡単にばれてしまう。
そうなるととても楽団に残って活動することなどできようはずもない。
失踪する意外になかった。
前途多難な船出
スズ子と愛助の恋愛はどなくして愛助の母村山トミの知るところに。
おそらく息子に悪い虫がついたぐらいの感覚だったかもしれない。
福来スズ子について入念に下調べした様子もうかがえる。
その結果スズ子が苦労して努力して一流歌手になったことを納得。
その上でスズ子に愛助との交際を断念するようにそれとなく促してきた。
このシーンが今週の1番の見所だったかも。
村山トミの圧倒的な存在感が物語をより重厚なものに演出していたと思う。
トミの説得を乗り越えてスズ子と愛助は恋人同士になる。
来週はこの物語の続きが描かれることになるが、史実の通り愛助が長く生きられない状況が描かれることになるのだ。
結核はこの当時はガン以上に厄介な病気だったかもしれない。
特効薬となるべき薬もまだ世の中には出ておらず、ひたすら本人の免疫力に頼る以外になかったと思う。
スズ子と愛助はのわずかの時間、恋人同士で居られたような。
2人には子供まだ生まれるのだが、おそらく愛助は自分の子供の顔を知らずに死んでしまうものと思われる。
スズ子はシングルマザーとしてシンガーとしての道を歩むのだ。