結核が再発した愛助は緊急入院することに。
何度も経験したこととは言え、喀血は衝撃的。
本人はもちろんのこと、何よりも周りの人たちの驚きようは筆舌に尽くしがたい。
愛助はスズ子にとっての大切な人だけではなく、愛助の母トミや村山のたくさんの人たちにとっても希望の星。
彼の体に何かあったならなんて考えることすら許されない。
病院で絶対安静を言い渡された愛助。
社会人1年生になったことで張り切っていたこともあり、無理や疲れが限界を超えたものと思われた。
坂口は早速社長の村山トミに連絡。
トミはことの重大さを全身で受け止めてすぐさま大阪から東京までやってきた。
病室で愛助を見るなり感極まって抱きつく。
そしてその後の周りにいる者たちへの対応は驚くほど辛辣だった。
スズ子が側にいながら、なぜ愛助の異変に気がつかなかったのか?
そして、東京支社長の坂口は何を監督していたのか
そのことを厳しい口調でそれぞれなじっていたね。
トミはスズ子や坂口を信用して、愛助をゆだねていた。
その信用は今や完全に消失。
すぐにでも愛助を大阪に連れて帰ると譲らない。
信用できないものの中に大切な息子をそのまま置いてけぼりなんて絶対できないと。
とりあえず医者の絶対安静命令が優先されたので、愛助はそのまま病院に残ることに。
時間が経つと愛助の病状は落ち着きを取り戻し、無事退院許可も。
退院に際して、愛助はスズ子と2人で箱根に1泊したいと言う。
目次
母トミの激情
トミは病院に駆け込むなり、感情を爆発させた。
スズ子を信じたのは間違いやった
坂口も一緒にいながら、何をみとったんや!
山下が一緒にいるようになってから息子にはろくなことがない。
目の前に不幸が襲ってきたときに、それが自分のせいだとは誰も考えないのが世の常。
トミは息子がこんなことになってしまったのは、全て周りにいる者たちのせいだと頭ごなしに決めつけてかかっている。
実際はそんなことでもないんだけど。
史実と比べてみると、この時愛助は24歳になる直前だったと思われる。
昭和22年、そのとき母親のトミは57歳になっていたはず。
愛助はこの年の5月に亡くなってしまう運命。
トミ自身もおよそ3年後に亡くなってしまうのだ。
村山の家系は男系はここで途絶えてしまうことになるはず。
トミは今すぐにでも大阪に連れて帰ると言い張ったが医者がストップをかける。
このまま移動するのは危険。
落ち着くまでここでゆっくり静養するのがベストだと。
秘書室長の矢崎が一旦引き上げるように進言する。
スズ子と愛助の絆
スズ子は愛助のためなら、骨身を惜しまず尽くそうとする。
愛助がおはぎを食べたいと言ったところ、すぐさま闇市まで出向いて砂糖を買い求め手作りでおはぎを。
愛する人の為なら労力を惜しまない。
愛助は自分が周りに迷惑ばかりをかけていて不甲斐ない自分を呪っていた。
持って生まれた人の運は簡単に変えられるものではないし、一生かけて付き合う以外に妙案などあるはずもない。
スズ子は愛助の為を思いつつも、母親トミにも理解を示していた。
スズ子は自分の母親を病気で亡くしている。
弟も戦死してるので、身内が死ぬかもしれない心情は誰よりも敏感に察知できたのかもしれない。
トミが激情に駆られるのももっともだと思っていたようだ。
村山興業の跡取り
村山興業にとって愛助は最も大切な存在。
母親トミは自分の命以上に息子のことが大切だと信じている。
周りの者たちも社長の心情をよく心得ていて、自分たちの象徴とも言える愛助には健康で生きながらえてもらわなければならない。
愛助自身も自分の置かれた立場をよく理解しているので、決して軽はずみな行動をしたりはしない。
ただ、スズ子とだけは何とかして添い遂げたい。
そして、歌手としてのスズ子を高く評価している。
彼女が歌手を辞めてしまうことも、愛助的にはなしだったようだ。
さすがにこの時、彼がもうじき死んでしまうとは誰も思わなかったと思う。
愛助からの誘い
大阪へ帰る途中、一緒に箱根に行こうと誘う愛助。
スズ子は愛助と2人きりで過ごせるなら幸せこの上ない。
二つ返事でオーケーしてしまう。
愛助もまさか自分がもうじき死んでしまうとは考えていなかったようだ。
愛助は昭和22年5月に亡くなるのだが、スズ子が子供を産むのは10日後。
愛助は自分の子供の顔を見ることなくなくなってしまった。
運命とは驚くほど冷酷なものだと思い知らされる瞬間でもある。
今週のエピソードはあと2話分。
愛助が大阪に帰った後のスズ子には一体何が起こるんだろうか?